ピンクのポンポン★80(80-90)
※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です
尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。
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時々、おばあちゃんの咳を聞こえてくる中、その夜は眠りについた。妹は昼間の恐怖が残っていたせいか、中々、眠ろうとしなかったので、妹を真ん中に横になった。
翌朝、目が覚めると、妹は母にしがみつくように眠っていた。そっと上体を起こすと、おばあちゃんが居るのか、居ないのか分からなかったので、静かに起き上がり、おばあちゃんの方へ行くと、おばあちゃんは眠っていた。
「おはよう、大丈夫?」
小さく声を掛けると、おばあちゃんは小さく目を開いて言った。
「ありがとう、寒いのに」
おばあちゃんの頬に触れると、冷たくて驚いた。
「布団、入れてな」
そう言ってから、布団へ潜り込み、おばあちゃんの身体に自分の身体をくっつけると、
「温い身体やな」と言われてから、頭を撫でられた。
結局、その日、おばあちゃんはトイレに立つ以外はずっと寝て過ごした。食欲はあったので、私達家族で配給された食事を届けて、一緒に食事をした。
母か看護師さんにお願いして、再度、様子を診て貰ったけれど、風邪でしょうの一言で終わり、風邪薬を渡されて、こまめな水分補給をするようにと言われただけだった。
でも、冷たい水は身体が冷えるから飲みたくないというおばあちゃんの言葉に、母は困った顔をすることしかできず、私と妹は、
「我慢して飲んで」と、懇願することしかできなかった。