季節の花と化粧 冬編 南天 難を転じる厄除けのシンボルでした。 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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南天は、江戸時代の柄鏡の背面の文様にもなっています!

 

こんにちは、山村です!


今回は、ひさびさに「季節の花と化粧」

のテーマで、南天をとりあげます。

といっても、南天の花でなくて実ですがビックリマーク

 

今の季節、自宅に南天の赤い実が

なっている家は、

けっこうあると思いますビックリマーク

 

南天は「難を転じる」と読めることから

厄除けがあると考えられ、

昔から家の鬼門や水周りに植えられたり、

「縁起物」として正月の飾りにも

使われてきましたニコニコ

 

下の写真が実物です。

 

 

そして、江戸時代には、

女性の必需品ともいえる、

柄鏡(えかがみ)の背面にも、

南天の文様はよく使われています。


当時の鏡は、銅に錫(すず)や鉛(なまり)

を混ぜてつくった青銅製。

鏡面には錫メッキをして姿が映るようにして、

背面には鋳型で文様が描かれています。


その文様は、草花など、

自然を題材にしたもののほか、

嫁入り道具として持参したと思われる

松竹梅や鶴亀などの吉祥文様、

縁起のよい南天や、夢を食らう獏(ばく)、

滝をのぼる鯉(立身出世の意味がある)など、

さまざまでした!!

 

江戸時代の柄鏡については、

以前にとりあげていますので、

興味のある方は下記のブログをご覧ください音譜
「季節の花と化粧 秋編 柘榴(ザクロ)①」

 

 

さて、浮世絵では、

なかなか鏡の背面が見えるものが

みつからなかったのですが、

今回、思わぬ大物を発見目

 

下の浮世絵は、安政5年(1858)

に出版された豊国画の

「源氏後集余情 第三の巻 空蝉」

(国立国会図書館蔵)

 

 

中央にあるのは、

柄鏡でも円鏡でもなく、珍しい四角い大鏡キラキラ

木彫りの唐の童子2人が支え持っています。

 

鏡を前に身支度を整えているのは、

空蝉でしょう。

どうやら姿見のようですが、

これだけ大きいと全身が映りますね。

 

アップにしてよく見ると、

鏡の背面に、南天の木と実が!!

 

 

 

ちなみに、庶民が使う鏡台と鏡は、

せいぜい下の浮世絵の大きさです。

 

「江戸名所百人美女 柳橋」部分 歌川豊国 安政5年(1858)
(国立国会図書館所蔵)

 

実際にこんな大きな鏡があったのでしょうかはてなマーク
少なくとも私は、

これまで見たことがありませんでした。

 

疑問に思って調べてみると、

2015年6月25日の「北日本新聞」に、
富山県中新川郡立山町にある

五百石天満社(ごひゃっこくてんましゃ)に

安置されている円鏡が、

「江戸期の国内最大和鏡か」という記事がビックリマーク
https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000002963

 

天満社の鏡は青銅製で直径106㎝、

重さ約112㎏の円鏡ですびっくり

上の記事によれば、

「江戸時代では、直径100㎝以上の鏡は

確認されていない」とのことビックリマーク

 

この浮世絵に出てくる鏡は、

そこまで大きくはなさそうですが、

それでも縦が6、70㎝位はありそうですね。

となると重さも数十㎏にはなるはずで、

庶民の長屋に置くには大きすぎ爆  笑

使うなら、それなりのお屋敷でしょう。

 

結局、同じような鏡は、

調べた限りでは見つからずじまい。

本当にあったのか、

残念ながら疑問は解消されませんでしたあせる

 

というわけで、今回は少し消化不良です。

どこかに同じような実物が残っているなら、

ぜひ見たいものです。

何か情報をお持ちの方は、

教えていただければうれしいです!!

 

次回は1月30日更新予定。