邪馬台国時代の倭国図を描いてみました！

　邪馬台国時代に日本にいた人たちは、当時の「倭国」をどのように考えていたのでしょうか？

　そして、当時の中国の人々は「倭国」をどのように思い描いていたのでしょうか？

　邪馬台国時代に卑弥呼を共立する女王国にやってきた帯方郡使（２４０年の梯儁（ていしゅん）や２４７年の張政（ちょうせい）たち）は、帰国したのちにどのような報告をしたのでしょう。

　２３８年、公孫氏滅亡と同時に遣使朝貢してきた女王国に対して、魏が詳細な情報を欲していたことは容易に想像できます。

　公孫氏が健在の間、魏と倭の直接交渉は滞っていました。ですから、公孫氏経由の倭情報は得ていたとしても、一次情報は得られていなかったと思われます。

　遣使朝貢してきたとはいえ将来敵対する可能性も考えられる女王国に関して、詳細な情報を収集することは喫緊の課題です。

　人口は？　軍事力は？　国力は？　などなど。

　そして、万一戦闘状態に陥った際に、どのように女王国を攻略するかという戦略・戦術に必須の地理情報も、です。

　そこで、来倭した郡使たちには女王国の詳細な情報収集が命じられていたと推測できます。倭地の調査隊も同行していたでしょう。

　彼らは、邪馬台国への道中で、周辺を調査・測量していったと思われます。同時に、女王国の役人からも多くの情報を聞き出してもいたでしょう。

　郡使たちは、それらの情報を咀嚼して復命報告書にまとめたと考えられます。

　すると、そこには彼らの頭の中に描かれた倭国観が反映されていたはずです。

　その数十年後、陳寿は『三国志』魏志倭人伝を撰述します（あるいは、魚豢が『魏略』を撰述します）。

　その原史料が郡使の復命報告書だった可能性は高いと考えられています。

　そうであれば、そこには邪馬台国時代の倭国観が描き込まれているということになります。

　本ブログおよびＹｏｕＴｕｂｅ古代史新説チャンネルでは、魏志倭人伝の行程記事を考察していきました。

　帯方郡から邪馬台国までの道のりを丁寧に読んでいったつもりです。

　それをもとに、魏志倭人伝に登場するすべての国々の所在地を推定してみました。

　※便宜上、それらの国々を現在の地図上に比定しましたが、帯方郡使や倭の役人が九州島の海岸線などを描けたとは思えません。例えば、九州島全体は丸い形や四角い形に認識されていた可能性が高いだろうと思います。郡使たちの行程の周辺については詳細な測量データがあったと思われますが、それ以外は、相対的な位置関係として認識していたのだと考えています。

●邪馬台国時代の大まかな倭国観