2013年8月11日 熱さをもって暑さを制す。
「いやあー暑いですねえ。」
すっかりこれが、患者さんとのあいさつがわりになってしまいました。
ちょっと前までそれほどでもなくて、私の中では冷夏疑惑があったのですが、参りましたゴメンナサイという感じです。
今朝10:00から始まる日曜診療の準備を始めようとしていたら、9:00頃から笛、太鼓、金物のお囃子(おはやし)が聞こえてきました。
今年は2年に一度の、山元町のお祭りなのです。
山手パーク歯科はもちろん山手町にあるのですが、高級住宅街のギリギリ端っこなので、すぐお隣は庶民的な山元町商店街なのです。
表に出てみると、いくつものお神輿をかついだ一団が思い思いの掛け声と共に、交通整理の警察官や車両に守られながら、医院の前を通過して行きました。
威勢のいい若衆の神輿や、粋な姐さん方をまじえた神輿、かわいい子供神輿もありました。
山元町は特に大きな神社はないので町内会のお祭りのはずですが、1~5丁目だけでなく西竹の丸、唐沢など付近の町内会も合同で立派なお祭りになっています。
私は昔、友人たちに誘われて、東京の平和島商店街のお祭りでお神輿をかつがせてもらったことがあります。
はじめは暑くて汗でベタベタだし、肩はすれて痛いしせまくるしくて、なぜ何の意味もないこんなことにエネルギーを浪費しなければならないのか解りませんでした。
しかしそのうち、何も意味がないからこその興奮が連帯感を生み、陶酔の領域で気持ちが通じ合うことを確認している一種のコミュニケーションであることに気がつきました。
スポーツ観戦、コンサート、クラブのダンスフロアなど興奮と陶酔で盛り上がる場所はいろいろありますが、最もトラディショナル(伝統的)なのがお神輿だと思います。
人と人との距離が近い都市生活において、お互いのことを認識しあい人間関係を円滑にする効果があるのでしょう。
しかし山元町の患者さんたちにもお祭りを熱く語る方もいれば、クールなスタンスを保つ方もいらっしゃいます。
まあこれが現代の都市生活であり、人間関係なのでしょう。
私はといえば日曜日とはいえ診療があるのでお神輿に参加することはできず、沿道で見守るだけです。
患者さんとしていらっしゃるときは皆さん観念して、まな板の上のコイのように神妙な方ばかりですが、そのほとばしる汗とあふれんばかりの生命力の「熱さ」はその方のイメージをガラっと変えてしまうほどのパワーをもっていました。
「熱さをもって暑さを制す。」でした。
沿道の私に気がつくと、声がかかります。
といっても、「あっ先生、こないだ予約してたのに行かなくてゴメンネ。今度また電話して予約するから・・・。」という感じなのですが。
それでも、白衣にマスク姿ではない私を識別してくれるなんて・・・。
嬉しすぎます。