長い髪は今も美しさのシンボル? ミス・フランスのショートヘア論争に思うこと | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

化粧の日本史ブログ by Yamamura

昔の化粧から今の化粧まで、
化粧と社会、化粧と文化に関する
さまざまな話題をとりあげていきます。









サイト内の文章・写真などの複製、無断転載を禁止します

◆昔からあった「長い髪の方が美しい」という美の規範は、今でも私たちの中にあるようです!

 

こんにちは、山村です!

 

昨年12月に、

「大会史上初のショートカットの

ミスフランスに誹謗中傷が殺到!」

という記事がネットニュースになりました。

 

「フィガロジャポン」の

日本版サイトでも紹介されていますビックリマーク

 

 

要約すると昨年12月に開催された、

2024年のミス・フランスを決めるコンテストで、

ミス・フランスに選ばれたイヴ・ジルさん

(20歳)はショート・ヘアにスリムな体型。

 

フランスでは史上はじめて、

ショートヘアのミス・フランス

なったのですが、彼女の髪型や体型に、

SNS上で「ボーイッシュすぎる」とか

「本当の女性の美しさはどこ?」などと

批判が殺到したというニュースです。

 

ミス・フランスは2023年から、

18歳以上のすべての女性に門戸を広げ、

身長や出産歴も関係なく、

タトゥーもOKとなっています。

 

また、女性として市民権を持つ

トランスジェンダーの女性も出場できる

ようになりました。

(それまでは身長170センチ以上。

出産経験のない18~24歳の女性が対象)

 

私の中では、

フランスは、日本よりも多様性を認める社会

というイメージがあったのですが、

それでもSNSが炎上するほど

「長い髪の女性の方が美しい」

という価値観が生きているんだな、

と驚きました。

 

それまでずっと長い髪の女性が

ミス・フランスに選ばれていたというのも意外です。

 

日本のミスコンでは、これまで、

髪の長さの話題はなかったように思うのですが、

念のため、日本で50年以上歴史のある

「ミス・ユニバース」「ミス日本」

「ミス・ワールド」

の公式ウェブサイトをチェックしてみました。

 

上記ミスコンの、

昨年のファイナリスト(最終選考出場者)

の写真や動画を見たところ、

胸にかかる位の長さでウェーブをつけた

華やかなヘアスタイルや、

艶やかなストレートロングが大多数ビックリマーク

 

ショートヘアは少数派です。

 

ただ、昨年のミス日本グランプリは、

ショート・ヘアの女性でした。

この時、髪の長さは、

特に話題にもならなかったはず。

歴代のミス日本にも、ショートヘアの方はいました。

 

むしろ日本の方が寛容なのかはてなマークはてなマーク

 

とはいえ、長い髪のファイナリストが

大多数ということは、

「長い髪の方が美しい=高く評価される」

という美意識がその人自身のベースにあるか、

あるいは、ミスコンの美の規範を熟知した

アドバイザーの意見を取り入れた

可能性が高いと思います。

 

歴史的に見れば、昔から、

「長い髪が美しい」という美意識は、

世界中にあり、日本でも平安時代以降、

長く豊かな髪は、

女性の美しさや女性らしさの表象でした。

 

現代でも、ヘアケア商品のCMには、

長い髪の女性が出演することが多いですが、

それについて疑問を持つ人は、

少ないのではないでしょうか。

 

女性の髪の長さについていえば、

一般的に、若いうちは、

ミディアムやロングヘアにする人が多く、

年を重ねるとショートヘアが増える傾向にあります。

 

そういう意味では、艶やかな長い髪は、

若々しさのシンボルともいえるのです。

 

今ではどんなヘアスタイルを選ぶかは、

自由なはずですが、

このショートヘア論争は、

おそらく私たちの多くが無意識のうちに

「長い髪は美しい」「長い髪は魅力的」

という美の規範を持っていることを

気づかせてくれたエピソードでした。

 

次回は5月8日頃更新予定。