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ピンクのポンポン



ピンクのポンポン★76(76-1)





※こんなに若いお嬢さん達がたくさん来るなんて、タッキーのファン層って本当に広いなぁと、勘違いしてしまった代々木の初日を物語にしてみました。
 物語上、悪者扱いしていますが、そんな人達ばかりではないことをご理解頂いた上で、お読み下さい。
  でも、本人達がステージから消えた途端に、喋り始める、溜息ばかりつく、携帯やスマホをいじる。本人達が戻ってきた途端に、断りも無く人の視界を遮ることも御遠慮頂きたいです。
 タッキーファンが、珍獣(比較的、お行儀の良いという意味です)揃い?

 今回、2番目に好きな人へと降格されてしまった可哀そうな人は、2代目捨十がモデル(?)です。誰にしようか?と、誕生日を眺めていたら、原爆忌に生まれていた人が居たので、これも何かの縁と思い、使わせて頂きました



 今年の春、大学受験に失敗した。そして、そのことが私の運命を変えてしまった。

 地元の、自宅から通える大学への進学を希望していたのに、全て落ちてしまい、親が浪人を認めてくれなかった為、駄目で元々!という気持ちで、二次募集をしていた東京の大学を受けると、何故か合格してしまったので、上京して一人暮らしをすることになった。

 受験の失敗と、一人暮らしを始めなければならない不安から、随分と気持ちが暗くなってしまっていた。
 時間も無かったので、母と二人でアパートを決めるために上京し、ウイークリーマンションに滞在した。そして、アパートが決まると、今度は新居に必要な物を色々と買い揃えて貰った。
 四年間しか東京に居るつもりはないので、本当は家具や家電付きの部屋が良かったれど、部屋探しを始めるのが遅かったので、大学に近い所のそういう部屋は既にキャンセル待ちまで発生していた。

 私が借りたのは、大学から三駅離れた所あったアパートで、駅から離れているけれど、駅から家へ帰る途中に商店街も病院も全て整っていたのと、街灯も多いし、商店街を抜けた後は、一階にも人が住んでいるマンションやアパートが並んでいたので、これなら帰宅が少し遅くなっても犯罪には巻き込まれないだろうと母が判断し、決めたという感じだった。

 もう、何もする気が起こらなかったので、カーテンやクッション、寝具類のカバーやパジャマ、食器まで母に選んで貰った。
 気分転換にとデパートへ連れて行かれて、服を買ってあげると言われても、嬉しくとも何ともなくて、心の中では、
 「四年間、どうやって過ごせば良いんだう?」という言葉を繰り返していた。

 小学校の先生になることを夢見て頑張ってきたのに、私が進学したのは小学校の先生を目指す人間が進学する様な学部ではなかった。
 家族からは、
 「中学か高校の先生になれば良いのよ」と励まされけれど、そんな家族の励ましの言葉さえも受け入れることが出来ないでいた。小学校5・6年生の時の担任の先生に憧れていた私は、彼女の様な小学校の先生になりたかった。

 入学式の翌日、大学から戻ると、母が何処かへ出かけていた。翌日には、母も帰る予定だったので、私に連絡もくれずに出かけた母に対して、苛々しつつも、何もする気が起きなくて、着替えを済ませた後、ベッドで横になっていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。

§☆§★§☆ ▽⌒⊥⌒▽ §☆§★§☆§

 目を覚ますと、母が台所で夕飯の準備をしていた。私はベッドから上体だけを起こして、母に文句を言った。
 「何処へ行ってたの? 連絡も無しに出かけるなんてひどい!」
 母は振り向くと、こう言った。
 「あ、起きたの? ごめんなさいね。お土産を買いに行ってたの。入学のお祝いを頂いたから、おじいちゃんや伯父さんの家にも届けないとね」
 「駅で買えば良いのに」
 「ありふれたお菓子じゃなくて、ちゃんとした物を買って帰りたかったのよ。ついでに遠回りして自由ヶ丘でケーキも買ってきたから、後で食べようね」
 そう言うと、母は夕飯の支度を再開した。


 私は枕元の雑誌を手に取ると、お気に入りのグループが掲載されいるページを開いた。
 上京した日に買って貰った雑誌は、既に文章を覚えてしまっているくらいに、何度も見ていた。
 テレビで観て以来、ずっと好きで、地元ではなかったけれど、近くへコンサートに来てくれた時には、友達と駆けつけたくらいだった。
 今となっては、コンサートへ行ったから勉強のペースが乱れたのかな?と、考えることもあったけれど、コンサートへ行った後でも、模試の成績が落ちることはなかった。
§☆§★§☆ ▽⌒⊥⌒▽ §☆§★§☆§

