PORSCHE 純正ヘッドユニット | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

ポルシェ911スピーカーシステムのシ
ステム構成についての説明の中に、
「純正のヘッドユニットに戻すこと
もできます」
といった内容のことを書き
ました。

さっそくポルシェにお乗りの方から、
「993の純正ヘッドユニットはカセッ
トデッキでしたが、カセットテープで
音楽を聞くということですか?」とい
うお問い合わせをいただきました。

少し説明が足らなかったですね。

昨日紹介したシステム構成の(4)、
すなわちDSPパワーアンプを使うシ
ステムでは、もはやヘッドユニットを
音源としては使用しない(もちろん音
源のひとつとして、手元のコントロー
ラーで切り替えればラジオやカセット
の再生も可能です)、すなわちそこに
何が付いていても大丈夫。もはやイン
テリアといっても過言ではないです、
ということです。

どのようなインテリアが好みかは人そ
れぞれですが、1つの選択肢として、
純正ヘッドユニットはどうでしょうと
いう提案をしています。若かりし頃、
雑誌やカタログに載っていたままの姿、
いつか絶対に手に入れて運転するんだ
と憧れたときに目に焼き付けていたそ
のままの姿を、いまそばに置くという
のもいいじゃないですか、という提案
です。

iPhoneやAndroidなどのスマホが音楽
プレイヤーになり、ハイレゾ再生も可
能なBluetooth LDACを介してDSP
パワーアンプに直接音楽が伝送されま
す。わたしが皆さんにおすすめする
audisonというメーカーのコントロー
ラーはワンダイヤル式なので、シガー
ライターソケットのところに違和感な
く収まります。

こういうことができるようになったの
はほんの数年前で、それまではオー
ディオヘッドユニットの性能が音楽再
生の決め手だったので、そこから意識
が離れないのは、我らの世代では仕方
のないことかなとも思います。

けれども、時代は変わりました。

いまや、オーディオヘッドユニットは
ほとんど新製品が生まれるような市場
ではなくなり、最後まで残っていた高
級機の代表だったパイオニアDEH-P01
もついに生産中止になりました。と
いっても、2009年に登場した機材です
から、数年ですっかり古くなるデジタ
ル機材において、よくぞここまで長生
きしましたという感じではあります。
2009年って、日本にiPhoneが登場した
翌年ですから……。


さて、スピーカーシステム開発のため
に借り受けた911のオーナー氏から、
早々に純正カセットデッキを預かって
いました。コンチネンタル製に交換し
たばかりのヘッドユニットをスピーカ
ーシステムの導入を機に純正に戻して
ほしいというリクエストです。ほとん
ど出番がないまま、30年前のカセット
デッキに居場所を奪われることになっ
てしまったコンチネンタル製には申し
わけないですが、入れ替えです。


ここからは、送られてきた純正カセッ
トデッキを手直ししたときの写真を紹
介します。それはそれはくたびれた感
じでしたから、さすがにそのまま入れ
替えておしまいという気分にはなれな
かったということです。そういう性格
なんです、すみません。




これを外して、純正カセットデッキに
交換してくださーい、とオーナー氏か
ら連絡あり。コンチネンタル製のヘッ
ドユニット、端正なフェイスが人気で
すね。いい顔していると思います。た
だ、中身は汎用のチップセット(用途
に応じてつなぎ合わせるだけで動作す
る電子回路基板)だと思います。ネッ
トで買うと1000円くらいで中国から送
られてくるものなので、電子回路工作
が好きな人ならきっと知ってると思い
ます。20年くらい前には何種類もあっ
たこういう端正な表情の日本製のヘッ
ドユニットは、中身もオリジナル回路
満載で、メーカーごとの個性感じられ
る本気の機材でした。その代わり、当
時でも20万円くらいとか平気でしまし
たけどね。そういうものとは違うとこ
ろを狙った、コンチネンタル製ヘッド
ユニットです。




