剥離泡領域 | やまめ工房の日記2010+α

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YA翼型の煙風洞のよる可視化試験写真から上面剥離泡の領域を調べました。
剥離泡の領域を写真から正確に判断するのは無理が有るのですがここは素人の強みでかなり強引に判断しました。

レイノルズ数はHLGの滑空領域で有る14000、20000、25000、30000、35000の5段階。
迎角は0度から12度までの1度きざみで撮影された個々の写真を使いました。
グラフの見方は、横軸が迎角です。縦軸は翼弦%で0が前縁で100が後縁です。
例えば冒頭写真のレイノルズ数20000で迎角5度の場合、翼弦25%までは付着流、25~70%剥離領域(剥離泡)、70%以降が再付着流となります。
写真とグラフを見比べてよく観察してみて下さい。

全体を通してこのレイノルズ数では上面は完全付着流となるのは迎角が小さい時だけです。
定常滑空迎角付近では必ず剥離泡を伴う流れで有ることが解ります。
剥離泡は時々発生するという程度の物では無く上面の多くの部分が剥離泡に覆われていると考えて良いでしょう。

Bサイズの小型の機体の滑空レイノルズ数は15000ぐらいですのでこのグラフの14000が参考になります。
上面はハイポイントで剥離が始まり後縁付近でかろうじて再付着する形となります。
再付着しなければハイポイントから剥離する失速状態ですのでぎりぎり翼として性能が出てる感じです。
これより少し小さい翼弦では再付着する事が無くなって揚力が減り抵抗が増える形で性能が急激に落ちるでしょう。
臨界レイノルズ数真っ只中と言えます。


20000までレイノルズ数が上がると少し様子が変わってきます。
ハイポイントで剥離した流れは後縁から少し余裕を持って再付着するようになります。
再付着しない迎角(失速迎角)も少しだけ上がります。
再付着領域が増えて揚力は安定し始めます。
HLGが何とか性能が上がってくるレイノルズ数という事です。
Aサイズのスパン50㎝野球投げ機体に相当する平均翼弦7㎝の機体の場合に相当します。

25000は20000と大きな変化は有りません。
多少、再付着領域が増える分性能が上がってくる形でしょう。
スパン90㎝程度の細身の翼端投げ機体がこのレイノルズ数に該当します。

30000、35000まで上がると再付着領域ががぜん増えてきます。
言い換えると剥離泡が小さくなってくるという事です。
揚力も高く抵抗も少ない状態で安定した性能が期待出来そうです。
スパン1m超の翼弦の広い大型の翼端投げ機体に相当します。

40000以上のデータは有りませんが剥離泡が小さくなって全面付着流に近い形と成るようです。
スパン1.5mのF3Kが丁度このぐらいのレイノルズ数で定常滑空となるでしょう。
完全付着流となれば計算でかなり正確に性能シュミレート出来そうです。