「化粧品会社はもうかる」は昔の話。2023年の化粧品大手の決算に思うこと | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆資生堂の早期退職者募集のニュースに驚きました!

 

こんにちは、山村です!

 

2月は大手化粧品会社の

2023年の決算が発表される時期。

 

今年も国内大手4社、

資生堂、花王、コーセー、ポーラの決算が

2月前半に出そろいました。

 

資生堂は総売上高が、

対前年比8.8%減の9730億円

 

決算資料によると、

国内の業績はインバウンド需要も戻ってきて

回復しつつあるものの、中国の景況感の悪化、

ALPS処理水の海洋放出による不買運動の影響

などで中国事業の売上が減少。

 

加えてトラベルリテールが回復していない

などの理由で、

全体的な売り上げ減少になったとのこと。

 

資生堂は売上に占める海外事業の割合が

日本事業よりも大きく、中でも中国が多いので、

影響がより大きいということでしょう。

 

SHISEIDOとKANEBOの広告。どちらも主力商品 「マキア」2024年2、3月号より

 

それでは花王はどうでしょうはてなマーク

昨年の業績が1兆5325億円の花王は、

対前期比では実質3.8%減

そのうち化粧品事業の売上については、

対前年比6.7%減の2386億円。

 

「KANEBO」「SUQQU」「KATE」

日本国内で二桁伸長していますが、

やはり中国事業やトラベルリテールが

大幅な前年割れで、

それらを国内と欧米でカバーできなかった

のが理由として挙げられています。

 

また、コーセーは、

昨年の総売上高は3004億円と前年比3.9%増。

そのうち化粧品事業は2.3%増の2404億円。

大谷効果もあり、コスメデコルテなどが

好調だったとはいえ、

こちらもトラベルリテールの苦戦や

中国の景気の影響があったとのこと。

 

最後になりますが、

昨年のポーラ・オルビスホールディングス

売上高は1733億円(前期比4.2%増)。

国内は5%増だったものの、

海外事業が4%減少しています。

 

他社と同様、

中国事業とトラベルリテールの苦戦

海外事業が前年割れした

理由として挙げられていました。

 

現在、大手化粧品メーカーはどこも、

国内消費がこの先伸び悩むのを見越して、

アジアや欧州など海外に進出して

活路を見出そうとしていますが、

鍵となるのは中国。

 

昨年のALPS処理水の海洋放出の件のように、

中国政府の意向次第で、

日本製品の売り上げが一気に下がる

ことがあるわけで、化粧品会社に限らず、

中国でのシェアが大きいメーカーは、

苦労が多いのですあせる

それでも、中国の人口の多さは魅力なわけで……。

 

昭和の時代、

化粧品業界はドメスティックな業界で、

参入すれば儲かると言われてきて、

実際に業績は右肩上がりでした。

しかし、令和の今はそう甘くないんですねビックリマーク

 

などと、のんきに書いていた2月29日、

「資生堂ジャパンが従業員の約1割、

1500人の早期退職者を募集する」

というネット記事が流れてきて、

目を見張るほど驚きました。

 

日本事業に関わる従業員が対象で、

年齢は45歳以上で勤続20年以上のベテラン社員。

国内事業の収益回復のためという名目です。

 

資生堂は2021年に、

中・高価格帯商品に注力するために、

TSUBAKIunoといった

低価格帯コスメを扱うパーソナルケア事業部を

1600億円で売却しています。

(現在の㈱ファイントゥデイホールディングス)

 

 

その時に転籍した人もいたと思うのですが、

さらに今回、1500人の退職者を募集とは……。

資生堂は従業員を大切にするイメージが

あったので予想外でしたビックリマーク

 

これまで比較的穏やかに過ごしてきた

化粧品業界も、

大手がリストラをする時代になったのか、

というのが、化粧品メーカーに在籍した

経験のある私の第一感です。

 

このニュースも経過をチェックしていきたいと思います。

 

次回は3月13日頃更新予定。