読響和歌山公演 原田慶太楼&牛田智大 | 私のピアノライフ  with classical music

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1月24日(水)、和歌山で行われた読売交響楽団(原田慶太楼&牛田智大)の演奏会に行ってきました。

朝、雪がうっすら積もっていて、電車は遅れるだろうと思い、早めに出発しました。天気予報から、名古屋から近鉄、難波から和歌山までは、曇り予報だったので、大丈夫だろうと当初の予定通りの行程。問題なく到着できましたが、新幹線を使った楽団員の方はかなりの遅延で大変だったようです。

 

和歌山市の中心部、県庁の近くに文化会館がありました。

ホールに入ると

本日の催しのポスターがあちこちに貼ってありました。

 

【プログラム】

ネイラー:序曲「徳川頼貞」

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

指揮:原田慶太楼  ピアノ:牛田智大   読売交響楽団

 

この演奏会は、南葵音楽文庫委託記念公園ということで、1曲目にネイラーの序曲「徳川頼貞」がプログラムに入っています。

頼貞は紀州徳川家第16代当主であり、自宅に「南葵楽堂」を建て、演奏会が開催された。最初の演奏会の記念となる曲をネイラーに依頼。ネイラーは急いで作曲したものの発送に時間がかかり、最初の演奏会には間に合わなかったそうです。初演は、2年後の南葵楽堂のパイプオルガンの完成披露演奏会に行われたそうです。(プログラムより抜粋)

南葵音楽文庫は読響が所蔵していて、2017年、寄託契約により、南葵音楽文庫閲覧室が和歌山県立図書館に設けられ、一般公開されています。(ちらしより引用)

 

この曲、私も含め、ほとんどの人が初めて聴くのではないだろうか?

曲名に人名が入っているのが不思議な気がします。西洋音楽でありながら、和の雰囲気を感じました。

原田マエストロは、この曲を何度もふっているそうで、ギネスの記録に載っている?そうな。

 

といったわけで、南葵音楽文庫の記念公演ということでネイラーの曲が披露されたのですが、たぶん、ほとんどの人が続く2曲を聴きに訪れたと思います。

 

2曲目は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ピアノは牛田智大。2週間も同じ曲目を聴いていますが、管弦楽、指揮者が変わると味わいが全く異なります。

日本のオケの音とチェコのオケでは音色がずいぶん違います。どっちが優れているとかいうわけでなくそれぞれ持ち味があります。

 

黒タートルで登場した牛田さんと、赤い色が入った靴下をはいた原田マエストロ登場。二人ともスリム。

ピアノの鐘を表す音から始まるこの曲。きょうも、最初の1楽章はピアノの音を抑えていました。その分、オケの音がよく聞こえてきて、オケの音楽を存分に浴びることができました。ピアノが出しゃばるのではなく、オケと一緒に音楽を作るとこんなに壮大で豊かなハーモニーを味わえるのだなと驚きました。1楽章は、カデンツァ以外は、ピアノはオケの一つのパートのように馴染んでいました。

2楽章から、ピアノの音が前面に出ることが増えました。しかし、あくまでもオケとの会話は親密で、管楽器との調和、美しい旋律の歌わせ方は何度聴いても、心が洗われます。

3楽章は、誰もが愛してやまない美しい旋律と、躍動感に満ちたフーガやフィナーレ。

牛田さんのピアノは細部まで気を使って演奏しているのがよくわかります。旋律だけでなく内声やバスの音をさりげなく強調しますし、なんといっても音色の出し方がすばらしい。決して単調な音にならない。繊細かつダイナミックス。そして、幸福感を感じる音。いつも、もう終わってしまう、終わらないでと思ってしまう。

 

終わった後、原田マエストロとひしと抱き合う牛田さん。何回かのカーテンコールの後、原田マエストロに、ピアノに座って弾くようジェスチャーで促され、アンコール。アンコール曲はラフマニノフの「ヴォカリーズ」。とても、聴きたかった曲なので、本当にうれしかった!そして、涙腺がゆるんだ。演奏はまるで、オケのような音色使いで、せつなく歌い上げていました。和歌山まで来たかいがあったわ。

 

後半は、ドヴォルザークの「新世界より」。以前、原田マエストロのこの曲の演奏をテレビで見ました。1、2楽章を続けて演奏し、3楽章の後の4楽章もアタッカで演奏してたので、2部構成の音楽になっていました。この日はどうするかなと思っていましたが、構成は同じでした。細かい部分は覚えていないので、テレビの演奏と比較することはできません。ただ前から、原田マエストロは、なんか面白い演奏をする人だなと思っています。ありきたりの解釈でなく、新しい解釈を試みたいと言っていたと記憶しています。

原田マエストロは、動作が激しく指揮台から落ちはしないのかと心配になるほど。本当は、顔の表情も豊かなので、P席があったら、そこから、顔を見るのも楽しいだろうなと思う。

音楽の作り方として、テンポが遅い所は遅く、速い所は本当に速く、奏者は要求に応えるの大変だなと感じました。表現としては、ぐっとためて演奏を始めたり、所々、レガート奏法というのでしょうか、音を厚みのある音でつなげたり、音楽が単調に流れることなく進んでいきました。テンポの緩急はプラハ響でもありましたが、この日の読響の緩急もかなりのもの。でも、その緩急の付け方や間の取り方は、やはり違う。うまく説明できませんが、例をあげると、4楽章はプラハ響の演奏は、鉄道が走っていく曲になるけど、読響の演奏は、鉄道は出てこない感じ。同じ曲だけど、それぞれ異なるのがクラシックの面白いところ。

といったわけで、今月2度目の「新世界より」もブラヴォー!

アグレッシブな指揮をした原田マエストロ、お疲れのようで、オケのアンコール曲はありませんでした。