長い時間の流れの中で【88】 1・17 失い続ける時 | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-88)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

 「何も悪いことはしていないから」
 母は妹の頭を撫でながら、何度も同じ言葉を繰り返した。体育館前の花壇のベンチが埋まっていたので、私と妹は校庭のブランコに座り、母は私と妹の間にしゃがみ込んで妹に話し続けた。
 おばあちゃんがこちらへ向かって歩いてくる姿が見えたので、私は、
 「おばあちゃんや!」と言いながら、ブランコから離れて、おばあちゃんの方へ走り寄った。

 「おばあちゃん!」
 声を掛けると、おばあちゃんが、
 「大丈夫なん?」と、妹を気遣ってくれた。
 「まだ、泣いとうけど……」
 「何も悪い事、してえへんのに、可哀そうにな」
 私が黙って頷くと、おばあちゃんは大きな溜息をついた後、咳をした。
 「風邪? 大丈夫なん?」
 私が訊くと、
 「冬やし、風邪くらい、ひくわ」と言い、おばあちゃんが笑った。


 母が妹の身に起こった話をすると、おばあちゃんも妹の頭を撫でながら言った。
 「何も悪いこと、してへんのにな」
 そして、私と妹に小さな犬の縫いぐるみをジャンパーのポケットの中から、一つずつ差し出した。
 「娘が小さい時、ようこれで遊んどった。空き缶に入れて片付けといたら、地震があったけど、無事やった」
 「わぁ!」
 私と妹が同時に声を上げた。
 「良いんですか?」と訊いた母の前に、猫の縫いぐるみが差し出された。
 「え?」と驚きの声を上げた母に、おばあちゃんが言った。
 「また、誰かに取り上げられてしまうかもしれへんけど、それ迄でも、気持ちが明るうなってくれたらええから」
 母が丁寧に頭を下げて、
 「ありがとうございます」と言うと、おばあちゃんは笑顔で、
 「どういたしまして」と言ってから、また空咳をしたのだった。

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<(_`_)>
{ 刀は投げる方も受け取る大変 だなぁ
と、
思って観ています

ただ、普通、ああいう大技を披露するのは……
来年に期待
>感想を書く方(客側)は、楽だぁ

最初の坂で、宙返りして死ぬ人も、
毎回、タイミングがドンピシャ で、
凄いなぁ と思うのでした
>絶対にマネしなくて良いです

小さくて、
不細工で、
字が汚くて、
だけど、肝心なことが抜けてる……
噛まなくなって(滑舌)
つまらん
 ]