作家 五木寛之氏の講演レポ① | ドット模様のくつ底

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特定非営利活動法人 

全国盲老人福祉施設連絡協議会

設立記念講演会


作家の五木寛之さんの講演レポを

簡単ですがさせて頂こうと思います。



五木寛之さんは、九州の生まれの作家です。


最新作には『親鸞 激動編』があります・

親鸞 激動篇 上/五木 寛之
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親鸞 激動篇 下/五木 寛之
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奈良では

斑鳩にある聖興寺(せいこうじ)にお世話になっていたことが

あるといいます。


浄土真宗のお寺です。


執筆のためでしょうか。



五木さんは講演のはじめから、


「何故、自分が講演に呼ばれるのかが不思議に思うことが多いです」

とおっしゃっていました。


それは今回の講演のことではないようです。


そう思う理由は


「自分には全く場違いで、あまり縁のないような

ところに呼ばれるから」だそうで、


友達からは「おまえは暗い奴だな」と

よく言われてきたこともあり、


「私のような暗い話しか出来ない人間を何故、

講演に呼ぶのだろう」といつも思うのだそうです。


何故この講演に?と思うような場所に呼ばれるというのは、


たとえば、銀行、証券などの会社に講演依頼がある時に

特にそう感じるとか。


医療、教育からの講演依頼もあり、

精神科医がずら~っと並んだ講演などもご経験になられたことを、


面白おかしく語られるので会場に笑いが起こっていました。


大手の証券だったか・・・

講演依頼をされた理由を尋ねると

担当者からこんなことを言われたそうです。


「社内に心の病が蔓延しているので、

迂遠な話をしてほしい」 


自分で迂遠というのはいいとしても

人からそんなこと言われるなんて、(笑)


日本語も病んでるなあと感じたとおっしゃっていました。


担当者とのお話から、


受験して良い大学に入り、大手企業の就職試験にパスして

入社してくる新入社員の


「心の病」による労災の申請が非常に増えていることにより、


「うつ病」など

「心にかげり」の在る人が増えているのが日本の現状だと気づいたそうです。


最近では大手出版社の若手女性編集者と話すことがあり、


その方との話で驚いたことは、


気軽に「心療内科」に通っていることだったと言います。


なんでも

若手の女性編集者とのお話によると、


「プチうつ」などの言葉があるように、


なんとなく朝起きたら心が晴れず、

ぼんやりしている状態が続いていて、


「ちょっとコンビニに行ってくるわ」といった感覚で

気軽に心療内科に通っているのだとか。


そこから処方された薬を飲んでいたりしているようなんですね。


一時間半ほどの診察を受けてスッキリして帰ってくるような

気軽に心療内科を利用している社会人が多い

時代であることにも気づいたとおっしゃっていました。


この診察で一番大事なことは問診です。


これらは病気というほどのものでもないのにもかかわらず、


日々鬱を感じ、それらをマイナスに捉え、

気軽に治療する現代人の感覚に対して、


五木氏はこう問い掛けます。


「自分の生き方を振り返り、反省することをしているのかどうか」。


「心療内科」とは1960年代に九州大学の内科よりはじまった

新しい医学分野であり、


それが今日本の「心の病」のコンビニのようになっているのが現状。


「鬱」という漢字を調べると、その意味は2つあります。



が茂っている様子。転じて、物事が盛んな様子。


憂鬱 。気のふさぐこと。はればれしない気分のこと。


これも五木氏が言っておられたことですが、


①の意味は生命力やエネルギーを感じる、

ぐんぐんとまっすぐに成長していくような意味があるんですよね。


②の意味では鬱病などに用いられるような意味があります。


明治維新をたとえて


「鬱勃たる生命力を以て生まれた・・・・」と言われたように、

(うつぼつ)

決してマイナスや陰の言葉ではなかったんですよね。

この人間の

「鬱」に対して治療をすることは、

まるで

心に風邪か何かのようにウィルスが入り込んで

それを追い出すような感覚ではないだろうかと五木氏は言います。


「一度自分の人生などを振り返って反省すればいいのだ」。


ここからは


「慈悲」と「悲哀」などをキーワードに話が進んでいきます。




長くなりますので②につづきます。


ここまで読んで頂きまして

ありがとうございました。