冬の佐久の山旅、三日目を迎えました。軽井沢の追分宿に向かいます。ここから登る山といえばもう石尊山に尽きる。それは広大な浅間山本体のほんの小さなこぶに過ぎないけれど、とても興味深い景観を秘めています。
赤滝は血の滝とも呼ばれる。単に濁っているだけだが。
浅間山は幾つもの外輪山や寄生火山を抱えている。石尊山もその一つ。残念ながらここから浅間山には登れない。
裾野が広すぎて、なだらかな道のりが長すぎるのが玉に瑕だ。
電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)
注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。
【2022年12月18日】 追分宿郷土館駐車場7:05~1130m林道横断8:05~座禅窟分岐9:33~血の池10:00-10~石尊山11:05-20~駐車場14:08
朝の追分宿の駐車場。昨日からの降雪と冷え込みで真っ白。浅間山の方角以外は青空だった。まさかこんな完全冬景色になるとは思わなかった。
駐車場の樹木でさえ霧氷で真っ白。
登山口周辺は別荘地で駐車禁止なので、追分宿から歩いていきます。宿場の風景。この道が木曽路や美濃路までつながっているわけで、不思議な気分である。
街道の松と郵便ポスト。この先の本陣跡から右折していきます。
別荘地の凍結路をクリアーして、1020mの登山口から入るとこんな風景だった。これが一直線に続いていく。
1220mの林道横断地点にはこんな道標が。残りの3kmに2時間半かかることとなりました。
雪を踏みしめて登っていくと、左手の濁川に赤滝が落ちるのを見る。いつもこんな色なんだろうか? いつの間にか雪が舞っています。
上流側で木橋を渡る時に落口が見える。あそこから地獄へ落ちるのか。
今度は右手に濁川を見下ろしながら、雪原を登っていく。
血の池に着いた。しかし池はない。ここでアイゼン装着。
三途の川っぽい色になってきた。
葬頭河婆(奪衣婆)でも現れそうな雰囲気だ。現世はここまでなのか。
川の色に呼応するかのように、雪の降りが激しくなってきた。石尊山で帰りのトレースが消えるシチュエーションなんて想定してなかった。それでも行きます。ここからが本番だ。
行きますよ
濁川上流部の斜面を、半円を描くように回り込んでいく。目印テープが十分についているのが幸いだった。
ウェアへの着雪が激しいので、時々立ち止まっては払う。GPSの雪もこまめに落としながら進んでいった。こんな雪でもなんとなく道型わかるし、ラッセルと言うほどでもないし。
あれ、もう着いちゃった と言うがそこは違う。まだなんです。
尾根筋をもう少し登っていくのである。
新雪のマジックが目を楽しませてくれる。
道がないみたい、と思ったら雪の重みでヤブ被りになってた。しかしなんだか明るくなってきて、今日も奇跡的展開か?
そこんところを漕ぎ分けると、ひょっこり山頂に飛び出した。この唐突感がうれしい。
数字の大きさがアンバランスなのも愛嬌だろうか。
あんなに降ってた雪も止んだ。
佐久平が見えるよ。
三角点掘り出し。
浅間山は今日は無理みたいだ。風速20m以上の世界かと思われる。石尊山で正解である。
かろうじて弥陀ヶ城岩が見えてきた。
山頂はあのスカイラインよりも遥か上方なのだから。
下っていけば陽射し♪
二俣の景。
下山はゆるゆるハイクに早変わりです。
血の池道標の一段上に「おはぐろ池」がある。
ちょっと体調的にくたびれたので、座禅窟へ立ち寄るのはやめにした。
そして再び赤滝までやってきました。下流側左岸の洞窟にある不動尊に行ってみます。
嗅覚を働かせて急斜面を下ってから上流側へトラバースすると、洞窟にたどり着いた。二体のすばらしい不動明王が待っていた。
この独特の表情!
火焔光背もすさまじい迫力だ。
さらに河原まで下ってみます。せっかくここまでやってきたのだから。
もうここから帰りたくない気分。
さて引き上げましょう。お不動さんに挨拶して、また長い雪道をたどっていった。
このようにして、金峰山に始まって御座山・茂来山、石尊山と登り切ることができました。佐久の山々も頭を使えば、いろいろ楽しめると実感した。適度な冬山的条件と適度な移動があれば、二・三日は遊べます。
おわり