江戸時代の洗髪 ③ ふのり(海藻の一種)で洗髪料をつくる その2 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆今度は、ふのりを煮て洗う方法を試してみました!

 

こんにちは、山村です!

 

前回は、熱湯で溶かしたふのりに、

すき油をつけた毛束を洗ってみましたが、

油分が残ってしまいました。

 

そこで今回は、一晩水に浸したふのりを、

鍋で30分煮込み、57℃になったとき、

毛束を洗ってみました。

 

写真は一晩水に浸したふのりです。

浸すだけでも、かなりドロドロになりましたが、

繊維はしっかり残っています。

 

ふのりも少し増量ビックリマーク

分量はふのり1回5g使用×2回分で10g、

つけた水は200ccほど。

 

 

鍋でふのりを煮る工程は料理と同じなのでカット。

 

美容記事には、弱火で煮込むとあるので、

あらかじめ、150ccほど水を足して

少し粘りをゆるくし、

途中で蒸発した水分を補いながら

かき混ぜ続けました。

 

2回目はふのりの分量が多いので、

小麦粉は使わず。

30分経過すると下の写真のようになりました。

 

 

熱湯で溶かした場合と違い、

ふのりはきれいに全部溶けていますビックリマーク

 

次に、57℃になった時に、

すき油をつけた毛束を洗ってみたところ、

今回はかなりきれいに落ちました。

 

それでも若干しっとり感は残りましたが、

べたつきはほとんどありません。

 

ということは、

ふのりの濃さと温度がポイントでしょうか。

清潔志向が強い現代とは事情が違うので、

この程度の汚れ落ち具合で

十分だったと思います。

 

江戸時代の『都風俗化粧伝』にも、

ふのりが熱いうちに髪にすりつけ、

揉みこむとあったのですが、

融点の高い木蝋のような油分を溶かすには、

かなり熱い湯である必要があったのでしょう。

 

大正時代の文献にも、

ふのり洗髪のすすぎについて、

「手のつけられないくらいの熱さのお湯を、

頭から掛ける」と書かれたものがあります。

 

ついつい、やけどが心配になりますが、

それくらい熱い湯を推奨する本もあったのです。

 

その意味では、ふのりを用いた洗髪の場合、

髪の汚れ落ちは、湯の温度や、

使っていた髪油など整髪料の

種類によっても左右されたと考えられます。

 

実は、ふのりの洗髪料は

現在でも使われています。

 

商品として販売されているのが、

美容文化社の

「こんぶとふのり 粉末タイプ」(5g×5包)。

商品名にあるとおり、

昆布とふのりが原料の自然派シャンプーです。

 

1包(5g)を水に溶いて使うタイプで、

ふのりを熱湯につけたり、

鍋で煮て溶かす苦労を省いた商品です。

 

最後に、

自分でつくったふのり洗髪料を使って、

実際に髪を洗ってみました。

感想は次回に爆  笑

 

5月16日更新予定。