魚沼の石仏は過去にも何度か訪ねたことがある。今回は雪国観光圏のWebサイトでたくさんの石仏めぐりコースを見つけたので、これをアレンジして行ってみることにした。
まず、【南魚沼市】霊峰八海山大崎口の石仏めぐり というコースから始めてみます。
坊谷山から八海山へ連なる尾根が霞んでいる
雪国観光圏のサイトはこちらです。
【2024年7月24日】 霊峰八海山大崎口の石仏めぐりと石川雲蝶の世界
まず麓集落にある六万騎山登山口の駐車場に車を置いた。ワンウェイで8kmのコースで、帰りはバスでここへ戻って来る想定だ。3時間を見込んで、5時30分に出発。
①麓の地蔵堂の石仏、腰掛岩・縁結びの木
出発地点に地蔵堂がある。しばし石仏群を眺めていく。
では六万騎山の裾野を北へ歩いていきます。田んぼの向こうに魚沼の民家が並んでいる。
②水尾の爪引地蔵 は場所不明。だいたいにおいてガイドマップの記載位置もアバウトで、自分で拾い直す必要がある。Google mapを使って。
③水尾の道光寺の石仏
水尾簡易郵便局のある集落に入っていくと、T字路の正面に石仏群。法華千部塔が大きい。
庚申塔もいろいろあった。
コシヒカリの田園を眺めながら、関越道を横切っていく。今日は朝から降ったり止んだりで、折りたたみ傘が手放せない。
今町新田の南外れに神明社があったので行ってみる。なかなか立派な狛犬。
④今町新田の赤虫大明神
小さな、散らばったような集落だ。
ツツガムシ病を引き起こす赤虫を祀ったもの。たとえば疱瘡神みたいなものだが、大明神にまで祀り上げている。
隣りはと見れば、役行者が前鬼・後鬼を連れていらっしゃった。
ずいぶんまろやかな彫りで、女神に見える。
県道266に突き当たって、右折していく。豪雪対策として雪国仕様の混構造三階建、1FがRCで、2F・3Fが木構造になっている。2004年の新潟県中越地震で強かったかといえば、そうでもないらしい。現在見ている風景は、ほとんど建て替えたり改修したものなのだろう。
それにしても見事なファサードだ。
⑤柳古新田の火防地蔵
関越道を東側へ越え直して、左手のお堂前にある。ここに限らないが、雪国の石仏は1年の三分の一は雪に埋もれているのであろう。
⑥大崎の道標、他
火防地蔵から集落を北へ抜けて県道28に出ると広い墓地がある。道標よりも役行者のほうが存在感がある。
ここ南魚沼だけでも役行者が複数見られるのは、どういう信仰なのだろうか。
指差し道標、「うらさへ」と指している。
大崎の龍谷寺へ向かっていきます。八海山をちょうど横から見ている感じだが、稜線のギザギザがよくわかる。
魚沼スタイルの民家には、背の高いひまわりが良く似合う。
番外、龍谷寺
ここへ来たならば石川雲蝶の彫刻を拝観せねばならない。しかしまだ9時前なので後ほど車で来直すことにします。
石川雲蝶についてはこちら
⑦大前神社
国道291をアンダーパスすると、すぐ境内になる。魚沼の狛犬。
耳が異常に大きいですね。
参拝していきます。双体道祖神もいる。
国道の大崎トンネルをくぐると穴地集落に入っていく。その入口の三叉路に、穴地の一本杉がある。
根元に祀られていたのは不動明王だった。
⑧穴地の火防地蔵・二十三夜塔・如意輪観音
穴地北の三宝院の境内に並んでいる。
二十三夜塔は文政5年、字が小学生的である。
お堂を覗いてみたら、地蔵菩薩と十王様がずらっと並んでいた。網入りガラス越しに見る。
厳粛な面持ちで。
地蔵菩薩の眷属の童子もおります。いつもながらに、十王空間はすごい。
続いて穴地南の集落へ向かう。魚沼三層構造建築には美的な印象すら受ける。ちょっとした民宿レベルだし、内部にも興味津々だが。
集落へ入っていくと、もう少し伝統的スタイルの家が寄り添っている。
それでも地震の痕跡や、改修された雰囲気もあったり。
ハイセンス、の一語に尽きます。
⑨穴地の導きの地蔵・庚申塔
建築構法が入り混じって調和した景観の中、お堂と石仏群がある。
二十三夜塔や、
青面金剛の庚申塔。
違う道から集落をたどれば、今度は板壁が美しい。
番外:穴地十二大明神
実はここにも石川雲蝶の作品群があるのです。越後の、とは控えめな。
内容はこういう感じです。パンフレットより。
狛犬もけっこう洒落ている。
まず向拝の装飾や木鼻。このへんは割とありがちな。
拝殿内部も参拝できる。欄間には、大江山の酒呑童子。
源頼政の鵺(ぬえ)退治。これは未完成作品である。
地味で単調に陥りがちな石仏めぐりだが、最後に石川雲蝶の全く別の世界を見ることができて良かった。そして八海山の風景と魚沼スタイル建築がアクセントになってくれた。
ちょうどよい時間になったので穴地バス停へ向かった。しかしそこを経由する路線は廃止になったとのこと。仕方なくさっきの一本杉の所の穴地入口バス停まで戻って、無事に乗り込むことができた。何が起こるかわからないものだ。
つづく