下仁田ジオパークで下仁田再発見 | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

昨日はジオパーク秩父でいろんな目線で岩と渓谷を眺め、そして観察した。今日はその勢いで下仁田ジオパークを攻めてみます。そしてそのゴールには、上武絹の道・絹産業遺産の源流である『荒船風穴』があります。そんな下仁田の扉を開いてみましょう。

 

①鎌田の板碑群

5時20分に下仁田ICを降りた。いつもは左折して山へ向かうけれど、今日は右折して料金所の東側の丘へ向かった。まさにETCゲートの真東30m地点に庚申塔が建っている。今回初めて知った史跡である。ここが「しもにたたび」の出発点です。

草に埋もれて、たくさんの小さな庚申塔も並んでいた。

 

次は道の駅しもにたに車を停めて、馬山(まやま)界隈を歩いてめぐります。道の駅にはこんな大看板が立っている。ジオパークとは言っても、ふつうは掴み所がないのではなかろうか。今日はジオと史跡が混在しているので、頭を切り替えながら順繰りにたどっていきます。

 

②米山寺

まず、道の駅の裏山に登る。この周辺はジオ的には「上位段丘の下仁田ローム層」と呼ばれるが、風景を眺めても感じられるものではない。慈覚大師円仁の作といわれる薬師如来を祀っている。境内をさらっと見ていく。

 

再び反対側の丘を下っていく。下仁田エリアでも、このあたりはまず来ることがなかった。下仁田ローム層の耕作地。

下仁田ネギの畑だ!と言ったら家内が、「あれはタマネギでしょ」と言う。

 

③馬山の養蚕水路跡

このあたりには養蚕業の下仁田社馬山組中橋製糸場などがあった。動力源は水車で、水車へ水を引いた水路が残っている。今は草茫々で、人目に触れることもない。

その下手で見つけた建物が、かつて水車で稼働した事業所だったかもしれない。

 

④若宮八幡宮への道

国道254を北へ越えて、若宮八幡宮へ向かう。集落内の路傍の墓地で、不思議なものを発見した。コンクリート台座だが、常夜燈と刻んである。何のためにここにあるのか判らない。

電灯線が引いてあって、明かりが灯っている。謎の馬山の常夜燈。

 

馬山の農村風景と、鏑川の向こうに破風山・鍬柄山あたりだろうか。

 

石垣上の民家の風情。

桑の木が少しばかり、取り残されたように育っていた。

 

若宮八幡宮に到着。特別なスポットでもないけれど。小さな祠と古井戸が残っている。

 

⑤栄命寺

ここは平安時代の天台僧、慈恵大師良源の開基である。元三大師の名で世に知られている。

墓地の一角で見つけたこの方は、奪衣婆ではないか。

 

⑥馬山神社

少し西へ進むと馬山神社で、ここは下り宮である。富岡の一ノ宮貫前神社と同じ造りだ。右手は神楽殿で、獅子舞の伝統がある。下仁田歴史館に展示されていた獅子頭がそれだったかな。

塞の神=道祖神、と三柱が合体。どんな意味合いか?

 

⑦神戸橋周辺の養蚕関連跡地

県道48に出て、神戸橋の先あたりまでが養蚕の名残を感じさせるという。嗅覚を鋭くしないと気付かずに過ぎるだろう。

今はもう、普通の生活すら営まれているのかどうか。

 

二層の屋根が何かを語りかけている。秘められたキーワード。

 

時には豪邸もある。

歩いてきた道を振り返る。蚕のイメージはほぼ風化していた。

 

県道を離れて見下ろすと、大屋根が全部くっついている。かなり大きな製糸工場だったと思われる。耕作地を突っ切って、鏑川へ向かう。

 

⑧不通渓谷

上信電鉄千平駅へ通じる道が鏑川を越える地点、不通(とおらず)橋がある。その下が不通渓谷だ。南蛇井層の泥岩・砂岩と、神農原礫岩層で形成される岩盤である。この渓谷が侵食されるのに1万年かかった。下へ降りる道はあるのかどうか、見つけられなかった。

反対の下流側は滔々と流れていた。金網越しで撮ってます。

 

⑨安楽地の板碑

不通橋から道の駅へ戻る途中の墓地。ここに重要文化財あり。

この板碑は武蔵型であるから、昨日徘徊した皆野町あたりで産出した石だろう。板碑の流通も興味深い。道の駅へ戻って、ウォーキング第一部は終了。約4kmだった。

 

⑩蒔田不動の滝

次は車で、稲含山へ向かう途中にある滝へ。下蒔田集落から少し脇に入ると専用駐車場がある。ここから歩くのが無難だ。作業道の分岐を右へ、左岸に沿っていけば15分ほどで滝に着く。

左の石段を上がると、蒔田不動尊が建っている。違った角度から滝を眺められる。年二回、不動尊の御開帳と護摩炊きが行われるという。

岩盤は下仁田最古と言われる、2億7千万年前の川井山石英閃緑岩である。下仁田周辺の山々はクリッペ(根なし山)である。山自体がどこかから移動してきたもの。下仁田ジオはとても奥深いけれど、私はそこまで入ってはいきません。

 

こんな事もあるそうです。いつかチャンスがあれば見に来てもいい。

最下部に小さな段があるのが面白い。

 

不動尊の由緒書き。

 

不動尊からは上側の林道を戻っていく。途中の標識です。

 

⑪はねこし峡

さて、序盤の最後。国道を下仁田駅方面へ向かい、石淵橋を渡って白山地区に入る。右手の白山製材の向かいに駐車場へ下る細い道あり。西上州へ向かう人なら、誰しも通っている道の脇だ。駐車場の奥から急斜面を下ると、広い河原に巨大な岩盤が突出している。

手前から、河原・岩盤・鏑川となっている。なんとも不思議。

 

岩盤の上に立つと、激流を見下ろせる。ここ危険なので、十分に注意です。

途中の穏やかな瀞。

 

微妙な斜面に置き去りにされた石。次はいつ動くのだろうか。

 

ここは7千万年前の神農原礫岩だ。岩の中に赤い礫が入っているというが、、、

 

やっと今日も目が覚めたという感じだ。すばらしい渓谷!

 

激流のすぐ隣りでは、不気味なまでに静まり返っていた。

 

さらに下仁田町中心部へとつづきます。