中之条町の石仏(3)冥界に誘われて | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

中之条町から高山村へ、週末の小さな旅の一日です。

嵩山周辺でバラエティー豊かな風物を楽しんだ後は、またどっぷりと石仏の世界へ迷い込んでいきました。中之条町東部エリアを行きます。ここで11箇所ほど。

 

久保貝戸石仏群に紛れ込んでいた、奪衣婆!

 

①新田の双体道祖神

伊参スタジオ公園から移動してきた。この辺は集落をつなぐ道が縦横無尽に入り組んでいて、カーナビも相当怪しい遠回りを示していた。蟻川の字新田と倉沢の中間にあるX状十字路、集落下の斜面にある。だいぶ摩耗してきた感じだ。

 

上州の空っ風から家を守っている、見事な垣根。

次の石仏までは近いので、ここから歩いていきます。この家も立派な垣根に守られている。

 

②新田南外れの石仏

南へ200mほど歩くと路傍に石仏が寄り添っていた。面白い形の石に彫られた、馬頭観音か?

なかなか美しく彫られています。

 

隣には青面金剛の庚申塔。

その横の驚くべき細長い石には、かすれた文字で堅牢地神尊と彫られている。どれもが山村風景に溶け込んでいた。

 

③大亀の石仏群

蟻川川に沿って少し北へ進むと、右へ折り返して登る細道の下の高みにある。ここへ来る途中には、どんど焼きの準備がしてあった。

 

老人風の双体道祖神は酒器持型だ。徳利と盃を持って、ごきげん。享保19年のようだ。

青面金剛は割れてしまっている。触ると、ぐらっと動いた。

 

④塩平観音堂

蟻川エリアを県道231へ向かって下っていくと、閉館となった新中之条温泉の手前に観音堂の入口がある。ここは吾妻33観音霊場の第32番札所であっる。これは地方霊場の中でもとりわけ辺鄙な霊場で、札所を探すこと自体がとても大変だ。

小さな塩平集落の細道を歩いて、少し登る。

 

山道の分岐を左へ登れば石段下、竹林と双体道祖神。

 

右手の竹林斜面には、線刻の大黒天が笑っていた。ここまで来て、見てくれる人なんてごく稀だろう。石の形と言い置き場所と言い、見事なバランス感覚。

 

本堂の前でしゃがみこんでしまった?

なんと、床下の前に十王像が並んでいた。

とても怖い、閻魔大王。

業の秤や人頭杖もある。ここは地獄の入り口。

 

御詠歌が打ち付けてあった。平成のもので、この老人講中の方々は五反田小学校の卒業生と思われる。

その下のものは、右が平成で左は享保17年というから驚きだ。300年近くの年月が経っているとは。

 

⑤赤坂の釜淵

このスポットは観光パンフレットにもGooglemapにも出ている。塩平から県道231を600mほど北へ進むと、左手に小さな駐車スペースと案内板などがある。ここから赤坂川の渓谷・甌穴へ下る遊歩道があるのだが、途中で完全に藪に覆われて道形すら不明となっていた。

八ッ場ダムの環境整備費を近隣町村で分け合ったら、こんなのは維持できただろうに。

上から見下ろしても、ヤブだらけ。ということでここは撤退です。

 

⑥久保貝戸の石仏群

さらに県道を北へ1.3km、左に路駐帯があって右手高みに石仏群が見えている。蟻川岳を背景にして、新しい虚空蔵菩薩の碑が建つ。

様々な種類の石造物が林立している。

 

すらっとした青面金剛の庚申塔。

双体道祖神も。

 

ここにも十王信仰が展開していた。これは人頭杖(にんとうじょう)のパターンの一つです。

 

そして閻魔大王・十王・奪衣婆の12体が勢ぞろい。動かしたりすると必ず天罰が降る。

頭が平らで、凄みのある姿です。

 

奪衣婆の叫び。チーン

蟻川岳は平然とそびえていた。

 

⑦矢場入口の双体道祖神

県道を南へ戻って下っていく。R145に出る手前、郵便局のある十字路の少し手前の左手斜面にある。これはたぶん見つからないと思っていたのでうれしかった。

正月飾りも添えられて、斜光に寄り添う姿。

 

⑧宗学寺の石仏群

大塚の字沢尻の北側に広い境内を構えている。南向きの明るい高台だ。西側には大塚温泉もある。

 

層塔の基部には猿がいた。庚申層塔らしいが、中にも何かいるようだ。

中にいらっしゃるのが青面金剛でした。

本堂前には六地蔵石幢もあった。

 

⑨中沢の石仏群

進む方角を変えて、R145を市街地方面へ。セブンの交差点を左へ入って旧道に合流した地点。

庚申塔が3基と双体道祖神。

酒器持型と、猿が二匹立っているのがユニークだ。正徳二年と正面に大書してあるのも珍しい。

 

⑩吾妻神社

南へ進んで国道に再合流したら左手に鎮座している。

向拝の建築彫刻がすばらしかった。

 

奥へ回り込むと本殿の彫刻群も圧倒的だった。

 

⑪西向観音(大塚観世音菩薩)

R145を北東へ戻ります。高山村との境界の手前に西向きに建っている。近隣の人たちが中で何か仕事をしていた。ここは吾妻33観音霊場の第33番札所である。

裏の敷地を一歩またいだら、そこは高山村だ。

 

車だとたくさん巡れるし楽だが、道順やPをよ~く調べておかないと、お手上げになるでしょう。今日もここまで、きわめて順調にやってきました。

12時半となりまして、午後は高山村を探検します。

つづく