専用の工具で、コンチネンタル製ヘッ
ドユニットを取り外したところです。




車外ヘッドユニットを取り付けるとき
に使用する金枠を取り外したところ。
純正ヘッドユニットには不要です。




宅配便で送られてきた純正ヘッドユ
ニット。赤い分電器具がたくさん取り
付けられていますね。イヤな予感がす
る長めです。




ひっくり返しました、純正ヘッドユニ
ットの底面です。配線の割り振りが描
かれているのは助かりますね。外部
CDチェンジャーのコントロール機能付
きカセットラジオデッキ、です。
「P」マークと純正部品番号が書かれ
たステッカーも貼ってあります。
「MADE IN JAPAN」、ミツワが輸入し
ていた頃のポルシェには、ソニー製の
オーディオセットが搭載されていまし
た。ポルシェファンには今更ですが、
“Dr.Ing.h.c.F.Porsche Aktiengesellschaft”
とあるのは、
Dr.Ing.=Doktortit Ingenieurwissensch(工学博士)、
h.c.=honoris causa(名誉たる)
F.Porsche=Ferdinand Porsche、
Aktiengesellschaft=AG(株式会社)
という意味です。




さて、これから「ちゃんと」しようと
いうところです。




忌々しい分電器具を取り外すと、こん
な感じになってます。そのままではシ
ョートの危険があるので補修しなけれ
ばなりません。内部の銅線もブツブツ
にちぎれて、首の皮一枚状態になって
いる線もありました。




ヘッドユニットの底面と同じような感
じでネトネトに汚れている背面。この
真下に灰皿がありますから、たぶんタ
バコのヤニじゃないかと思います。




配線カップラーがカタカタ鳴らないよ
うにスポンジテープを巻くと、何年か
ごには必ずこういう感じになります。
加水分解で表面ポロポロでゴミだらけ、
両面テープはネチョネチョ。なかなか
剥がれなくてたいへんなのですが、こ
のままってわけにもいかないです。剥
がします。




熱収縮チューブで何本かずつ束ねられ
ていた配線、チューブを外して、1本
ずつ汚れを落としたところです。少し
先が見えてきました。




配線を危なくない状態に修復して、つ
いでにきれいにするために、筐体を開
ける必要が出ました。30年前の電子基
板は、こういう感じです。ICも日本で
作られているものが多かったですね。
右上の「SONY」とあるチップはドルビ
ー音響研究所のマークも入っています。
言うまでもなく、ドルビーの回路です。
集積回路はインターネットで型番を調
べると、そこそこ古くても、なんとな
く……な感じも含めて情報が手に入る
ことが多いです。あとは、基板組のル
ールみたいなのがあるので、それを頼
りに推察します。右下と中央の
「ALPINE」ロゴ入りICは、どうやらコ
ントロール系の石のようです。このボ
タンを押すとこういう動作をする、み
たいなことを司ってる感じです。真ん
中下の「NEC」は液晶パネルの制御用
っぽいのですが、よくわかりません。
左サイドに「4560」という小さいのが
4つありますが、これはオペアンプで
すね。音声信号はこのあたりを流れて
ます。。。。みたいな感じで、だから
なんだってことはないのですが、いま
どきはこんなアナログな回路はないと
思います。




筐体を開けたのは、この配線の付け根
の辺りをきれいにしたかったからです。




少し上で紹介した背面の写真に、この
配線の束が養生されている様子が写っ
ていたと思います。スポンジが溶けて、
グダグダになっていたので、まず配線
から剥がしました。筐体の布下記部分
に、ベタベタのスポンジがへばりつい
て残っていますね。




きれいにしました。




筐体の外側も、もちろんきれいにしま
した。そろそろ終りが見えてきました。




分電器具で切れ切れになっていた配線
も、なるべくオリジナル部分を残しつ
つ修復しました。電源系の配線は、純
正カップラーが使えない状態でも配線
ができるようにギボシ端子を割り込ま
せるカタチで作り直しておきました。




こんな感じです。




カップラーのベタベタも完全除去。




お顔もキレイキレイしておきました。




こんな感じのインテリアに戻ります
よ、という記念写真です。
「PORSCHE」のロゴが最高ですね。こ
うでなくっちゃ、ポルシェだもの!




というわけで、ヘッドユニットの取り
付けは最後の最後の作業になるので、
ガレージのこちらで待機いただきまし
ょう。



とここまでが、去年の12月に撮った写
真の紹介でした。いくつかの部品の製
品版仕様に向けた最終修正がまもなく
終わり次第、911のインパネに戻って
いただきましょう。クルマに乗っって
いる間中視界に入る一等地です。純正
ヘッドユニットであることの心理的な
意味は、想像以上に大きいとわたしは
思うわけです。





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