甲斐の富士みちの小景 | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

旧甲州街道大月宿の西の外れ、桂川に懸かる大月橋がある。その東詰からT字路で分かれて富士吉田から富士山をめざす道が富士みちである。

かつては富士講行者が足繁く通った街道だが、今は素知らぬ顔で車が往来している。この国道139号線はとにかく車が多くて、落ち着いて街道ウォークするような環境ではない。

富士山駅から大月駅までは26km、7年前に石仏をめぐりながら走った。今日の午後は車でもう一度、いいところだけを拾いながら富士吉田をめざしていきます。

 

すばらしき都留の西凉寺の徳本塔

 

【2024年2月16日(金)】 AMは扇山、及び旧甲州街道鳥沢~初狩

              PM 大月駅==富士みち==富士山駅

 

①三嶋大明神

車で少々走って都留市に入り、ワークマン手前の右手にある。目的地が右にあると出入りするのが大変だ。

 

両部鳥居の右手には素朴な馬頭観音。明治?年

天下和順廻國千人供養塔。順の字が、どう見ても須に見えてしまう。

 

本殿右の小祠には力強い不動明王がいた。

境内社の後ろに丸石(道祖神)が置いてある。他所でも同様なのが見られた。

 

②清泉寺

しばらくは特別なものもなく、四日市場まで進んでいく。国道から左脇に入って停めて、菅野川を渡っていく。水のきれいな渓谷だった。

 

境内入口左手の石仏群。六地蔵石幢の残欠などあり。

少し手前のアクセス道路脇、地蔵様がきれいな着物を着せられていた。午前中の登山で少し手間取ったので、急ぎ目に進みます。

 

③西凉寺

都留市駅に近い場所。参道の駐車場入口はとても狭い。知らなければサッと曲がれないだろう。だいたい後ろから車がひっついてくるし。前回はランニングだったから、そういうことは気にしなかったけれど。

近代建築の寺院だが、明るくて気持ちがいい境内だ。

 

モダンな鐘楼の隣に建つ徳本塔(とくほんとう)は天下一品だ。花押も美しい。

徳本塔を見ると徳本峠(とくごうとうげ)を思い出す。徳本峠の名は徳本上人が越えたからという説もあるが、やや根拠の弱い説である。

六字名号はもちろん、南無阿弥陀仏です。

側面のボリュームもすごい。文政元年だった。

 

④西願寺

上谷6丁目の都留バイパスに面している。本堂左手に、なぜか狛犬。私と同い年だった。なかなかいい感じ。

 

⑤田原の滝

次は十日市場の景勝地。取り残された旧道が桂川を渡る地点。度重なる崩壊で形も変わり、どれが本滝なのかわからない。柱状節理も見られ、本流には土木遺産的な堰堤群が望まれる。

旧道の佐伯橋は土木遺産になっている。構造は上路式鋼ソリッドリブ・アーチ橋という難しげな名称だ。現役であるが、ほとんど車は通らない。

 

反対側には水路もあって興味深い。以前行った九鬼山登山口あたりには、駒橋発電所の水路や煉瓦アーチもあって、面白かった。

 

⑥夏狩の路傍の双体道祖神

桂町のローソンの先の山梨中銀前で細道へ右折してまっすぐ、夏狩へ向かう。集落道に突き当たった所に双体道祖神がある。これはごく普通の形だが、次のはすごい。

 

⑦夏狩の身禄堂の夏狩型道祖神

集落道を南西へ300m進んだ右手に明瞭なお堂などがある。コンクリートの祠の中に不思議な道祖神が祀られている。説明不要の形態をしているが、いつからか夏狩型と呼ばれるようになった。石仏研究家の大護八郎氏あたりが名付けたと思われる。この風化具合と形態と雰囲気が夏狩型なのである。

夏狩というのはここの地名だが、不思議な響きを持っている。双体道祖神の究極の変形だ。

その廻りには普通に馬頭観音が並んでいた。

 

道の向かい側の祠。ここには楕円形の石が置かれていた。

 

⑧宝鏡寺

富士みちに戻って、今度は道の左側。石仏群の中に一石六地蔵がある。これも甲州名物ですね。

 

⑨境の天満天神宮

両部鳥居の隙間から、双体道祖神が見えます。

 

なんと、これも夏狩型なのでした。苔が帽子のよう。

少し見る角度を変えると面白い。

 

石仏の前には一つずつ、丸石が置かれていました。

 

⑩諏訪八幡神社

三つ峠駅の富士みちをはさんで南側。正しい入口は南東側だった。

とにかくこんな道祖神が並んでいて、壮観だ。社叢の影が雰囲気ある。

 

台座の文字は「道祖神」である。自然石をさらに完璧に丸く削り上げている。

男根型道祖神です。

 

気になるのは台座が傾斜していること。小さな石で転落防止をしている。さらに奥には小さな木片も挟んであった。(反対側に押したら落ちるのか?)

座布団3枚というのが洒落てます。

奥の草むらにも、、、

 

⑪富士山駅そばの道祖神

あとの2箇所は駐車するのが不可解すぎて、パスしていった。

本日の最後を飾るのは富士山駅・Q-STAの前、御坂みちに面した道祖神数体(どこまでがそうか数えられない)。一番左のは字も読めない。しかしなんとなく、颯爽としています。

落ちているのは紙くずではなくて、お供物の豆でした。例によってインバウンドがすごいけれど、こういう日本の信仰文化に目を向ける外国人はいなかった。

 

どうにかここまでたどり着きました。今日の二部構成は頭も体も使った。

山梨ならのんびりゆったりできる、というのは間違いだった。明日もあります。

つづく