プラハ交響楽団 福井公演 | 私のピアノライフ  with classical music

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ピアノ練習、コンサート等で感じたことを気ままに語っていきます。

2024年1月7日、プラハ交響楽団の演奏会に行ってきました。

福井へは行き方がいろいろあり(といっても米原からは鉄道の経路は一つなのですが)、行きは岐阜経由、帰りは名古屋経由を選択しました。

岐阜までも名鉄にするか途中からJRにするか思案して決めたつもりが当日、乗る列車を見送ってしまい、変更。どっちにしても岐阜から特急「しらさぎ」に乗ることになります。

「しらさぎ」は米原を経由するのですが、岐阜ではがらがらだった席が米原でほぼ席が埋まります。そして、車内でみんなばたばたと座席を回転しています。最初は何なのかわからなかったのですが、どうやら進行方向が変わるためだということに気づきました。近くにいた人が座席を反転してくれました。

 行きは武生で降車。駅のみどり窓口で帰りの乗車券を購入。ついでに、福井鉄道の駅を尋ねて移動。

 たけふ新駅からハーモニーホールへ。

2両で、のんびり進みます。路面電車の趣き。

30分ほどで、ハーモニーホール駅へ到着。

この看板を見て、「ええ、そうだったの」とちょっとだけショック。一日乗車券を買って数十円安くなったと喜んでいたのですが…。ハーモニーホールへ公共の交通機関で行かれる皆さん、覚えておいて損はないです。新たけふ駅には、何の表示もなかったわ。

駅のホームには↓

平成9年9月20日にこの駅は開業したそうです。

駅からホールまでは数分。広々とした敷地に建っているので誰でもわかります。

ホールの近くにあるフレンチレストランでランチをとりました。

おしゃれな看板が入り口近くにありました。

プレートランチをいただきました。

他に、コーヒーとデザートも付きます。この日は欲張って追加でシフォンケーキも食べました。

 

ホールへ向かう途中、オブジェもありました。

 

ホールの見栄えが素晴らしい。洗練されたデザインですね。

周囲の景色にうまく溶け込み、美しい風景を醸し出していました。

 

ホール内に入ると↓

この日の公演を記した看板がありました。

そして、

フルートを吹く女性の像がありました。

会場内は撮影禁止なので、撮っていませんが、シャンデリアの照明で、ゴージャスな雰囲気でした。とても、地方のホールだと思えない素晴らしさ!

このハーモニーホールは前々から行きたかったホールなので、今回、プラハ響と牛田さんという組み合わせの公演がここであり、願いがかないました。

普通は発売日にチケットを購入するのですが、その頃、体調不安からコンサートに行けれるのか自信がなくてしばらく見送っていました。エコー検査で問題なしと言われてようやく気が晴れ、購入。その頃、すでにチケットは9割方、席が埋まっていました。

チケットを取ってしばらくしてから完売御礼の知らせがあり、間に合って良かった!

 

【プログラム】

「伝説」から第3曲 op.59-3   ドヴォルザーク作曲

 ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18  ラフマニノフ作曲

交響曲 第9番 ホ短調 op.95 B.178「新世界より」 ドヴォルザーク作曲

 プラハ交響楽団   指揮…トマーシュ・ブラウネル  ピアノ…牛田智大

 

地震の影響で断念した人がどれぐらいいるのか気になりましたが、ざっと5パーセントぐらいかなと思われました。同じ北陸でも福井は大きな被害はないようです。

 

今回は、2階上手のバルコニー席から聴きました。バルコニー席、けっこう好きです。一列目なので前に人がいない。指揮者や演奏者(上手側のコントラバスや後ろの席のチェロやヴィオラは見えませんが)がよく見えるので、管楽器のソロが誰が吹いているのか確認できます。ピアニストの顔も屋根で見え隠れする物のよく見えます。

 

舞台上にはすでに、ピアノが置かれていました。1曲目はオケだtけの曲ですが、ピアノを置いたまま演奏するようです。

団員入場、コンマス登場、チューニング、指揮者が登場して1曲目の「伝説」が始まりました。

この曲は聴いたことがあるようなないような曲でしたが、いかにもドヴォルザークらしいチェコらしさにあふれていました。

チェコのオケは弦楽器の音に特徴があると聞いていましたが、弦の音に色を感じました。日本のオケには色は感じませんがこのプラハ響の弦は赤系の茶色が思い浮かぶのです。豊かな響きが大地から湧いてくるような感じがします。

