越後⑤頸城の里の奇跡的なものたち | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

上越市を地図で眺めるととても広い。糸魚川市や魚沼市も広いけれど、山間部を覗いた居住範囲では上越市が圧倒的に広いように思える。三日目の糸魚川からの続きとして、最西部の県道245と県道269に沿ってサプライズを求めていきます。

 

【2024年8月6日】  名立~東飛山~横畑観音堂~

 

県道245東飛山名立線を南へ

 

①江野神社(上越市名立区名立大町)

午前11時の名立の町並み。国道8号から右折して県道245へと入っていく。江野神社から眺めると黒い屋根の連なりが見える。日本海も空も穏やかです。

松籟に満ちて、明るい社頭。あまりの暑さに石段は上がらなかった。

 

②岩屋観音堂(上越市名立区名立大町)

北陸自動車道をくぐると突然名立駅が現れる。線路はほとんどトンネルの中で、一瞬名立川を渡る所だけ地上に出て駅がある。まもなく左手山腹に岩屋観音堂。駐車場も案内板もある。

越後観音霊場第一番札所である。いろんな霊場が混在するので、頭が混乱する。納経所の案内も親切で、雰囲気もある。もしも巡るなら、頭のすっきりした秋がいいでしょう。

 

石仏もたくさんあった。三十三観音石仏。

千手観音や聖観音など。

コケの衣の如意輪観音。

 

③八幡社諏訪社合殿(上越市名立区折居)

この県道沿線は、なぜか名立区という名称になっている。上越市の集落は区に入っていたりそうでなかったりと不思議だ。折居の細い集落道に入った所。向拝の彫刻を見上げたら、なんだかすごい。とても古くはないようだが。

ほぼ透かし彫りで幾重にも重なっている。

 

神社の上の道に出てみたら、傾いた石仏が並んでいた。石も首も傾げている。

なぜか七地蔵+1

 

④善興寺(上越市名立区森)

次の森集落にも入ってみた。お堂を見るとまた十王様だ。真ん中には閻魔大王。いつの時代か分からないが木彫像に彩色して、それが剥げかかって凄みを増す。

もれることなく、奪衣婆も祀られている。

人頭杖と業の秤が一体化している。やや業が重いように見える。

 

⑤甲埜神社諏訪神社合殿(上越市名立区森)

集落内を道なりに進んで、ここにも立ち寄った。

 

⑥上名立小学校(閉校)

さらに奥へと進んで、ここで北陸新幹線をくぐるのだから驚きである。いったいどれだけトンネルを貫いているのか。新幹線脇の松屋美容院の巨大な建物も廃屋になっているようだった。

やがて右手に花立温泉ろばた館が見えたら、隣りが小学校だ。2002年に閉校となっている。

これが校舎だったのか詳細は不明だが、すでに相当傷んでいた。

 

⑦岩尾の石仏群(上越市名立区瀬戸)

厳橋で名立川を渡った瞬間、左手の峡谷の壁にある。文政年間に祀られた一体が始まりだった。ここは当村の某の娘が水死したという難所であり、徐々に観音像も増えていったようだ。一番右には毘沙門天もいる。

 

不動明王を中心として、たくさんの観音石仏。

馬頭観音、如意輪観音、、、

その奥には沢が流れ、小滝が連なっていた。

 

東飛山集落(上越市名立区東飛山)

さらに1.5kmほど奥へ進むと東飛山集落となる。ここはかなりの民家数があるのだが、ここが唐突に最奥集落となっている。もとはといえば集落内にある八幡社はどんなだかをストリートビューで見ていたら、驚くばかりの特徴的家並みがあるのを発見した。ここは重伝建でもないし、日本の美しい村認定でもない。すばらしい隠れ里をご紹介します。

 

東飛山バス停前に生涯学習センターの大きな建物がある。ここは旧不動小学校だった。広い駐車場に停めて歩いていく。すぐに目に飛び込んでくるのが独特の大屋根である。不思議な造りをしている。棟の部分には気抜きがあるのだろうか。入母屋の側面の屋根には小窓が造り付けられている。かつてはみんな茅葺きだったのだろうが、カラー鉄板で葺き替えられている。それが却って色彩感を増して、風景に艶を与えている。住んでいる人は、そんなことは気に留めてないかもしれないが。

人の気配は全くなし。一人だけ見かけた。家屋裏側の道からの風景。道なりに登っていきます。

 

八幡社の脇道の上を望む。冬はさぞかし生活がたいへんだろう。この屋根なら雪はたやすく落ちるのか。

 

八幡社に横から入ってみます。何か大きな石碑が見える。

 

なんと、六地蔵+如意輪観音でした。すごい力作です。

廿三夜と猿田彦を一石に彫った石碑もあった。

 

別道から下っていくと、大きな池のある家屋。屋根架構にもバリエーションがある。いったいどんな間取りなのでしょう。住みやすいんだろうか。

 

唸らざるを得ない。

時の流れで朽ちさせてしまうのは、あまりにもったいない。

たとえば、東飛山プロジェクトみたいなのがあってもいい。

 

県道に出たらバス停。時刻表を見ると意外や、結構便数があった。

 

不動小学校の旧校舎であろう。

閉校50周年! 卒業生が作った壁画レリーフがある。雪をまとった頸城の山々。こういう土地での幼少時代に思いを馳せてしまう。

これにて東飛山探訪は終わりです。

 

県道269土口谷浜停車場線へトラバース

 

⑨横畑観音堂(上越市横畑)

一旦海まで戻って隣りの県道へ入り直すのは難儀である。時間ももったいない。ということで名立区東蒲生田から舗装林道(4.2km)での横断を試みた。道幅の広い区間もあるものの、草被りがすごくて走破できるのか物凄く不安だった。

どうにか無事に東側の県道に抜けきることができた。そしてまた最奥の横畑集落へ。

ぽつんと観音堂の横には六地蔵。奥には古民家カフェ&レストランもあって興味をそそるが、本日休業。ここからまた日本海へ向けて走る。

 

⑩十二神社(上越市東吉尾)

東吉尾の東林寺前を入っていくと到着。さりげない、何もなさそうな雰囲気だ。

 

ところがいました、神殿狛犬二対。しかも立派で、よく見える。

すばらしいですねえ。

 

⑪白山神社(上越市西山寺)

しばらく走って、これまた入口の分かりづらい所。拝殿にいろいろ彫刻があるようだ。

すばらしく独創的で技巧的です。

 

両界板碑があるという情報だったが、これのことか。ちょっと難解でした。

 

⑫正八幡宮(上越市下綱子)

続いては桑取川を挟んで対岸の神社へ。ここも彫刻が凝っている。

 

これは参拝ができるようです。

絶品です。神殿狛犬ながら木製ではなくて石造。この顔立ち。

頸城の山里は数多の神仏・神殿狛犬が満ち溢れていた。隠れ里の風景もあった。

もっと何かを秘めているかもしれない。

 

これにて長かった一日は終了です。

旅はもう少し続いていきます。