長い時間の流れの中で【96】 1・17 失い続ける時 | ぴかるんのブログ

ぴかるんのブログ

ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-96)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

 体育館の入り口の扉が閉まる音が聞こえて間もなく、遠くの方から男性の大きな声が聞こえた。
 「またかあ、うるせえなぁ」

 すると今度は女性の声が聞こえた。
 「あんたの声の方が、よっぽど迷惑やわ。静かに、しいな!」
 「うるせぇ!」
 「あんたの方がうるさいわ!」
 そこで、会話が途切れたと思ったら、足音が聞こえた。恐くなって、母の方に上体を寄せていたら、年輩の女性が歩いて来る姿が見えた。でも、とても怖い顔をしていたので、ますます、恐怖が増して、母のジャンパーを両手で掴んだ。

 その女性は私達の傍まで来ると、しゃがみ込んで言った。
 「ごめんなぁ、ウチとこの、おっちゃんが八つ当たりして。地震の時は何とか踏んばっとった家が、次の日に、火事で燃えてしもて落ち込んどったんが、今度は苛々しとんや。おばちゃんかて、辛いんやで……」
 そう言うと、彼女は大きな声を上げて泣き始めた。
 母は妹を抱きしめたままの姿勢で言った。
 「ウチも同じです。地震のあった日の夕方、燃えました」
 「……。そう、同じやなぁ、辛いなぁ…… 皆、助かったんか?」
 「主人の母が亡くなりました」
 「そうかぁ…… ここで仲良うしとったおばあちゃんも死んだもんな…… あんたらも辛かったなぁ」
 そう言うと、彼女は私の頭を撫でた後、そのまま床につっぷして泣き続けた。

バナー

ポチ&ポチと応援、宜しくお願いします!!!
<(_`_)>
{ マシになったけれど、
痛いものは痛い

そして、眠い……

信玄餅好き
観ていたら……
スタンダードの方で良いので
 ]