 

2曲目は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ピアニストが登場する前にオケのチューニングがあるのですが、コンマスが低弦、ヴァイオリン、管楽器と順番にピアノのAの音を出していました。何度もピアノのAの音を出しているのが不思議!そして、コンマスは自分のヴァイオリンの音は全く出していませんでした。

ピアノの音を出した後、コンマスがその音を拾って他の楽器にチューニングを促すのが普通だと思っていたので、このチューニングの仕方には驚きました。

 

チューニングの後、ソリストと指揮者が登場し、曲が始まりました。

冒頭の鐘をイメージした音は弱音から徐々に音が大きくなっていきます。この緊張する部分から、次の動き出すオケの旋律は重層で躍動感に満ちていて気持ちが高まります。弦の音が分厚いので、しびれます。1楽章は、ピアノの音は抑え気味のような気がしました。前にバンと出る音でなく、大きく包み込むような豊かな音。浜コンで弾いていたはちきれそうな若い音でなく、大人になり、包容力が増した落ち着いた音。ショパコンの後、ずいぶん音が変わったなと思います。

2楽章は、本当に美しかった。ピアノの歌わせる部分はもちろん、オケとの対話が素晴らしい。プラハ響は、木管も金管も音が素晴らしい。

3楽章は、ロマンチックなあの有名な旋律がヴィオラもピアノも素晴らしい歌で、夢見心地でした。そして、フーガの部分も完璧に繋いでいて、最後の盛り上がりのオケの音に熱を感じました。躍動感に満ちていました。

全体を通して、緩急の付け方が大きく、間の取り方も独特な感じがしました。かなり、合わせるのが大変なやり方を指揮者は選択していましたが、それが見事にオケが応えていたと思います。

曲が終わった後の、高揚感がなんとも気持ち良かったです。重層な音に負けない牛田さんのピアノ、素晴らしかった!

 

アンコール曲は、パデレフスキーの曲だとわかるのですが、曲名がわからない。(ミセラネアでした。)このアンコール曲がさっきまでの緊張をほぐすかのように心にすっと入ってきます。このキラキラで優しい調べを聴いていると、また牛田さんのピアノを聴こう!っていつも決心をしてしまいます。

 

休憩後は、「新世界より」。定番中の定番。学生オケ、アマオケで演奏したこともあるので、曲を一緒になぞって歌えるほど、リピートしている曲です。それゆえに、けっこう進んで聴きに行きたいとは思わないのですが、チェコの本場の人が演奏するなら興味がわきます。

コンマスが女性に変わりました。チューニングは本来(?)のコンマスのヴァイオリンの音をオーボエが受けて、みんなが合わせるやり方でした。

どの楽章もくっきりと音楽の形が見えてきます。弦もさながら、管楽器のソロが素晴らしい。2楽章の弦の少人数で演奏する部分は厚みのある音で、今まで聴いた演奏の中で一番ほれぼれしました。

そして、今、ちょっと話題になっているティンパニの男性の動作が生き生きとしていてとてもチャーミング。のりのりの感じがクラシックというより、バンドマンみたいで、目が引き寄せられていました。(普通、指揮者を見るのですが、今回は気づくとティンパニのお兄さんを見ていました。)

4楽章の冒頭を聴いた瞬間、そういえばドヴォルザークは鉄オタだったことを思い出しました。冒頭で、列車が出発し、最後に到着して終わるように感じませんか?鉄道のことを考えてこの楽章を作ったわけがないですが、なぜか鉄道をイメージしてしまいます。

チェコの人の魂みたいなものを感じる演奏でした。こんな素晴らしい「新世界より」が聴けるなんて幸せ。

 

アンコールはスラブ舞曲から2曲。しっとりとした物憂げな旋律でできている10番と、勢い、活気に満ちた15番で、華やかな幕切れでした。

演奏会はとても良かったのですが、帰り、敦賀で落雷のため、停電し、電車が大幅に遅れました。予定より1時間半ほど、遅く帰宅。北陸の冬は天候不順が当たり前なので仕方ないのですが、遅延は疲れますね。演奏ツアーであちこち行かれる音楽家の方は、大変ですね。改めて尊敬します。