船形山に雨が降る | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

昔はこんなに雨降らなかったですよね。梅雨だってしっとりとしていて、歳時記の一部みたいな感じだった。災害に見舞われた方は気の毒ですが、山に登れないのもフツーに困る。

まあ元気な限り、できるだけのことはやっていこう!

週末はまず宮城県の名山の一つ、船形山からです。

 

雨に濡れたミネウスユキソウ

 

【2019年7月6日】

旗坂駐車場7:20~鳴清水8:25-30~升沢小屋9:45-10:00~船形山11:00-15~升沢小屋12:05-20~駐車場14:15

 

 

首都圏から遠路はるばる仙台の山奥までやってくるのは、それなりの気合も要るし期待に応えてほしいと願うものだ。途中で前泊までして、旗坂駐車場までたどり着いたら雨だった。

これでかなりテンションが下がった。本日の登山者の車は3台のみだ。

しかしここまで来たからには、ただで帰るわけにはいかない。カッパにスパッツを装着して出発!

 

天気の悪さとはうらはらに、ブナの樹林が美しい。二次林ではない、原生林である。

それにしても今日の天気予報はずっと曇りで、一時は晴れマークさえ並んでいたのだ。

 

天気予報を恨んでも始まらない。樹林の中だから雨もさほど気にはならなかった。フードをかぶったり、はねのけたりしながら登った。中のウェアはすぐにムレて汗でびしょ濡れになってしまった。その点だけが不快でどうしようもない。

 

今年の残雪期にも来ようと思ったが雨で流れた。そんなことを考えながら黙々と登る。

ナンバープレートは30番から始まるので、ここが中間点らしい。これは非常に励みになった。

 

三光の宮分岐を過ぎたら突然金の鳥居が現れた。

 

その手前の「石の堂」という場所から南へ10mほどヤブを入ると磨崖仏があるというので探してみた。

しかしどうしても見つからない。帰りにもう一度探してみよう。

それよりもこの雨は頂上まで行かせてくれるのだろうか? まだ頭の中はモヤモヤしていた。

 

そうこうするうちに升沢小屋に着いた。その直前で若いトレイルランナー二人が追いついてきた。

山麓の大和町に住んでるという。「今日はヤマテンでも晴れだったんですよ~」と言うが、地元でも山の観天望気はままならないらしい。それにしても楽しそうに登っていた。ここでしばしの休憩。

 

小屋の先からは問題の沢歩きが始まる。浅瀬とはいっても流れに足を突っ込むが、登山靴にスパッツならば濡れることはない。よほどのことがなければだが。

2週間まえの情報では、この沢筋に残雪があるというので軽アイゼンも持ってきた。ストックは出発段階で車置きに決定した。マーキングにしたがって尾根を乗っ越して隣りの沢に入っていった。

当然ながら、岩の上はよく滑る。

 

1300m地点の二俣を右へ入る。ここからまたさっきの二人が先行していった。

雪は、どうも無さそうだ。中途半端なブリッジが残ってなくて良かった。

沢に咲くムラサキヤシオ。傾斜は次第に急になってくる。

 

トラバースで見つけた、シラネアオイ。

家内も花に立ち止まりながら登ってくる。

 

オオバキスミレが一輪、また一輪。

 

沢沿いの道も詰めとなり、ゴーロの道になる。ゴゼンタチバナが姿を見せ始めた。

たっぷりと雨に濡れて。

 

そしてようやく稜線の道に出て、蛇ヶ岳への分岐を見る。

アカモノが下を向いていた。花たちは登山道におおいかぶさるようにして咲いていた。

ハクサンシャクナゲはほとんど終わりに近かった。それでも彩りを添えている。

 

ミネウスユキソウの登場です。華やかさの格が違う。

雨に濡れても、雨に唄う高嶺の花。雫をたくさん抱えている。

 

ネバリノギランも点々と続く。

ガスの稜線。今日は展望は望めません。登れたらそれでよし。

 

マルバシモツケも競い合うかのように。

クロースアップで

これもマルバシモツケ

 

もう山頂は近いようで、なかなか着きません。

ミネウスユキソウがあちらにもこちらにも。豪華絢爛、目を楽しませてくれる。

水滴に、世界が映っている。

 

やっと着きました。憧れの船形山山頂はガスと雨だった!

な~んにも見えない。

字が読めないのがちょっと寂しいじゃないですか。

 

山頂には船形山頂避難小屋が建っている。水さえ持って上がってくれば、とても快適な小屋だ。

さっきの二人とまた少し会話をして、中で一休み。

では、来た道を戻りますか。

 

再び沢筋へ、慎重に下っていく。

急な枝沢のスラブもなんとかこなして。

平らになって、あと少し。

升沢小屋は目前です。

 

升沢小屋でもう一休みした。別の二人組が休んでいて、朝日連峰に登るトレーニングに来たのだと言う。仙台あたりからだろうが、こんな雨の日に登らなくてもねえ。

そして我々は下山します。磨崖仏はやっぱり見つからなかった。それらしき岩の所までヤブをかきわけてはみたけれど。

さらに雨はどんどん強くなってきて、これでもかこれでもかというように森と大地に叩きつけていた。

振り返ると家内が楽しそうに歩いていたので、また前を向いた。No.28のプレートまで来て、あと二つだなあと思った。今度は振り向いてVサインをしてみた。笑ってる・・・

 

そのようにして初めての船形山は終わっていきました。はるばると来ただけのことはありました。

花と雨と静寂の船形山でした。

明日もう一本登るために、ホテルで濡れ物を全部乾かさなくては!