明星山、西壁の下を登って降りて | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

雨飾山の翌日は新潟県側から焼山に登る計画だった。実働10時間ほどのロングコースであるが、この日は雷雨予報が厳しい確率だった。焼山は逃げてはいかないだろうから、少しショートな山に計画変更した。それは明星山(みょうじさん・みょうじょうさん)です。

7年前に家内と周回で登ったことがある。もっと昔にP6南壁は何度も攀ったことがある。そんなみょうじへ、もう一度!

 

モルゲンロートのP6南壁、その他

本日のGPS軌跡、北面の登山道2本は岡集落コース。

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2023年8月5日(土)】  明星山ヒスイ峡コース

ヒスイ峡駐車場6:30~登山口6:35~巻道分岐8:35-45~明星山9:45-10:10~登山口12:25~駐車場12:32  行動時間:6時間

7年前はこちら

 

焼山の代案は明星山で即決だった。糸魚川の宿からなのでアクセスには大差ない。登山口へのアプローチは以前は小滝川沿いの車道だったが、それは通行止め表示が出ていた。なので大回りして高浪の池経由で行った。途中に展望地があり、明星山南面・東面の朝焼けに出逢った。

ヒスイ峡の駐車場に到着。車はあっという間にアブの大群に取り巻かれてしまった。エンジンを止めて10分ほどしたら、やっと去っていった。たいへんな場所である。

ここからP6南壁はもう眩しくて見えない。代わりに西壁が暗いムードを漂わせながら横顔を見せている。登山ルートは西壁の下を延々と登っていくのです。

 

まず小滝川に架かる橋を渡っていきます。橋の上だけはアブがこない。

下流方向を見る。南壁に取り付くには、あの先で渡渉です。河原から取り付くビッグウォールは明星山と奥鐘山西壁くらいだと思う。ここは最長500mに及ぶ。

 

西壁は高度差200mもないけれど、とにかく幅が広い。今日は行きと帰りで、違った色の西壁を楽しめるはずです。まだ全然光が差し込んでない。

 

西壁には6本のルンゼが食い込んでいて、壁の下は広大なガレ場になっている。そこに登山道がついているので、足場は非常に悪いです。その代償として、稀有な岩壁パノラマが楽しめるわけで。

よく見れば色々な花も咲いている。しばらくは暑さや疲れも吹き飛ぶような道のりです。

 

これはまだ四ルンゼの末端あたりかな。

行く手に屏風のように連なっている。

 

P2西稜末端壁右フェースルートというのがここにあるわけですが、こういうマイナーなルートは再登するのが難しい。

 

その左には大凹角春の息吹ルートがある。

直下から見上げると、確かに大凹角だ。ラインは明瞭そう。

 

自分は南壁しか登ってないし、大多数のクライマーは同じだったと思う。それほど南壁のほうが長くて興味深かった。首都圏からやってくる労を考えれば、選択は自ずと決まる。誰もが歳をとってから、あそこも登っておけばよかったと後悔するのだ。(自分だけ?)

日本登山体系を見てもルートの密度はスカスカで、その気になればいくらでも余地がある。存在自体がマイナーだから。

 

そんな壁とは、つゆ知らず。

もうじき往路編は終わりです。

 

コースは樹林帯に入っていくが、道は明瞭。ひたすら登るのみ。

 

やがて岡集落コースとの分岐点に着く。右へ少し下って、沢筋を横断して急登にかかっていく。

 

尾根筋が明瞭になり樹林を抜け出した。木の根と岩の迷路のような道。とてもワイルドである。上部では灌木が枝払いしてあるので助かる。クサリもあります。

全山が石灰岩、これは青海黒姫山と同じで雰囲気もそっくりだ。

 

岩の間の通り抜けも、なかなかやっかいです。トレッキングポールがじゃまになる。

 

ほぼ頂稜になって山頂らしきが見えてからが実に遠かった。最後の区間はコースタイムの30分では到底無理です。1時間かかりました。2度目の明星山山頂です!

あくまで山頂は2度目です。

 

海谷と雨飾山、そして北信の山々が見えた。気になる入道雲は?発達して雷雨になるんだろうか。それとも予報はまたハズレか。

 

踵を返すと、白馬岳・小蓮華山・白馬乗鞍岳。

その右(北)に続くのは、雪倉岳・朝日岳のはずだが。恐ろしげな積乱雲が支配していた。

そのまた右は、栂海新道と犬ヶ岳でしょうか。

 

では下山します。ストックはたたんでザックにつけた。またしても石灰岩の迷宮。

 

小岩峰と青海黒姫山。

 

手の切れるような岩肌。惜しみなく、モンベルの手袋をはめていく。

日本海がよく見える。

連れを待つ足元には花が咲く。

 

西壁復路編の始まりです。すっかり光に満ち溢れていた。

 

眺めるだけというのは、ある意味気楽です。

石灰岩の侵食を見上げる。

 

大凹角の下まできた。

何度も振り返りつつ、西壁劇場はこれでおしまい。

 

登山口に到着。またアブが寄ってくるわ。

二人で回顧しながらの明星山でした。

 

最後にP6南壁再び。

 

マイクロニクル

1986.10 左フェースルート(ソロ)

1989.11 左フェースルート・下部ダイレクトルート

1990.09 クワトロ・フリースピリッツ

1991.11 クイーンズウェイ