家賃の滞納と契約解除 <原状回復バスターズ> | 原状回復バスターズ活動日記 03(5962)7660 

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家賃の滞納と契約解除


 契約はどうなっていますか。

質問

 契約書には「家賃の支払いを1回でも遅延したら催告することなく契約を解除できる」という条項があります。大家さんはこれに基づいて契約解除するので家を明け渡して欲しいと迫ってきました。こういう条項があれば、ひと月の滞納でも契約違反となりますか。

答え

 借主の家賃支払い義務は賃貸借契約の最も重要な義務です。このため家賃の滞納はひと月でも義務違反になります。 しかし、この程度の義務違反だけでは契約解除の理由になりません。


 一般に、家を借りる目的はそこで生活するためであり、したがって契約期間も長期にわたります。 長期の間に、急病で入院したり、不意の支出があるなどで家賃の支払いが遅れる事情が起こり得ます。家賃の支払いがひと月遅れたというだけで契約が解除されて、借家から他に転居することは容易なことではありません。このため、ひと月の滞納イコール契約解除という単純な理由にはなりません。


 契約解除となるかどうかは、「一般社会常識から考えて大家さんと借り主の信頼関係が破壊されているかどうか」にかかっています。信頼関係が破壊されているかどうかは賃料不払・遅滞の状況とその事情に加え、大家さんと借り主の関係を総合的に判断して行われます。


 判例を見ると、連続11カ月間の家賃不払いのケースでも、大家さんと借り主の特別な事情などから信頼関係が破壊されていないと判断して契約の解除を認めなかった例もありますし、2カ月間の不払いについて、他の事情を考慮して大家さんと借り主の信頼関係がすでに破壊されていると判断して契約解除を認めた例もあります。後者の場合は、実際の不払いは2カ月だけですが、それまでにも賃料を滞納しがちでしたし、借り主が大家さんに嫌がらせをしていたりした事実が、信頼関係が破壊されているという判断の根拠になったようです。

質問

 信頼関係の破壊について基準がありますか。

答え

 明確な基準はありません。判例などを検討すると、原則として(1)最低3~4カ月あるいは4~5カ月の賃料不払いがある(2)大家さんが借り主に対して、いついつまでに賃料を支払えと請求している(3)借り主がその期間内に支払っていない、の要件が揃っていれば信頼関係が破壊されたと解していいでしょう。

 不払いの期間に3~5カ月の差があるのは、不払い以外の事情が考慮されるかどうかです。

 相談のケースは、単に支払いがひと月遅れたというケースです。契約条項があっても契約解除の理由にはならないので家を明け渡す必要はありません。

質問

 逆に、裁判で契約解除が認められる場合は、どんな判決が出るのですか。

答え

 不払いの家賃を支払って、物件を明け渡せという判決が出ます。

質問

 この判決どおりに、借り主に家賃を払ってもらい契約を解除して出ていってもらえるわけですね。

答え

 必ずしもそうはいきません。家賃を支払わなかったり、家を明け渡さなかったりする場合もあります。明け渡しの判決を得たからといって、大家さんが勝手に借り主の持ち物を部屋の外に持ち出したりしたら、逆に訴えられても仕方ありません。本当に明け渡して欲しい場合は、別途、強制執行の手続きを踏み、執行官に明け渡しの強制執行をしてもらう必要があります。

質問

 支払いが遅れる場合はどうしたらよいでしょうか。

答え

 支払いが遅れると思ったら、家主に遅れることと支払い予定日を知らせることです。できればその理由を併せて知らせるとなおよいでしょう。

 家主も借主もお互いが誠意をもって信頼関係を破壊しないようにしたいものです。