長い時間の流れの中で【10】 1・16 長い夜 | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-10)

※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

  その夜、いつもの様に私と妹は自分達の部屋でベッドに潜った。子供部屋に二段ベッドを置いてあり、私が上、妹が下で寝ていた。
 妹が布団に入った後、母が予め暖めておいてくれたヒーターと電気を消して、ベッドの階段を上がろうとした時、妹が私を呼んだ。
 「お姉ちゃん」
 「どないしたん?」
 「私、恐い……」
 「何で?」
 「月、赤かったし、変な形しとった」
 「パパが、融けた雪の水分が空で虫メガネになって、月が変な形に見えてる言うてたから、大丈夫や」
 「でも、赤かったで……」
 妹の恐がる声に、
 「ほな、一緒に寝よか?」と訊くと、
 妹が、
 「ウン!」と、返事をした。
 私は一度、部屋の灯りをつけてから自分のベッドに上がって、枕と布団を床へ落とした。そして、妹と並んでベッドへ潜った後、近所のシェパードが吠える声が聞こえた。
 妹が私のパジャマの両襟を掴んできたので、
 「大丈夫、ちゃんと寝るまで起きといたげるから」
 「ほんま?」
 「ウン。それに、あの犬、猫が嫌いやから、猫が通って吠えたかもしれへんで」
 私の嘘に、妹のパジャマを掴む手の力が緩くなるのを感じた。
 御近所のシェパードは、庭先に猫が通っても、平気だった。つい最近、学校から帰る途中、シェパードを飼っている家の門の石柱に野良猫が上がるところを見た。猫が襲われるのではないか?と気になった私は坂道を小走りに下りて、様子を見たけれど、いつもの様に玄関先に繋がれていたシャパードは、いつものお昼寝ではなく、お座りのポーズをして猫を見ていた。
 そして、猫が門柱を下りて芝生の敷き詰められた庭の奥へ歩いてゆくと、いつもの様に昼寝してしまっていた。

 「おやすみ」
 暫くしてから妹が小さな声で言い、私のパジャマの襟から両手を離した。
 「おやすみ、な」
 私も返事をして、母がよくしている様に、妹の頭を撫でてから、身体の向きを仰向けに変えた直後、またシェパードが吠き、遠くからサイレンの音も小さく聞こえてきた。
 妹が泣き出す前に、ベッドから出て電気をつけようと身体を起こしていた途中で、妹に抱きつかれてしまった私は、パジャマ姿のまま、妹と二人、二階のリビングへ降りてゆくと、父が一人でテレビを観ていた。

 子供二人が真冬の夜に、セーターも着ずにリビングへ入って行ったので、父は驚いた。そして、父が、
 「どないした?」と言ってソファから立ち上がると、妹は父に抱き着いて、大声で泣き始めた。
 私は、妹が赤くて上下に伸びた月を見て怖がっていた所へ、珍しく近所のシェパードが鳴いて、その後に遠くからサイレンの音も聞こえてきたことを話すと、父は、
 「それは怖かったなぁ」と言い、妹を抱き上げて、ソファに座った。

 今日は妹ばかり、ズルい!と思った私は、
 「セーター、取ってくる」と言い、リビングを出た。
 一度、部屋に戻った時にカーテンを開けたけど、窓からは、煙も炎も消防車の赤いライトも何も見えなかった。カーテンを閉めて、妹と自分のセーターを持ち、部屋の電気を消した後、またシェパードの鳴き声が聞こえた。
 三階に一人で居る時に、滅多に吠えることのない犬が何度も吠えたのと、その夜は日常とは違う出来事が続いたせいか、私も何かに対して恐怖を感じた。慌てて、子供部屋の電気を消すと、二階まで階段を走り下りた。

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楽しそうにステージに立つ姿を観て、
ホッとしました

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