虫倉山から下山して、松本のホテルにたどり着いた。ホテルが建つのは中町の一画。中町は蔵の町並みで、驚くほど魅力的なスポットになっている。晩飯前の散歩に出かけます。
女鳥羽川の一ツ橋
中町界隈があるのは松本城の南側で、東西に流れる女鳥羽川の一本南側の道筋である。かつては善光寺街道の一部だった。しばらく前に観光案内所からマップを送ってもらったので、気になっていた。選んだホテルのそばだったのは幸運だった。
まずちょっと、観光案内所に行きます。
中の橋を北へ渡るとナワテ通りを横切る。ちょっと落ち着いた店が並んでいた。どこもかしこもきれいに整備されていて、景観に無駄がない。
ここで新たな情報を仕入れていきます。マンホールカードもあるというので、ついでにもらった。松本だから河童橋とか涸沢カールの図柄を期待していたが、松本手まりという民芸品の絵だった。
その向かいには大名小路井戸がある。松本市内にはこういう町中井戸がたくさんある。あるということは昔から知ってたけど、見たのは初めてだ。
考えてみれば、松本市内では石仏めぐりくらいしかやったことがない。
幸橋で女鳥羽川を南へ渡る。
いよいよ中町通りに入ります。少しずつ雰囲気が出てくる。人の流れもそんなには多くなくて、写真も撮りやすかった。
少し進むと、壱の蔵という店。店蔵を再生した感じだが、卯建とかは見られない。
井原漆器店は古風な趣があります。この界隈は江戸末期から度重なる大火に遭って、耐火性のある蔵造りの建物が増えた。今も新しいなりに、そんなデザインが継承されている。
中町・蔵シック館は3棟あって、右は茶房で左奥は酒造の母屋。明治21年の大火では1500戸が焼失した。その年に建築された母屋である。
平成8年に移築再生されて、中町・蔵シック館になったとのこと。
前庭には井戸がある。
内部はこんな雰囲気。
「奥の蔵までどうぞ」という案内に誘われて、路地に入ってみた。塀までおしゃれに黒漆喰ふうに仕上げてあった。
道端の案内図。
松本市街にこんな界隈があったとは、本当に驚きです。ミドリ薬品が見えてきた。
蔵ではないが、レトロなファサード。隣りも和モダン。
蔵的な建物の密度が増えてきた。ふと気がつけば、電線もない。
寒山は大正時代の建築で、インテリア雑貨の店。
左手前に栗菓子の竹風堂がある。本店は小布施にある。本店に行った時は正月で閉まっていたのだった。
狭い路地の奥に車が停まっていた。
長屋のようになっている。
ちきりやは工芸品の店。
片道500mほどの中町通り。ようやく陽も傾いてきた。散歩と言うにはあまりにも奥が深い、まるで井戸のような中町歩きだった。虫倉山から始まった一日が終わろうとしている。
つづく