「他力本願」 仏教用語からきたことば④ | ドット模様のくつ底

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「他力本願」

『広辞苑』では、

阿弥陀仏の本願。
または、衆生がそれに頼って成仏を願うこと。

転じて、もっぱら他人の力をあてにすること。

と書かれています。



「他力」の反対語は「自力」

この「自力」「他力」という言葉は
もともと日常語で、

五世紀の中国の学僧・曇鸞(どんらん)が、
仏教用語として採用し、積極的な意味を託して使い直したものです。

そのとき曇鸞は他力を、信仰や救いを成り立たせる
「人間を超えた大きな力」を表す言葉としました。

それを継承して、他力をことに大切に扱ったのが親鸞です。

親鸞は他力を
「如来の本願力」を表す言葉として、
積極的に使用しましたが、
「他力本願」という言い方をほとんどしていませんでした。

端的に「他力」だけを言い、これを如来の大悲のはたらきを
表す言葉として使っていたのだそうです。



一般に理解されているのは、
「もっぱら他人の力をあてにすること」
ですよね。


「これは本来の意味ではない」と
言う人がいますし、歴史をみるとその通りですよね。

しかし、辞書に
「転じてー」とある通り、
転化していったことが記されているということは、
現代用語としてはこちらも間違いとは言えないのですよね。。。


解釈によっては意味が全く違ってくることなので、
使用する場合は、どういう意味で使用しているのかも
しっかりと理解しておいた方がよさそうです。



それでは、今日も皆様が健康で幸せに過ごせますように。


(参考『仏教が生んだ日本語』毎日新聞社・
広辞苑)