◆思ったよりも匂いもなく、しっとりと洗いあがりました!
こんにちは、山村です!
最後はやっぱり自分で洗ってみないと
ということで、前回つくった、
ふのりを30分煮出した洗髪料で、
髪と地肌を洗ってみました。
髪にふのりをつける前に、
念のためガーゼでこしました。
板ふのりは、製造過程でむしろの上で干すため、
ワラが混ざっていたり、
砂粒が入っていたりしたので、
それを取り除くためです。
下の写真は、ゴミをこして、
きれいになったふのり溶液。
どろりとしたテクスチャーで、
コップに入れると、とろみのあるジュースのよう。
昔の美容記事によると、長い髪の場合は、
毛の先から洗いはじめて、
中ほど、根元と、下から順にふのりを
揉みこみながら洗うように指示しているものもあり。
私の場合は、髪油をつけていなので、
温度が30℃位の時に、普通に洗髪をしました。
どろりとした液を、
髪と地肌にクチャクチャ揉みこむようにして洗い、
すすぎをしっかりしてドライヤーで乾燥。
洗った感想は次のようなものでした。
海藻なので、
磯臭いのを心配していたのですが、
思ったより匂いはわずか
洗い上がりも、海藻の匂いと言われれば
そうかと思う程度で、
匂いは特に気になりません。
ただし、粘りをとるには、
すすぎをしっかりすることが必要でした。
江戸時代の美容書『都風俗化粧伝』では、
すすぐ湯が2度目から水になっていました。
大量の湯を沸かすのが大変だったからでしょう。
夏ならともかく、
冬の洗髪は考えただけで凍えそう。
洗ったあとの地肌は、しっとりさっぱり。
地肌の油分はとれています。
乾かした髪もしっとりしています。
ドライヤーで乾かすと、ハリのある、
少し重い感じの仕上がりになりました。
ハリ感が出るのは、
ふのりが着物の糊に使われる素材
なのを考えると、納得できます。
以上、簡単な実験でしたが、
今回の結論として、
①ふのりを熱湯で溶かすより、
煮た方がしっかり溶け、
同じ量なら濃い溶液になる。
(熱湯に溶かすだけの場合は、
ふのりの量を増やす必要があると思います)
②木蝋(もくろう)のように、
融点の高い成分が入った髪油を使っている場合は、
油が溶ける温度の熱い湯で洗う。
(そうでないと汚れ落ちが悪い)
などの点を注意すれば、
「ふのり洗髪でも、髪の汚れは落ちる」
と言えると思います。
江戸時代の女性の暮らしを考えてみると、
使用人に水くみをさせ、
たくさんの湯を沸かして髪を洗える豊かな家と、
共同の井戸に行って水をくまなければならない
長屋住まいでは、洗髪事情も違ったはず。
女性たちは、それぞれの生活環境や、
使っている整髪料に応じて、
自分に合った洗髪方法を工夫していたのでしょう。
拙著『化粧の日本史 美意識の移りかわり』では、
洗髪については省略したので、
今回、ブログでとりあげました。
江戸時代や明治時代に使っていたふのりが、
今回使ったタイプと同じとは限らないのですが、
伝統化粧の再現という意味で、
参考になれば幸いです。
次回は、明治時代の美人について。
当時のブロマイド「美人絵はがき」から、
明治時代の美人像や、
容姿と若さについて考えてみました。
5月22日更新予定。