岩手山御神坂の風は冷たく | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

岩手遠征の二日目は予定通り、岩手山に登ります。

岩手山に登るのは三度目、毎回違うコースで楽しんできた。3年に一度くらいは登ってみたくなる山です。この度は、真南から登る御神坂(おみさか)コースで行ってみます。

 

山頂から見る、残雪の秋田駒山群

標高差は1500m、コースタイム8時間。

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2023年5月4日(木)】  御神坂駐車場4:55~切接5:40~わらじ脱ぎ場6:00~大滝展望地6:30~笠締7:07~不動平避難小屋8:10-20~岩手山山頂9:15-25~駐車場12:30

行動時間:7時間35分

 

御神坂駐車場から見上げると、外輪山が平凡なスカイラインを描いていた。ここから一直線に登っていきます。八幡平より400mも標高が高いのに、雪はほとんどない。風の強さだけは特級で、明後日は山頂で風速29mという予報が出ていた。今日は登山日和です。

 

歩きやすい樹間の道から林道を経由して、本格的な登りになってくる。道の両側にはカタクリの花が延々と続いていた。とてもいい気分で登っていける。

 

切接(きりはぎ)という標識を過ぎる。古くから登られている道らしく、いろんな名前のポイントがあった。1060mの休憩スポットはわらじ脱ぎ場だった。

イーブンペースで順調に登っていきます。

 

標高1270mあたりで大滝展望地を過ぎてゆく。大滝はどこにあるのかと思ったら、左の御神坂沢の岩壁から細く流れ落ちていた。

 

その少し先で残雪が出てきたが、雪というほどのものでもなくてすぐに夏道に戻った。

右の沢筋越しに隣りの尾根。絵画チックな風景だった。

 

1450m付近の風景。いよいよガレ場と岩稜帯になってきました。後ろには秋田駒ヶ岳と和賀岳が見えてますよ。

岩稜帯にはトラロープとペンキの矢印。

 

右側がかぶった岩場の所に笠締という標柱あり。これより風が強くなるから、笠の紐を締めよということか。カッパを着ました。

変化に富んだ岩稜が続くが、難しいところはない。迷うこともない。

 

標高を上げるにつれて、秋田駒ヶ岳の全貌が現れた。残雪期ではなくて、冬の秋田駒に登ってみたい。秋田駒の風も相当なものだが。

 

傾斜はいよいよ強まるが、外輪山の乗越はまだ遠い。さすがに風も出てきた。

 

やっとこの登りの終着点が見えてきた。

左には鬼ヶ城の稜線も見えて、その向こうには裏岩手縦走路から八幡平までも。

 

鬼ヶ城分岐に到着です。これで本日のキツイ登りはあらかた終わったといえる。ここは第二外輪山とでも言うべきか。

行く手には本山の第一外輪山が現れた。

 

不動平まで一旦下ります。ここが予想以上に残雪豊富で、傾斜もあるので真剣に下る。

 

下り着いた不動平には避難小屋があって、その裏手に大岩の拝所がある。石灯籠と不動明王三体が奉納されている。近世においては三つの登拝道があって、修験者によって登られていた。女人禁制の山でもあった。やがて1686年と1719年には噴火が起こり、焼き走り溶岩流が出現することとなった。

 

不動平でひと休みして、最後の登りにかかる。途中に分岐があって、右回り・左回りができる。いつものように左回り(時計の逆周り)で行く。

山頂周辺の詳細図

 

登り着いた外輪山には石祠が二つ。草木も生えない、荒涼とした風景が広がっている。

ではここから火口原の池に下っていきます。

 

フミアトはどう見ても池の前後に続いていて、この池を渡るのが登拝路であるらしい。禊ぎという意味かもしれない。試みたが、泥沼であきらめた。

自分は身を清めなくていいので、迂回路で進んだ。

 

池を越えた先には岩手山神社奥宮が鎮座している。山頂の大権現社は貞享の噴火で消失したとのことだから、この遺構はその後のものなのかどうか。

奥宮はほとんど崩れかかった石垣に囲まれている。その中に様々なものが置かれている。

 

とりわけ特異で目を引くのは、石造の獅子頭である。岩手の県北地方では権現様と呼ばれ、豊作を願ったものだという。これだけ多く奉納された場所は、他にはないのではないか。

七時雨山の山頂でも見たことがある。明日の山でも見るかもしれない。

容貌の凄さもさることながら、ここまで持ち上げるのも大変だったろう。民間信仰のパワーを感じる。ここには15基がある。

 

権現様を堪能したら先へ進む。道は再び外輪山へと上がっていく。

 

外輪山には観音石仏が点々と置かれているが、時代的にはやや後のものだろうか。後方の右が岩手山薬師岳山頂で、左は妙高岳という。

外輪山の冷たい風に吹かれながら、山頂へ近づいていきます。

 

北の方角には昨日登った八幡平の一角。

火口原の中には妙高岳が聖域のように盛り上がっている。

 

そんな風景に見とれている内に、山頂の人だかりの中へと入っていった。

「やっぱり火山は面白いわ」と家内がつぶやいた。

 

これで三度目ですが、七滝コースからもいつか登ってみたい。次は紅葉の季節がいいか。

狛犬・薬師如来・石祠など。

 

展望は、言うまでもなく最高。八幡平と裏岩手縦走路。

三ツ石山あたりと秋田駒ヶ岳連山。

 

登頂気分を味わったら、少しずつ下っていきます。

鬼ヶ城の稜線が手前に近づいてくる。左手遠くは和賀岳で、焼石連峰までは見えないか。

妙高岳の南西面は崩壊が著しい。麓からは見ることのできない、岩手山の内面風景だ。

 

下山の途につきます。今度来る時は新幹線+レンタカーにしよう、などと語り合いながら。朝の8:44には盛岡駅に着くのだから。

ゴリラの顔みたいな岩を過ぎて。まだ続々と登山者が登ってくる。

 

最後はまたカタクリロードに迷い込んでいった。イワカガミの葉の上にカタクリが咲いているような、不思議で小さな世界もあった。

 

下山したらまだお昼休みタイムだったので、車で姫神山の山麓へ向かいましょう。これから登るわけではないですけど。

つづく