「ありがとう」 仏教用語からきたことば③ | ドット模様のくつ底

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福祉的な目線から心の問題を考えています。

「ありがとう」


普段、お礼をいうときによく使用する言葉ですね。

「ありがとう」は、

形容詞「有り難し」の連用形「有り難く」が
ウ音便化して「ありがとう」となっていった言葉です。


その「有り難し」は仏教語からきているそうです。

出典は「法句経」の、

「ひとの生をうくるはかたく、
死すべきものの、
生命あるもありがたし」

と言われています。

こちらは、人の生まれた生命の驚きを
教える教説。

よって、
「有り難し」とは、

その仏説を聞き、
人の生命の尊さに目覚めた
大いなる感動を表す言葉でもあるそうです。


日本の古典でみると、
「有り難し」という言葉は、
「有ることが」「難い」という意味から、
「滅多にない」「珍しくて貴重だ」という意味を持っていた時代もあります。

『枕草子』の
「ありがたきもの」では、

「この世にあるのが難しい」、すなわち「過ごしにくい」
という意味で使用されています。

中世になり、
「仏の慈悲など得難いものを自分は得ている」
という宗教的な感謝の気持ちを言うようになり、

近世以降は、
一般にも感謝の気持ちを言うようになっていったそうです。



ありがとう。

実はこのような言葉の変遷があったのですね。


誰かへお礼の気持ちを気軽に伝えることも大切ですが、

相手の命に対する敬意を込めて心から
ありがとうって言えたらいいですね。



それでは、今日も皆様が健康で幸せに過ごせますように。


(参考:『仏教が生んだ日本語』大谷大学編 毎日新聞社、
語源由来辞典)