秋田遠征の二日目、予定していた太平山奥岳は登山道崩壊のため中止となりました。秋田に到着した日に観光案内所に立ち寄って情報ゲットして良かった。もっともそういう天災の影響は昨年夏の時点で判明していたわけだが、太平山のことばかり考えて暮らしてるわけではないですから。仕方ない。
体調回復を含めてワンクッション置こうということで、今日はタイトル通りのメニューに変更します。雨の日やこういう日のために作り置きしといた計画です。
仁王・狛犬・力士、その他民俗信仰の数々
【2024年5月10日(金)】
①薬師神社(大仙市協和荒川)
秋田市内を早朝に出発して、田沢湖駅への最短経路を走っていく。R46道の駅協和周辺でまず2箇所。ここでは秋田の神社建築の装飾的特徴の一つである『力士』が軒下を支えている。装飾とは書いたけれど、実際は力学的な必要部材でもあるようだ。目つきが鋭い。
建物の四隅にいて、同じ形のものはない。GW頃までは雪囲いのため見るのがかなり厳しいが、今は問題なく鑑賞できます。この周辺の神社をめぐっても、力士だけ見てさようならというパターンも多いのです。
②鬼子母神堂(大仙市協和荒川)
ここは以前にGoogleMapかなにかで見つけたスポット。何があるかわからないままに訪れてみた。お堂の扉を開けると、おどろおどろしい鬼子母神がいた。鬼子母神をこんなふうに表現するのは極めて稀だと思う。なまはげ文化的な土地柄のせいか。
その他いろいろあってここは大当たりだった。
③中生保内神社(仙北市田沢湖生保内)
R46をひたすら道なりに走って、角館バイパスから田沢湖の東側へ。ぎりぎり車を停めるのを、狛犬が見ていた。かなり笑いを取れるヤツだ。
もっといろんな角度からお見せしたいところですが(笑)。今日はスポットの数が多いから、急ぎ足でいきますよ。
④御座石神社(仙北市西木町桧木内)
田沢湖ではキャンプしたこともあるし、いつも秋田駒や乳頭温泉方面が目的地だった。今回は始めて北岸へ。
これはなかなかいいロケーションなのでした。
手摺柵もない岩礁の先端からは、急激に落ち込んで深いブルーが支配していた。恐ろしいほどの深淵を感じる。
山側へ踵を返せば社殿に誘われる。
人魚のたつ子姫像があった。永遠の美と若さの化身であるという。怖い眼差しである。
⑤塞ノ神堂(仙北市西木町桧木内)
田沢湖西岸から秋田内陸縦貫鉄道へと抜け出た。少し北へ進んで酒屋の隣りにある。
祀られているのは金精様仕様の塞ノ神だった。
⑥旭山神社(仙北市西木町桧木内)
今度は南へ。桧木内の集落に入って2箇所ほど。ここは再訪になるが、覚えてない。
長い石段下の石造仁王像一対。
適当に休み休み登ります。
神寂びた狛犬が待っていた。裏山にも風化した石仏などあり。苦労して登っただけのことはあった。
⑦稲荷神社(仙北市西木町桧木内)
車で少し移動して。小さな十字路からとても急な斜面を登っていく。上は意外と平坦で、社殿と言っても小屋掛けのみだ。
きつねのお面が一つ懸かっていた。たったこれだけか、と思ったら、、、
広場の片隅にこんな丸太組があった。これが仁王様の骨組みだったのだ。
仁王様は百年以上前から伝わる風習で、道祖神とか鹿島様に通じる意味合いがある。旧来の面は70数年を経過したため、平成8年に作り直したという。しかしここにはない。
参道の登り口に部落会館があって、扉を開けてみるとお面が保存してあった。
