|
雪で借家のアンテナが折れてしまいました。修理代が約5万円もかかると言われましたが、
貸主に請求できますか?
|
|
|
貸主が設置していたアンテナならば、貸主の修繕義務
(注1)の対象となります。 |
|
|
賃貸マンションのベランダが壊れて危ないので、貸主に修理を頼んでいるのですが、
なかなか修理してくれません。自分で修理してその費用を貸主に請求できますか?
|
|
|
ベランダは建物の一部として貸主の修繕義務の対象で、また、修理費用は、
貸主にとって必要費
(注2)にあたり、貸主は直ちに補修しなければならない事柄です。
しかし、貸主が応じてくれない場合には、期限を切って請求し、それでも応じてくれない場合は、
「借主が修理を依頼する、その費用を請求する」旨を通知します。その上で、
自分で修理し払った費用を貸主に請求できます。それでも払ってくれなければ、
よく月分の家賃と相殺する事ができます。
|
|
|
賃貸マンションの2階の部屋から水漏れし、押入れの布団が水浸しになってしまいました。
損害賠償を誰に請求できますか?
|
|
|
漏水の原因は何ですか。給排水設備に不具合があったのか、2階の住人の不注意が
原因なのかで異なります。給排水設備が原因の場合は貸主に請求することになります。
2階の住人が洗濯機の水を止め忘れたなどで漏水した場合は、2階の住人の責任です。
|
|
|
前の住人がおいていったクーラーが入居直後に故障しました。
貸主に修理をお願いできますか?
|
|
|
契約書に付帯設備として明記されていない等の事情から、貸借物件の一部と
みることのできない場合は、貸主に修理責任はありません。
前住人の残留品にすぎない場合でも、契約時に付帯設備確認書などに明示してもらっておけば、
設備として家賃に反映されて貸主の修理義務の対象となります。
|
|
|
門の前の駐車スペースが砂利敷きで使いにくいので、貸主の了解を得てコンクリート敷きに
しました。費用を貸主に請求できますか。
|
|
|
建物の価値を増加させるための費用は有益費
(注3)となります。賃貸借終了時に費用の償還請求ができます。しかし、有益費用は借主の負担とする特約も有効で、特約があれば請求できません。 |
|
|
浴槽や洗面設備の修理費用は貸主に請求できますか。
|
|
|
浴槽や洗面設備の修理が必要となった原因が、借主の故意・過失による損傷ではなく、
経年変化による劣化であれば、本来は貸主が負担すべき必要費の範囲と考えられます。
貸主に修理を依頼したが対応してくれない場合は、修理業者の選定など貸主の了解をとった上で、とりあえず借主の費用で修理し、貸主に対して直ちに償還請求することができます。
しかし、借主が勝手に修理してしまった場合は、修理が本当に必要であったのかどうかも
分かりませんから、貸主が償還に応じてくれない恐れがありますから注意が必要です。
建物の修繕義務は、原則貸主が負います。
|
|
|
(注1) 貸主の修繕義務 (民法第606条)
①貸主は賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負います。
②貸主が賃貸物の保存に必要な行為(修理・修繕)をするときは、借主はこれを拒むことは
できません。
|
(注2) 必要費 (民法第608条第1項)
貸主が負担すべきもので、目的物の使用収益に必要な費用です。例えば、貸主がなかなか
屋根の修理をしてくれないので、借主の費用で修繕したとき、立替払いした費用は直ちに
貸主に償還を請求できます。貸主が応じてくれないときは、必要費の限度で翌月の賃料と
相殺すると主張できます。
|
(注3) 有益費 (民法第608条第2項)
客観的に見て目的物の価値を増加させるための費用です。例えば、トイレを和式から洋式に
替えた場合や床板の張り替え費用等です。目的物の保存に必要な費用ではないので
貸主が負担すべきものとはいえず、有益費償還請求権を放棄する特約は有効とされています。
借主が有益費を支出したときは、貸主は賃貸借終了時において、貸主の選択に従って、
借主の支出した費用あるいは賃貸借終了時に残存する価値のどちらかを弁償しなければ
なりません。ただし、貸主は有益費の償還につき、相当の期限の許可を裁判所に請求する事が
できます。しかし、古くなってしまって家全体の価値に影響がないときは、
弁償してもらうことはできません(民法第196条第2項)
|
|
有益費は建物から取り出すことができないものです。同じく借主が付加し建物の価値を
増加させるものに造作があります。造作は独立性があり借主の所有物です。
|
|
借主の負担とする特約で有効な修理の範囲 |
費用が軽微な一定範囲の小修繕については、貸主の修繕義務を免除したにとどまり、
積極的に修繕義務を負わせる趣旨でないと解すべきです。特約の範囲の小修繕は、
借主が貸主の承諾を得ることなくでき、その場合は、貸主にその費用を請求できません。
|
有効な特約の例 |
畳の表替え・裏返し、障子・襖の張り替え、電球・蛍光灯の取換え、
ヒューズ・給排水栓の取換え、その他の軽微な修繕
|
無効な特約の例 |
貸主は一切の修理義務を免れる特約
借主が小規模な範囲を超えて修理義務を負う特約 |
|
|
|
|
|