邪馬台国と日本書紀の界隈

邪馬台国と日本書紀の界隈

邪馬台国・魏志倭人伝の周辺と、まったく新しい紀年復元法による日本書紀研究についてぼちぼちと綴っています。

 1月18日、岡山市のさん太ホールで開催された楯築ルネッサンスフォーラム「古代三都物語Ⅲ」にお招きいただき出演してきました。

 

 

 このイベントは吉備の遺跡復元や国立博物館の開設を目的として活動されている楯築ルネッサンス協議会が開催されているものです。

 大きな成果のひとつが楯築墳丘墓の上に立っていた給水塔の撤去です。イベントの冒頭、すでに地上の給水塔の撤去が完了したという報告がありました。これからその地下の発掘調査も行われるようです。なにか出土するのか? 結果が待ち遠しい限りです。

 

 そのような記念すべきタイミングで、ユーチューブでコラボしている4人(「地図をなぞって日本古代史を考える」の古荘英雄さん、「燃え盛るように熱い日本古代史」の武田晴樹さん、「岡上佑の古代史研究室」の岡上佑さんと「古代史新説チャンネル」のわたくし伊藤雅文)に声をかけていただいた次第です。

 

 当日はなんと吉備の中心と言える4名の市長が全員来場されていました。岡山市長の大森雅夫様、倉敷市長の伊東香織様、総社市長の片岡聡一様、赤磐市長の友實武則様ですが、みなさま古代史に造詣が深くて驚きました。

 基調講演は、野﨑貴博氏(岡山大学文明動態学研究所文化遺産マネジメント部門助教)の「鹿田遺跡~楯築の時代の海辺の小さな集落」でした。

 上東遺跡の波止場状遺構を再検討され、海岸沿いの船着き場ではないという推論を話されました。ただし、この集団が船着き場を持っていた可能性は否定されませんでした。

 

 続いて私たち4名の出番です。全員、古代衣装で登壇しました。これは大阪の創作家である長緒鬼無里さんにご用意いただいた衣装です。ちなみに、上のイベントチラシのメインビジュアルを描かれたのも長緒さんです。

 

(対談終了後の様子です)

 

 対談のテーマは「楯築の王は何者、卑弥呼との関係は」だったのですが、全員、邪馬台国吉備説ではないので、ちょっと厳しいテーマ設定です。

 事前に、大きく3つの議題を設定していました。

「古代吉備は何故、文献記録に残らなかったか?」「埴輪へと変転した、特殊器台とは一体何か?」「吉備の王者、楯築遺跡の主とはだれか?」の3つです。

 誰が何を語ったのかについては、また公式の動画がアップされましたらお知らせしますが、私は『日本書紀』の復元紀年の視点から、主に次のようなことを語らせていただきました。

 

 

・『日本書紀』の神武東征譚などを読む限り、神武東征の主力は吉備であり、ヤマト王権を作ったのは吉備だと言える。

 

・ヤマト王権成立後、大和と吉備はともに発展していくが、5世紀になり応神天皇の治世あたりから不協和音が生じて、最終的には雄略天皇崩御後の星川皇子の反乱失敗によって、「古代吉備王国」は滅亡した。それで、古代吉備の栄光は封印された。

 

・楯築墳丘墓の被葬者は根国王であろう。『日本書紀』の素戔嗚尊に関する記事から、吉備は根国であると推定できる。私が復元した年代観では素戔嗚尊が根国へ行くのは3世紀に入ってからであり、楯築墳丘墓が一般的に考えられている2世紀末葉の築造であれば、その前の根国王の墓と推定できる。

 

 加えて、「分銅形土製品は吉備の塩の流通に関連する遺物ではないか」という昨年の新説にも言及させていただきました。

 口下手ゆえ、なかなかうまくまとめた説明ができていなかったと思いますが、そこは大目にみていただくとして、240名(新聞発表)の皆様の前で話をしたのは初めてで、とてもよい経験になりました。

 

 その後は懇親会へ。

 多くの方々とお話しをさせていただきましたが、けっこうお酒が入っていたため、いただいた名刺とお顔が一致しない方も多いです。大変失礼ではありますがご容赦ください。

 

 翌19日は備前をめぐる遺跡見学ツアーでした。

 浦間茶臼山古墳や両宮山古墳など主だった遺跡をバスでご案内いただきました。

 伊部南大窯跡を見学したときには、今回イベントのステージにも立っていた特殊器台と特殊器台型埴輪を復元された備前焼作家である森和彦氏の工房に伺い、びっくりするプレゼントをいただきました。

 直系40cmもある分銅形土製品です。実際の分銅形土製品は5~10cmほどの小さく薄いものなのですが、これは大迫力の逸品です。家宝にします!

 

 

私のライフワークと言えるのは「紀年論」「『日本書紀』の紀年復元」ですが、分銅形土製品の解明も加わりそうな予感がします。

 

 ということで、とても素晴らしく、有意義で、楽しい2日間となりました。

 古荘さん、武田さん、岡上さんとも一気に連帯感が深まりましたので、今後のコラボ動画にもご期待いただければと思います。

 

 最後になりましたが、楯築ルネッサンスフォーラムに関わられた皆様、ご来場いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

 

 なお、18日の模様は新聞やテレビでも取り上げられたようです(以下は山陽新聞1月19日版)。

 

★このイベントに先駆けて昨年、ユーチューバー4名で古代吉備をテーマに同時配信した動画はコレです↓↓↓

 

 

 

 

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『古代天皇たちの真実』目次

第一章 「紀年論」のこれまで

第二章 『原日本紀』仮説による無事績年削除短縮法

第三章 『日本書紀』の編纂過程を考える

第四章 『原日本紀』編纂の論拠

第五章 『原日本紀』の年代観

第六章 天武天皇の意向と謎の第二期無事績年

第七章 継体天皇朝と仁賢・武烈天皇朝並立の根拠と歴史の真実

第八章 二王朝並立を復元するとみえてくるもの

    ◎真の「武烈天皇陵」◎「磐井の乱」新解釈 ◎「仏教公伝年」新説

 

 

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