「人形建て」の行事もコロナ禍のため中止となってしまった。限界集落化ということもあり、令和2年を以て行事は取りやめとなったそうだ。「仁王様の解体」という記録書類が保管されていた。平成8年物と先代が並んでいた。
⑧大国主神社(仙北市西木町西明寺)
R105を南へ下って、西明寺集落の字堂村。朽ちた仁王門には、相当傷んだ仁王像があった。修復されるような文化財でもないから、朽ち果てていくのみか。
足は失われ、腕はかろうじてぶら下がっている。
⑨金峰神社(仙北市田沢湖梅沢)
田沢湖線神代駅の北側、深い森の中に鎮座している。参道の奥に仁王門が見えている。
異形の異彩を放つ仁王像が、こっちを見下ろしているようだ。
数多ある仁王像の中でも、ピンクの彩色はここだけか。狭い空間に独特のムードが漂っていた。
木目の美しさからすると、さほど古くはないのかもしれない。
秋田文化圏の仁王像には様々なバリエーションがあるようだ。
狛犬は苔むして、境内に溶け込んでいた。
親子で視線を合わせて。
小さな祠には毘沙門天像。
集落から抜け出ていく途中で路傍の祠にこんなお面があった。これは道祖神の一種で、「おにょ様」と呼ばれている。「お仁王様」が訛ったものである。秋田県内の数ヶ所にあるらしい。
⑩小沼神社(大仙市豊岡)
金峰神社からまっすぐ南下していくと、すぐに大仙市に入る。東にはもう和賀岳山群が連なっている。この神社は標高差130mほど登らねばならない。「菅江真澄の道」の標柱もある。中腹の仁王門に変わった像容の庚申塔があった。青面金剛ではないのかもしれない。背後の仁王像は金網のため写真映りは今ひとつだ。
山上に佇む社殿。昔は沼に反り橋が懸かり、真言宗寺院だった。
⑪真昼山三輪神社(美郷町浪花)
ひとまず大仙市を抜け出て美郷町に入った。石段を上がると広大な平坦地に拝殿が建つ。明けっ広げな境内だ。山が見えるのかと思って裏手へ回り込んだ。
案の定、真昼岳が南へ少しなびいているのが望まれた。山頂の三輪神社奥社が点に見えた。この神社は御神体の山が見えるという点で、一つ秀でているといえるだろう。
⑫善知鳥坂神社(美郷町金沢東根)
次は女神山の西麓へ。農道からすぐに石段を上がった森の中。
拝殿の彫刻が見事だった。善知鳥という名が付くと、何かしらの伝承がありそうだ。
⑬諏訪神社(美郷町六郷)
美郷町の中心部は六郷で、湧水が豊富な土地である。清水の館わくわく(観光休憩所)があって、2Fはブルーの部屋になっている。壁にたくさん貼ってあるのは願い事を書いたシール。それがぶくぶくと湧き上がる水玉のよう。
その隣りが諏訪神社。今日登るはずだった、太平山の石碑もある。
⑭日吉神社(美郷町佐野)
六郷の南方の田園地帯にて。
久しぶりに力士。隅木を背負いあげている。
力士は四隅におられます。
本殿の彫刻は豪華絢爛だった。これにて美郷町内は終了です。
⑮高梨神社(大仙市払田)
再び大仙市へ。柵の湯の南東に小高い丘があって、その上に建っている。大曲周辺の里山がいろいろ見えていた。見るのも考えるのも疲れてきました。
⑯薬師神社(大仙市高梨)
丸子川のほとりに建つ神社。万延元年の狛犬。
⑰はなびアム(大仙市大曲大町)
本日最後となりました。大曲の花火です。
ここは二度目だが、本物の花火はまだ見てない。大曲へは都心から夜行バスでも来れるので、そんな花火旅もいいかもしれない。
ここにも菅江真澄が登場している。
花火玉の現物。自動玉貼り機も展示してあった。元は中国製だったが具合がいろいろと悪くて、国産を開発したそうだ。
ここでマンホールカードをもらって、本日の締めといたしました。
つづく