地下神殿へ潜入してみた | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

春日部の江戸川のほとりに、地下神殿がある。今日はそこへ行ってみよう。

 

地下神殿はなんのために存在するのか?

 

正式名称は首都圏外郭放水路「龍Q館」、通称は防災地下神殿である。国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所の管轄。見学は予約制で4本のコースから選ぶ事ができて、毎日5回ほど実施されている。参加費は¥1000~¥4000です。あなたもいかがですか。

 

【2024年5月14日】

国道16号からちょっと入って、たどり着いたはここ。地下神殿はどこでしょう。

横から見たらこんなに長い建物。ここは排水機場になっていて、施設全体のコントロールセンターでもある。

 

予約したのは15時からの「立坑体験コース」(¥3000×2名)で、まだ時間があるので外部を見学してみます。

 

トンネル(地下河川)を掘削するのはシールドマシン。その先端部が屋外展示されている。トンネルは地下50mの大深度で、内径10.6mという巨大なもの。密閉型泥水式シールド工法。

 

 

13年の歳月をかけて2006年に完成した。我々が働いているときや遊んでいる時にも、人知れず地下で工事が進行していたのです。

 

では龍Q館へ。

別の見学コースのガイダンスをやっていた。

 

大落古利根川から江戸川までの間で、5本の中小河川からの洪水を集める。地下トンネルで送水して、排水機場の第一立抗から巨大な調圧水槽に送り込んで江戸川へ排水するというイメージです。全長6.3kmで、洪水対策に著しい成果を上げている。

 

定刻になりました。こちらは110分の見学ツアーで、途中にトイレはなし。ヘルメット着用エリアもあります。まず建物を出て別の入口から入って、鉄骨階段を下ります。

あっという間に地下神殿にワープしました。ここが調圧水槽で、長さ177m・高さ18m・幅78mという巨大空間。毎年5回から10回くらい実稼働していて、もちろんそんな時はここに立てません。

 

柱1本が500t。それが59本ある。圧倒的な地下神殿だ。

 

APというのは荒川工事基本水準面のことで、TP東京湾平均海面よりも1.134m低い。

柱の断面が長楕円形なのは、流水力学的に理由があるそうで。

 

ここで自由見学タイム。

コンシェルジュが、不審行動がないか見張ってます。移動の際には人数チェックもやっている。

 

地下神殿の末端部分は巨大開口部になっていて、その向こうには第一立抗が口を開けている。

 

春日部に住んでる妹夫婦も誘ったけれど、「そんなとこはいやだ、コージさんは高いとこ苦手だし」と断られた。地元のことを勉強したらいいのに、恩恵に預かっているんだから。

ではそろそろ次へ移動します。一旦外へ出ます。階段は自力で上がってください。

 

別の建物の入口から、今度は第一立抗に入り込みます。さっきいた地下神殿が見える。この立抗の上部を一周しているキャットウォークをぐるっと回りますので、ヘルメットと安全帯を着用する。

深さ70m、内径30mの空間。底のほうに連絡トンネルがあり、災害級の大雨の際にはここを水が上がってきて地下神殿へ流入していく。

 

階段を下りますよ。「高いところが苦手な人はいませんか?」とコンシェルジュが念を押している。私もあまり得意ではないのですが。

下を見なければ怖くないです。

 

作業用エレベーターは設置されている。

高度感はありますね。途中まで下ったら今度はまた上に上がる。

 

立抗最上部を一周していきます。セーフティレールがあるので、絶対に落ちない。それよりもスマホを落とさないようにとの注意があった。実例があるそうだ。回収は不可能。

落ちないなら安心です。

 

壮観の一語に尽きる。

ネットの汚れ位置とコケの上端が一致する。最高水位レベルあたりでしょうか。

 

それにしても最初の発想や設計のスケールに驚く。

『地下神殿&立抗』は非日常体験をしながら、土木最先端を知ることができる。有意義な110分間でした。

 

外に出たら夕方5時前、青空と江戸川から吹いてくる爽やかな風が体を包んだ。

おわり  (ご予約はリンクからどうぞ)