修二会 参籠はじめての「新入」について | ドット模様のくつ底

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東大寺二月堂 修二会の練行衆に
はじめて選ばれる年。

塔頭や末寺の四度加行(しどけぎょう)を終えた僧侶で、
参籠資格のある人であれば、経験することになります。

新入(しんにゅう)は、
前行(別火)入りが他の練行衆より5日ほど早くなり、
本行に備えます。

新入は処世界(しょせかい)という役になり、

12日を除く初夜上堂(練行衆一人ずつにお松明があがる)前に、
他衆より早く上堂し、
手落ちのないように十分に内陣の準備を整える役目を担います。

12日以外のお松明は、10本しか上がらないのですが、
12日のみ、処世界も他衆とともに初夜の上堂をするので、
練行衆の人数と同じ、11本のお松明が上がります。


新入が塔頭の子弟の場合、3日の初夜に「新入の称揚(しょうよう)」があります。
このとき、
新入の練行衆が時導師(じどうし)を勤めるしきたりになっています。
(塔頭以外の末寺の子弟であれば、後夜の時導師です)

新入が二人いる年は、
4日にも「新入の称揚」があります。
(今年はありません)

称揚の作法は非常に重々しいもので、
通常は唱えない唱句を唱え、
フシも「本ブシ」と称される特別なフシを用い、
これをゆっくりと唱えながら丁寧に五体投地の礼拝を重ねます。

「本ブシ」とは、略ブシに対して基本となると認識されているフシのことです。

修二会の「悔過法要」のフシは、正略さまざまに変化が著しいものですが、
基本となる「本ブシ」は新入のある年の「称揚」にだけ唱えます。

そのため通常より一時間ほど長い時間を要するものです。

この時は娑婆古練(しゃばこれん)も礼堂に出仕して、
勤行がおわるまで聴聞する習いとなっています。

ちなみにこの関門をパスすると・・・

2年目は、六時の「悔過作法」の時導師のほか、読経役
3年目は、神名帳の読役
4年目は、法華懺法(ほっけせんぽう)の当役
5年目は、過去帳の読役

これらの役が当たります。

これがおわると、翌年より「娑婆古練」と呼ばれ、
経験者として扱われます。