青麻山と刈田嶺神社の話 | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

雨の船形山に登った翌日は重たい曇り空だった。

白石駅前で空を見上げて考えた。今日の予報では朝のうちは曇りで、午前中から雨が降り始める。

昨日と同じくらいだったらいけるだろう、と思って不忘山へと向かいました。不忘山は蔵王連峰最南端の花の山です。

ところがなんと!みやぎ蔵王白石スキー場に着くと吹き降りの酷い天気くまクッキーねこクッキー

こんなんでは蔵王の稜線には上がれないし、お花どころじゃない。ということで転進先を考えることにしたのです。

青麻山山頂の狛犬

 

【2019年7月7日】

青麻山 蔵王町の無線中継所登山口より、登り50分・下り40分

 

こういう時のために『分県登山ガイド宮城県の山』を持ってきた。青麻山(あおそやま)なら標高も800mくらいだし、コースタイムも短いし、移動時間も30分くらいだ。幸いなことに蔵王山麓から離れると雨もやんできた。

本当は下別当登山口にカーナビをセットしたのだけれど、曲がる道を一本見落として無線中継所登山口のほうに着いてしまった。まあどちらでも良い。

アプローチの林道から青麻山が見えてきた。

 

ではさっそく登ります。

青麻山はただの低山ではない。古くは大刈田(おおかった)山とも呼ばれて、江戸時代には谷文晁が『名山図譜』に描いたという。信仰の山でもあり、今では東北百名山にも選ばれている。

 

尾根筋をたどる一本道は、植林地を抜けて広葉樹林へと変わっていく。

今日もまたミスティな森を歩いていく。

東北の山巡りもとうとうこういう山にまで手をつけるようになったかなあ、という気分だった。

登りになると一直線なので、かなりの急登だった。下りは相当滑りそうだ。

途中にある「露岩の展望台」。ここまで来ればあと15分で山頂だ。だいぶ汗をかいた。

 

そして山頂に到着! 標高799m。なにかとても雰囲気のいい場所だった。

小さな石祠と手水鉢があった。遠い昔ここにあった建造物については後ほど知ることになる。

記念撮影の時間です。

 

 

これが青麻神社だ。こういうことは分県登山ガイドにはこれっぽっちも書いてない。この存在が青麻山の核心部でもあるのに。我々もここへ来て初めて知った。

誰が奉納したのか、陶製の狛犬が一対。宮城県あたりの狛犬の身体的特徴をよく現している。

すばらしい景観だった。

見事な扇形の手水鉢が水を湛えていた。

 

この頂は奈良時代の頃から民衆との関わりがあった場所だという。蔵王に登拝するよりも近くて、親しみやすい山だったのだろう。

そんな雰囲気を少しだけ感じてから、往路を戻っていった。やはり下りはとても滑りやすかったので、雨が降っていたら登るのはやめたほうがいいだろう。

 

青麻山から下山したらあとはもう帰るだけなので、黄金川温泉で入浴した。午前中なのに地元の人たちでにぎわっていた。次はセブンへ行くのだが、ロードマップで刈田嶺神社というのを近くに見つけてので立ち寄ってみた。何があるのか知らない。

 

石の扁額が参道脇の草むらに置かれていた。

こちらが参道。由緒書によると、往古は社殿が青麻山の山頂にあったのだという。延暦20年(810)には麓に遷座されたというから、それ以前の話だ。

これは驚きだった。さっきまでその歴史的な場所にいたのだから。

湯殿山登拝記念碑は48度・100度・150度があり、どれも江戸時代のもの。すごい回数!

 

参道を進むと豪壮な随神門が現れた。

おしゃれな手水鉢。見事なデザイン感覚だ。

鐘楼の鐘撞棒がまたすばらしい。

拝殿の扁額です。六社が合祀したという。白鳥大明神とは?

 

拝殿の右手へ回ってみると、いた! 延宝4年の狛犬が。

最高の表情をしている。

玉垣の中にもいた。震災でやられたのか、前足が折れてしまった。

それだけでは終わらなかった。目を凝らして見ると、本殿の床上に陶製のすばらしい狛犬が鎮座している。ズームでかろうじてこの角度が見える。神獣によって幾重にも守られている古社である。

 

社殿の裏手にはこのような一画があった。昔からこの地では白鳥が神のお使いと信じられていた。

それで白鳥を浮き彫りした石碑が生まれたのである。たいへん珍しく、貴重なものだ。

この一対は元文年間のもの。

寛文から文政期のもの。みなデザインが違って興味深い。

 

さらに反対側まで回り込むと、最後のヒーローが。

こうしてみると青麻山と刈田嶺神社は切り離せないものなのだと思う。

両方を訪ねてこそ、その真価に近づけるような気がする。いい一日だった。

 

これにて二日間のメニューを終了し、断続的な雨の高速道路を走って家路につきました。

 

この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図25000を複製したものである。(承認番号 平30情複、 第1168号) 

この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。