河瀬直美監督と東大寺の蛍 | ドット模様のくつ底

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奈良が好きなライターの瞬間ブッダな日々の記録。
福祉的な目線から心の問題を考えています。


昨日まで六回にわたりご紹介を
しておりました、

『心の微笑み』掲載の
「色即是空」は、
東大寺第215世別当上司永慶様(故人)
のお話です。

永慶様が東大寺別当のころ、

河瀬直美監督は『火垂』(ほたる)という
映画制作をされておりました。

東大寺も舞台となっていたことから
永慶様のご支援を頂いていたと聞きます。

今回永慶様のお話を掲載させて頂いたこともあり、再掲載させて頂こうと思います。

(以下、再掲載)

二年以上前のですが、

奈良在住の映像作家である河瀬直美さんが、

カンヌ国際映画祭でカロスドール賞を受賞されたことに

関する記事をまずご紹介します。

[シネマトゥデイ映画ニュース2009.4.23] 

今年の第62回カンヌ国際映画祭で日本人初の功労賞「カロスドール(黄金の馬車)」受賞が決まった河瀬直美監督が22日、コメントを発表した。
 
 同賞は、フランス映画監督協会が、同映画祭の監督週間に貢献した人物をたたえるため2002年創設。毎年1人づつ選出され、2003年にクリント・イーストウッド、昨年はジム・ジャームッシュなどが受賞している。世界の名だたる映画人に名を連ねることになった河瀬監督は「そうそうたる監督方が受賞されたカロスドール賞を日本人として初めて受賞させていただき、大変光栄に思っています。この賞に恥じない作品を世界に発信するべく映画製作にまい進してまいります。ありがとうございました」とコメントを寄せた。

 受賞は、同協会が22日までに声明を発表し、河瀬監督は自身のオフィシャルサイト内にある16日付けの日記で報告。授賞式は5月14日、監督週間開会式で行われ、2000年の映画の再編集版『火垂 2009 version』が特別上映される。授賞式には、河瀬監督と主演の主演・中村優子が出席する予定。

 1997年に劇場映画デビュー作映画『萌(もえ)の朱雀(すざく)』がカメラドール(新人監督賞)を受賞、2003年、映画『沙羅双樹』がコンペティション部門に出品、2007年には映画『殯(もがり)の森』がコンペティション部門で最高賞パルムドールに次ぐ、グランプリ(審査員特別大賞)を受賞。カンヌ映画祭と縁が深い河瀬監督は、一昨年のカンヌ映画祭では「カンヌに育てられた」などと語っていた。




こちらの作品には東大寺と元興寺が
登場します。

東大寺と元興寺の関係は、
「僧力結集」でも書かれていますが、
僧侶同士が親戚である人がおり、
戦後の社会保障のままならないころ、
福祉関係の事業をはじめ、
お寺の方同士で支えあったりしていました。



映画の制作当時、
東大寺管長だった方が、
上司永慶様(第215世別当)で、
映画制作を支援されていたそうです。

1999年ごろのことです。

上司永慶様は、
任期途中で遷化されました(2000年)。

連絡を受けてすぐに
河瀬監督は弔いに行かれたそうです。

そのとき、
永慶様の枕元に

蛍が飛んできて留まったとか。

「火垂」と書いて「ほたる」と読みます。

私はですね、

2009年に監督とお仕事させて
頂いており、

2009年バージョンの「火垂」を拝見したのですが、

映画のはじめのあたりで、
主人公の子どもの頃の回想として

修二会のお松明のシーンがあるんですよね。

この映像が印象的でした。

蛍は梅雨前くらいに

環境のいいところで観られるものです。

永慶様は、
この大仏蛍のための
環境保護活動をされていた方なんですね。


永慶様の遷化の時期と重なりました。

永慶様の息子である永照様にこのお話を伺ったのですが、

私は東大寺で観られる大仏蛍も

河瀬監督とともに、

永慶様の自坊まで弔いに

訪れたのだと思いました。