桐生川根本沢からゆく根本山 | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

貴重な七月の三連休も曇り空に始まって雨雲に包まれていきます。

三日目は桐生市最奥部の根本山に登ります。この山の登山コースの一つである根本沢は古くは根本山神社の参詣路だった。近年は沢装備で登る沢歩きコースとしても紹介されている。

なので今日は渓流タビをはいて頂上をめざします。

 

根本沢上流部・男坂の滝場をゆく

 

【2019年7月15日】

駐車地点7:30~675m入渓地点(橋の先)8:05~籠堂跡9:40~奥ノ院10:05~根本10:55-11:15~駐車地点12:25

 

林道三境線がカーブして合流した所に広い駐車スペースがあった。ぐんま百名山のセンスのいい案内板が立っていた。私の県には百名山がないので自分で作ろうと思ったことがあるけれど、頓挫したままです。そこから奥へ延びる林道を300mで不死熊橋に着く。

根本沢コースの参詣史跡の案内板があった。なかなか興味深いものだった。

 

不死熊橋からいよいよ根本沢コースに入っていく。最初は左岸の高巻き道から。

今日はじきに雨が降ってきそうだし、このコースには不向きな天気である。だが今日は基本的にウォーターウォーキングだし、足拵えも渓流タビだから何もかもが濡れていたとしても登れるという算段だ。

最初の渡渉点には木橋が架けられていた。最近かなり整備されたそうである。昨日の鳴神山といいここといい、ありがたいことだ。今日はこの沢にしてはかなり水量が多いようである。

私は当然濡れた木橋を渡る。家内は橋がきらいだから「渡渉でいくよ」と言う。そんなの遅いだろうと思って振り向いたら、もう丘に上がろうとしていてビックリした。

 

まだしばらくは登山道を歩く。法面補強された所に頑丈な橋。この先で積極的に沢に入っていく。

これはもうほとんど土木工事だ。

穏やかな渓相。やっぱり水が多いようで、深い淵は極力避けてルートを選んでいった。

 

登山道が今どのへんにあるのかを意識しつつ、なるべく沢芯へ。水も冷たくないですね。

ただ、、、あまりにもゴーロが続くし時間がかかるので適当に登山道に上がって進んだりも。

 

やがて十丁石を発見した。昔の人は何を履いて登ったんだろうか。

今はいろんな沢装備があるから便利だけれど。

枝沢の雰囲気もいい。

 

単調な部分は登山道もかなり使った。9時13分に3mの魚止め滝が登場する。大きめの釜を擁している。

登山コースはここを鎖で小さく巻くものと大高巻するものがある。

そして沢登りのガイドでは「左端を登れる」とあるが、私の目では右端だ。

極小のクライミングのひとときだった。

 

この人は巻道から。新しい鎖があるけれど、どうやって下るんだろう?

なんと、ステップ用のボルトが打ち込んでありましたとさ。

 

沢筋には面白いオブジェもある。これも信仰の遺物だろうか。

なにか小屋掛けでもあったような小平地があり、その対岸には目を瞠るような滝が流れ落ちていた。

深山幽谷の趣があった。隠遁生活が送れそうな場所である。

 

沢のど真ん中の岩に石柱が立っている。普通の沢とは違うムードが漂っていた。

なにかの笠石が転がっていた。整備した方々の粋なはからいかもしれないが。

そろそろ雨も強くなってきた。本当にもう雨はいいよ!という気分ではある。

 

まもなく籠堂跡に到着。そこに置かれている2本の鉄の棒は、何だ?

解説板によると、天保12年にこの上流の不動の滝に設置されたもので、近年流されたのを掘り出してここに保存したという。では今はどうやって登るのかな?

 

籠堂跡から少し登ると二俣になった。右が表坂(男坂)で左は裏坂(女坂)という。男坂は難路で危険だから初めての参詣の人は女坂を登るようにという表示があった。当方は初めてなので男坂をゆく。

急峻な箇所にはロープが張られていた。しかし景観的にはほとんど沢登りそのものだった。

小さい滝だけど、あんなのはどうやって越えていくのか。

それなりに容易に登れるルートがあった。

 

上から見下ろすと、まるでザイルを使って登っている構図そのもの。こんな日には渓流タビでなければ登れないし、登山靴では危険だろう。

 

だがしかし・・・これはなんなんだ。本当にここにルートがあるの?霧と雨のマジックか。

正面の急峻な草付きにロープが垂れていた。

滝場をおおむね登りきって振り返ったところ。

この先に案内表示があって、右の新道はゆるやか・左の旧道は急で困難とある。

しかしどうみても新道のルートは不明で怪しい。旧道のロープ沿いに激急斜面を這い登った。

 

そして細い尾根の上に出ると釣鐘堂が建っている、というか岩の上に乗っかっていた。

家内の動きがあやしいので、何も言わずに次の鎖場へ先を行かせる。

鎖場はここだけで終わりなのかと思ったら、けっこう長くて延々と続いていた。

鎖よりもむしろ木の根をつかんでグイグイと登ることができた。こういう所は面白くて仕方ない。

だんだん調子が出てきたようだし。

 

ようやく優しい情景になってきました。ここが根本山神社奥社です。

腰を下ろして休むこともなくここまで来てしまったけれど、このままノンストップで山頂まで行くことにした。

峰の平と呼ばれるゆるやかな鞍部を過ぎて。

中尾根十字路を経由して尾根筋を登っていくと、やっと根本山に到着。今日も貸し切り状態、誰にも会わない山登りとなりました。雨も小康状態となって、沢装備を解除するには都合が良かった。

今日初めての大休憩。

 

特に展望も花もないので、下山します。

太陽に見放された七月。

 

林道に降り立って、不死熊橋へと戻っていく。

 

最後の林道歩き。

なんとか三日間登れて良かったけれど成果の得られなかった面もあるし、青空と岩稜と展望のない山はもうこれくらいで十分だ。夏が欲しい!

 

本日のコース

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図25000を複製したものである。(承認番号 平30情複、 第1168号) 

この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。