10/5(日)金春会 
にて、能「通小町」シテ深草少将を勤めさせて頂きました。

国立能楽堂まで足をお運び頂きました皆様、本当にありがとうございました😊!!
普段応援くださる沢山の皆様がお越し下さいました。本当に嬉しかったです。

ツレ小野小町役は、玄人弟子の村岡聖美に勤めさせました。
20年以上をかけて育ててきてここまで来た感慨と共に、舞台で横に並びました。

今の自分で精一杯勤めさせて頂きました。
色々以前からお聞きはしていましたが、通小町のシテは最初の屈んでカヅキを被って出て来てのところが1番地味に辛かったです、、、、腰が痛いし暑いし、、、

お客様からは、怖かった、、という感想をたくさん頂きました。それは、現代の名工・岩崎久人さんの能面痩男によるところも大きかったように思います!
岩崎さん、ありがとうございました!

深草少将は、以前にカナダ・バンクーバーでの能オペラ「KAYOIKOMACHI」での深草少将役の時から、いつか能のシテで、と思っていました。

オペラをさせて頂いたのも、懐かしい思い出です。

ありがとうございました‼️😊












つい先日の話、、、
ほぼ毎月担当している講座の講義のため、朝から満員電車で都内へ、、、
都内の最寄駅で、私がキャリーケース引いてたこともあり、直ぐ目の前のエレベーターへ。
自分だけかと思いきや、様々な人が乗り込んでくる。
この中に、私と歳の変わらなそうな男性が杖をつき、私の隣に乗ってきた。

ふと見ると、私と全く同じ右半身麻痺。ヘルプマークも下げておられる。
スラックスを履き、白ワイシャツで首から鞄を下げて、これから出勤されるところと見受けられた。右足には装具を付けておられる。
エレベーターが奥の逆から降りる形であったので、計らずも私から降りることになった。
1番に降りた私は、次に降りてこようとした男性に目がいき、思わず、開きそうなエレベーターのドアを押さえた。

すると、男性は私に「大丈夫です」と言った。その「大丈夫です」の声のトーンと彼の表情から、やや迷惑であり世話を焼いて貰わなくて結構です、というニュアンスを感じて、私は「失礼しました」とその場を退散した。

改札口出て、駅前の赤信号で捕まり、歩道で立ち止まっていると、先程の男性が、偶然私と同じ方向に歩いてきた。

そして、私の背中後ろを通り過ぎて、歩道沿いに右方向に懸命に杖を突きながら歩いていかれた。

ややおせっかいで悪かったなと思いつつ、内心、「私も同じ右半身麻痺だったのですよ。お互い頑張りましょう!」と歩いていくその背中に、喉まで声が出かかりながら、心の中で声をかけた。

至近距離で話した感じは私よりはやや若く、40歳から45歳位に見えた。

都内の朝の通勤の雑踏の中、彼も決意を持って、半身麻痺ながらも企業戦士として職場に向かっていくのだろう。

励ますつもりが、私自身が励まされたひとときでした。

それと、駅や街中で、杖をついたり、不自由にされながら頑張って歩いておられる方々がこんなにもいたとは!!
そういうところに目が行くようになったのは、脳卒中を経験して、数少ない良かった点。

これからも、私はめげずに、そういう方々におせっかいを焼いていきたい。



芸術の秋!
大事な舞台が続きます。

武士を主人公にした修羅物の大曲、三修羅のひとつとも称される、能「実盛」のシテを勤めさせて頂きます。

地元・横浜能楽堂の今年度唯一の主催能公演にて、シテを勤めさせて頂きます。

現在、横浜能楽堂は改装工事中。なので、みなとみらいのランドマークタワー横の、ランドマークプラザ内にある、ランドマークプラザホールにて開催。

そして、何といっても素晴らしいのは、私の母校、藤嶺藤沢高校の隣であり縁深い神奈川県藤沢市の時宗総本山遊行寺に、鎌倉時代の開祖・一遍上人より伝わる「踊り念仏」をご披露頂く、ということです。

時宗は、能楽にも強く影響を与えた宗派です。
そこに鎌倉時代より脈々と伝わる、本物の踊り念仏を、総本山遊行寺より派遣される全国の時宗精鋭僧侶の皆さんによりご披露頂きます。これだけでも、大変な貴重な機会です。

そしてそのまま休憩を挟まずに能実盛に突入して、その空気感をそのまま能に活かしての上演します!

また、踊り念仏で使用される薄も、そのまま能実盛でも使用させて頂くことにししました。

能は神仏の世界をこの世に具現化するものです。
その奇跡を、ご覧の皆様にも実感して頂きます。

とにかく私は大変な能ですが、老武者の気骨を表現出来るように、頑張って勤めさせて頂きます。
私にとっては、今年最大の試練・イベントとなります。

どうぞ宜しくお願い致します。

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横浜能楽堂企画公演 
「遊行の聖 弔いの心」

能「実盛」(金春流)
シテ(老翁・斎藤別當実盛)山井綱雄

開催日
2025年10月16日(木)
時間
18:00~20:30
入場料
5,000円(全席指定)

お問合せ・申し込み等
【チケット取り扱い】
電話 TEL:050-3092-0051(カンフェティ 平日10:00~18:00)

【お問合せ】
OTABISHO 横浜能楽堂 TEL:045-263-3055 (11:00~20:00)


神奈川県藤沢市にある時宗の総本山・遊行寺ゆぎょうじ(清浄光寺しょうじょうこうじ)は、遊行四代 呑海上人どんかいしょうにんにより、1325年に開山した700年の時を刻む古刹。
鎌倉時代末期に興った時宗は、能ともかかわりが深く、遊行上人が登場する作品も多く残されており、観阿弥、世阿弥の阿弥号は時宗との関連性が指摘されています。
本公演では、遊行十四代 太空上人たいくうしょうにんが、斎藤別当実盛の霊を鎮めたとの巷談をもとに世阿弥が作った能「実盛」を上演。
また、実盛の供養の際にも営まれたと伝えられている「薄念仏会すすきねんぶつえ」を時宗僧侶の出演によりお送りします。 
※能「実盛」は、能楽鑑賞多言語字幕システム「能サポ」による字幕解説がございます。舞台の進行に合わせて、お手持ちのスマートフォン・タブレットに分かりやすく解説が表示されます。機器をお持ちでない方には、端末の貸出もございます。

狂言語「文蔵」(大蔵流)
山本則重

「薄念仏会」 
時宗法式声明研究所

能「実盛」(金春流)
シテ(老翁・斎藤別當実盛)山井綱雄
ワキ(遊行上人)舘田善博
ワキツレ(従僧)則久英志
ワキツレ(従僧)梅村昌功           
アイ(里人)山本則秀

笛: 松田弘之
小鼓:田邊恭資
大鼓:柿原弘和
太鼓:梶谷英樹

後見:金春憲和
   本田芳樹

地謡:髙橋忍
   辻井八郎
   井上貴覚
   本田布由樹
   中村昌弘
   山井綱大
   岩間啓一郎
   立本夏山