ピンクのポンポン★80(80-116)
※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です
尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。
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「眠れないの?」
母が顔を覗き込んできた。頷いたあと、
「いつまで、こっちに居れるん?」と訊くと、
「もう暫くは大丈夫よ」と言い、私の頭を撫でてくれた。母が優しい笑みを浮かべて、頭を撫でてくれている。とても幸せに思えた。
急に安心したせいか、私はすぐに眠ってしまった。
翌朝、目が覚めると、母も妹も既に起きてしまって、布団には居なかった。パジャマのまま、台所へ行くと、祖母と義伯母が朝食の支度をしていた。
「おはよう」と声を掛けると、二人も「おはよう」と返事をしてくれた。そして祖母が言った。
「ママ達はお散歩に行ったの。居間でテレビでも見てらっしゃい」
私は黙って頷いた後、居間へ行くと、祖父が新聞を読み、伯父がテレビを観ながら、髭を剃っていた。
「おはよう」と二人に声を掛けると、祖父が新聞をテーブルに置き、
「昨日は楽しかったか?」と訊かれたので、黙って頷くと、
「良かった」と言い、私に隣に座るように手招きをした。