(この記事の写真は本文の内容との直接の関連はありませんが、賑やかしに入れています。)

 

 

 先週の情熱大陸の主人公は井手上獏さんでした。30分番組なのに、その生い立ちや考えていることをうまくまとめて、井手上さんのことを余すところなく伝えていました。

 

 

 最初にちょっとびっくりしたのは、よく「女性になりたい男」だと勘違いされるのが困ると言っていたこと。あれ?わたしとは違うんだ。わたしも誤解していました。

 

 

 だって、見た目はきれいな女性だし、声もしゃべり方も女性だから、女性になりたい人だとばかり思ってました。本人は前から「性別はありません」と言ってましたけどね。

 

 

 では、どうなりたいのかというと、「女性的」ではなく、ただ「かわいい」「きれい」でいたいんだそうです。自分の好きな格好をしているだけのようです。

 

 

 番組は「セレブ男子は手に負えません」のジェンダーレスモデル役でのドラマ出演やバイトルのCM(↓)、NHK「虹クロ」のメンター役や本業モデルとしての「VOCE」撮影風景などを紹介しながら、なりたい姿になるためのメイクを追求する彼に迫ります。

 

 

 

 

 その忙しい日々の合間で、2年かけて美容専門学校に通い、国際メイクアップアーティストの検定1級を取得、アロマ検定も勉強中だとか。打ち合わせでファッションブランドの女性から陶器肌と褒められて「陶器肌の作り方があるんです」と言っていたのが気になる。
 

 

 隠岐諸島で生まれ育った井手上さんは、成人式で10人ほどの同級生と再会して、小学生のときに埋めた集合写真を掘り出します。短髪の小学生だったのね。ちなみに、成人式の服装は茶色のオーバーサイズ気味のパンツスーツですが、女性モデルがカッコよく決めている風にしか見えません。

 

 

 子供の頃はおままごとが好きで、人数も少ないし普通に遊んでいたそうですが、高学年になっていろいろ男女を分けるようになると違和感を感じて、自分がおかしいのかな?と思うようになり、好きだったスカートを履くのもやめて教室の隅で目立たないようにしていたんだそうです。

 

 

 それが、中二のときに母親に「恋愛対象はどっちなの?」と訊かれて、「わからない、ないのかもしれない、それもわからない」と泣きながらいう彼に、母親が「漠は漠のままでいいんだよ」と言ってくれたことで、一気に「自分が好きなことしよう」と思えるようになったんだそうです。

 

 

 そんな自分の心の変化を書いた作文を全校生徒の前で発表し拍手をもらい、更に少年の主張全国大会で「カラフル」という題で発表、文部科学大臣賞を受賞します。

 

 

 そのときの井手上さんは学ランにちょっと長めの髪の可愛い男の子という感じでした。高校生のときの羽生結弦みたいな感じ。発表の中でも「ぼくは・・・」という人称を使っています。まだ声変わり前かな。

 

 

 そして15歳のときのジュノン・スーパーボーイ・コンテストで、「かわいすぎる男子高校生」として注目を集めます。このときは声やしゃべり方は女性っぽい。

 

 

 ホルモンは一切やっておらず、声変わりもあったそうですが、携帯に声を録音して練習、2年ぐらいかけて喉仏を上に上げて高い声を出せるようになったとか。「かっこいい自分」と「かわいい自分」の両方を使い分けたかったって。
 

 

 その後の活躍は皆さんもご存知かと思いますが、その固定観念に縛られない自由な生き方は、セクシャルマイノリティや若い人のみならず、周りにも影響を与えているようです。 馴染みのヘアメイクさんはアラフォーですが、もうそういう歳じゃないからと手を出さなかったカラコンを最近始めたそうです。

 

 

 面白かったのが、ドラマの撮影の途中で誰でもトイレを探すところ。女性のボディラインを作り込んだ超ミニのワンピース姿です。本人は男子トイレでもいいんだそうですが、高校のときに周りが「えっ」となってから誰でもトイレを使っているそうです。ないときはあるまで探すって。

 

 

 私服では男女Mixしたアンドロジナス・コーデというのを目指しているようですが、あの容姿だと女性が普通におしゃれしているようにしか見えませんね。

 

 

 成長と共に「男っぽくなってきた」と言われても、当たり前のことだからと自分ではイヤではなかったのに、周りのほうが否定的な言い方をするのに悩んだりしたけど、それなら自分から一歩進んで誰も知らないものに触れて自分からオープンにしていけば、知らないものは誰も肯定も否定もできないでしょ、だって。

 

 

 今、井手上さんは21歳。離婚してから女手一つで姉と自分を育ててくれた母親をモデルに、中二のときに自分を救う言葉をもらった感謝を込めて小説を書き始めています。しばらく目が離せませんね。

 

 

 この放送、もしかしたらギリギリで今日の夜までTVerで見ることができるかもしれません。ドラマ「セレブ男子は手に負えません」のほうはまだ放送中ですよ。