水沢岳から入道ヶ岳へ風の中 | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

鈴鹿山脈の二日目です。

宮妻峡を起点にして、水沢岳(すいざわだけ)から鎌尾根経由で鎌ヶ岳周回という計画。

しかし、隣りの御在所岳のヤマテン予報は風速15mとのこと。今年は何度この強風で計画変更したことか。行ってみないとわからないので、まず登ってみましょう。

 

キノコ岩の幻想風景

結果はこうです。

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2023年10月28日(土)】  水沢岳~入道ヶ岳

宮妻峡駐車場5:55~水沢岳登山口8:33-43~水沢峠7:35-40~水沢岳&キノコ岩8:05-30~縦走路分岐9:10~入道ヶ岳10:45-50~駐車場11:58  行動時間:6時間3分

 

宮妻峡キャンプ場駐車場に着くと、ようやく空が赤らんできた。伊勢湾の方角を見てる。今日は下山後に新幹線で帰るので、時間も気になるところです。

 

ライトを消して出発。まずしばらくは林道歩きから。行く手の山には重苦しいガスが。

青空も見えたけど、稜線からは強風で雲が流されていた。一抹の不安がよぎった。

 

林道途中の水沢岳登山口から取り付いた。水沢峠までは沢沿いに登ったり巻いたりの繰り返しだ。途中で広大なガレ谷を登っていく。道はだいぶ荒れてるけど、標識はしっかりしていた。

道を整備できないので標識をたくさん設置した、という感じです。

 

水沢峠が近づくにつれて風を感じるようになる。

 

ここが水沢峠、十字路になっている。吹き抜ける風が冷たいです。ガスも湧いてきたし、鎌尾根のヤセ尾根通過は気分良くはなさそう。行けるかどうかではなくて、鎌ヶ岳は青空の日に登りたい。この時点で入道ヶ岳周回に変更、ほぼ決定しました。

 

でもとりあえず水沢岳はアタックします。ズルズルの急登を越えていく。ソロが二人降りてきたが、話はしなかった。自分で判断すればよいことだから。

 

途中にザレのふくらみがある。足場がしっかり決まらない所だ。

登ってから下を見る。傾斜が伝わらないが、窪んだステップを拾って登った。

 

水沢岳(すいざわだけ)、別名宮越山に着きました。ガス100%で風もそれなりに。今日は鎌ヶ岳は諦めて、南側の入道ヶ岳に周回していきます。そちらの方角は問題なさそう。

こんな天気になるとは。いつ降ってきてもおかしくない。

 

未練がましく、少し先のキノコ岩まで行ってみることに。

ザレの急斜面を下ると、右手に見えたのがキノコ岩だった。これだけではなくて、もっとたくさん生えているらしい。ザレを下るのもうっとうしいし、ここで引き返した。

 

山頂を経由して、水沢峠へ戻ります。時々鮮やかな色に呼び止められる。

 

峠からイワクラ尾根分岐へと登り返していく。ここからは地形図の用意がないので、高原地図とGPSが頼りだ。しかし分岐まで15分というコースタイムはおかしくて、30分かかった。こういう誤りは判断を狂わせるのでよろしくない。

左手にはザレのナイフリッジが落ち込んでいた。

見下ろす斜面にもキノコ岩がある。

 

分岐からイワクラ尾根に入っていくが、相変わらず厳しいアップダウンとデリケートな木の根・岩道が続く。すれ違った人が「ここもなかなかのコースですね」と言っていた。

北を見るとなんと、さっきまでガスに包まれていた鎌尾根と鎌ヶ岳が見えるではないか。あちらを断念したのだから、見えてほしくなかった。だが雲の動きは速い。

 

進んで行くと仏石があった。

入道ヶ岳の南東山麓には伊勢国一の宮・椿大神社が鎮座し、山頂近くに奥宮がある。仏石はその御神体の磐座(いわくら)なのである。イワクラ尾根の名もそこからきている。

これも磐座の一つ。重ネ岩である。

 

危なげな木の根の張り出したヤセ尾根だ。

 

いよいよ山頂が近づいてきた。突然アセビの群落が出現した。これはすごい、見事だ。

花が咲いたらもっとすごいだろう。今は密集する幹が芸術的だ。

 

まもなく左手に椿大神社奥宮を見る。

 

緩やかな起伏を乗り越えていくと、入道ヶ岳の山頂が見えてきた。こんな草原になっているとは予想外だった。奇跡の大展開です。

 

入道ヶ岳山頂に着いた。鳥居の先には四日市市・鈴鹿市と伊勢湾です。関東人には見慣れぬ展望。それにしても風が強い。ここで5~10mはある。

海が光って、ススキが揺れてます。

 

山頂にはハイカーがたくさん。みんな椿大神社から登ってくるらしい。

 

左から、水沢岳・鎌ヶ岳・御在所岳と並んでます。

御在所岳名物の白鉄塔(ロープウェイ)も見える。今日は動いているんだろうか。

 

広大な風衝地を下っていく。植生も矮性しているほどだ。

真正面には雲母(きらら)峰がどっしりと座っていた。

 

では、山を降ります。

明日は山の後輩K君の葬儀がある。遭難事故とはいつも一瞬の判断やミスから始まるのです。登山は基本の積み重ね。一番安全な道は一本だ。

 

栗

 

鎌ヶ岳に帯状の陽光が流れていく。

 

アセビが立つようになってきた。ここはもう風衝地ではないのだろう。

尾根をずんずん下っていって、末端はガレガレの嫌気が差すような急斜面。

 

最後に渡渉が2回。これで鈴鹿山脈の二日間は終わりです。明日も強風吹きまくりらしい。

K君が言っているみたいだ。「スーさん、明日はやめたほうがいいですよ」、と。

 

合掌