 翌日、大学から帰ると、既に母の姿は無かった。
 私が一度大学から戻り、新幹線の駅まで見送る予定だったのに、置手紙一枚で、私の帰りを待つことなく、地元へ帰ってしまっていた。
 手紙の下には袋に入ったDVDが三枚枚置かれていて、手紙にもこんなことが書いてあった。
 「以前には、こんなお仕事もしていたみたいだから、買ってきました。良かったら、DVDを観て、感想でも教えてね」

 DVDが入っていた袋には、お店の名前と、銀座の住所が印刷されていた。
 もしかしたら、昨日、母はこのDVDを探していて、帰宅が遅くなったのかもしれないと思った。私はノートパソコンを起動させると、早速、DVDの再生を始めた。

 途中、視線を向ける相手が、今迄とは違う人になっていることに気付いた。

 DVD一枚で恋に落ちるなんて、あり得ない!と思ったけれど、次のDVDでも、私の視線は違う人を追いかけていて、物語は違っていたのに、ラストシーンの表情では、心が痛くなっていた。

 翌日、大学から帰ると、ネットで情報を確認すると、今、公演の真っ最中だけれど、チケット代の高さにガックリすると同時に、コンサートとお芝居ではチケットの値段が全く違うという現実に驚いた。

 「でも、来年は、この人の舞台を観に行きたい!」と、決心したのだった。

 母にDVDの感想をメールすると、
 「予想外の展開になったけれど、メールの内容が明るくて、安心した!」と、返信が届いた。調子に乗って、
 「コンサートのDVDも欲しい!」とメールしたら、
 「バイトでもして、自力で買って下さい」と、すぐに返信が届いた。冷たいなぁと考えつつも、何だか可笑しく思えて、笑ってしまった。

 GWは帰省して過ごしたけれど、GWが明けてから、私は生まれて初めてのアルバイトを、制服の可愛らしいケーキ屋さんで始めた。
 初めて貰ったお給料に感動しつつ、去年の秋のコンサートのDVDを一枚買い、残りのお金でコンサートチケットを買うことにしたら、両親に何かプレゼントを買って贈るという計画は消えてしまいそうだったけれど、私は親孝行よりも、DVDを観て好きになってしまったタッキーにお金を遣うことにした。
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 そして今日、初めてのコンサート参加となった。
 最初は高校時代の同級生か、大学で仲良くなった友達誘うつもりだったけれど、年齢差が11歳で、学年だと干支一周分違うことが分かって、不安だし、緊張もするけれど、一人で頑張って、ここへ来るこに決めたのだった。

 あのグループの人達よりは先輩だから、せいぜい20代後半だと思っていたのに、既に三十路と分かっ時は凄くショックだった。
 『おじさん』扱いするつもりはないけれど、あのグループの、私が好きな人は三歳年上で、三歳も離れていると、十分、『大人』だと感じていたのに、11歳も離れている芸能人を、周囲の影響でもなく、DVDを観て自分で好きになったことは、恥ずかしくて誰にも言えなかった。

 中学の時も、高校の時も、うんと年上の歌手や役者さんに恋した人達は、何かとからかわれていたことを思い出すと、東京で暮らし始めたばかりなのに、誰かにからかわれることがとてもイヤなことに思えたのだった。

 勿論、DVDで予習してきたし、ジャニーズのコンサートは初めてではないので、ピンクのポンポンも作ってきたし、ペンライトも買った。
 そして、入場の列に並ぶと、私と同じくらいの年齢の人達もたくさん居たので安心していたら、自然と耳に入る会話て、お目当てがタッキーではなく、バックで踊っているグループの人達だと分かり、ガックリした。
 席に着いてからも、お隣のグループの人達から、誰のファンか?と質問されたので、正直にタッキーのファンだと告げると、露骨に、
  「この人、変!」という顔をされてしまった。

 好きになっただけで、憧れているだけで、恋愛する訳ではないのになぁ……と、心の中で呟いた。
 タッキーのファンだと分かったせいか、その後、お隣のグループの人達からは、全く話しかけて貰えなくなってしまった。
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 退屈だったので、携帯をいじっていたら、逆隣のお姉さんが話しかけてくれた。
 「いつから、タッキーのこと、好き?」
 私は正直に、自分が好きな人の出ているDVDを観てファンになったことを告げると、今は『2番目に好き』になってしまった人のことを、色々と話してくれて、嬉しくなった。勿論、それはタッキーのお尻を観ながらお仕事をしていた時の彼のことだった。

 そのお姉さんのおかげで、気持ちが先にウォーミング・アップされたせいか、気付くと、一人きりで参加するコンサートへの緊張や不安も消えていた。
 客電が落ちると、お姉さんは立ち上がり、ピンクのポンポンとスイッチ入れたペンライトを胸の高さに持って、私に向かって小さく振りながら、こう言ってくれた。
 「初めてのコンサートだし、楽しいと良いね」

 私は大きく頷いてから、お姉さんと同じ様に、ピンクのポンポンと買ったばかりのペンライトを胸の高さに持って、小さく振り返した。




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{ 今日はとても綺麗な日没でした(^o^) ]