2024 OASIS Roadster MEETING プレイリスト | くるまの達人

くるまの達人

とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

寸前の寸前になって、ようやくプレイ
リストができました。

OASIS Roadster MEETING で、皆さん
に試聴していただく楽曲のリストです。

amazon music のフォーマットで共有
していただけるURLを以下に貼ってお
きます。会場までの道のり、愛車の
ロードスターの中でぜひ楽しみながら
お越しください。


【2024 OASIS Roadster MEETING
    “ヤマスピ”試聴プレイリスト】




選曲の理由や、ヤマグチ的な聴きどこ
ろを簡単に解説します。

会場に用意する2台のNDロードス
ター(幌、RF)は、「ロードスターで
楽しむドライブに最高にふさわしい音
楽空間ってなんだろう?」というわた
しなりのイメージを実現した試聴車で
す。

試聴後の皆さんと、ロードスターや音
楽の話ができることを楽しみにしてい
ます。












2024 OASIS Roadster MEETING
試聴用プレイリスト

1)「海を見ていた午後」 荒井由実

1曲目には、1974年(昭和49年)録音
の楽曲を選びました。ゆらゆらと揺れ
るトレモロエフェクトが掛かったフェ
ンダーローズピアノが、根岸の丘上の
“ドルフィン”の大きな窓から見下ろ
す横浜の海のきらめきを連想させるよ
うな、ひょっとしたら紙ナプキンを濡
らした涙が窓越しの景色も揺らしたの
か、それとも心の震えなのか。イント
ロのこの空気感が、いきなりこの歌の
世界に聴者を引き込む世紀の名アレン
ジだと思います。ロースピアノの音
は、サーッという大きめのノイズとと
もに録音されています。トレモロを掛
けた出音をゆっくり回したレスリース
ピーカーで鳴らして、それをマイクで
録ったのかなと想像します。3回/秒
くらいのトレモロ以外に、1秒半おき
くらいでノイズが揺れているのはその
せいなのかなと。オーディオの試聴用
として如何なものかという意見も出そ
うなほど盛大なノイズなのですが、完
全アナログ機材環境で創られた秀作と
して、あえての選択です。懐かしいあ
の曲を、今またじっくり聴いてみたい
という人、多いと思います。ボーカル
の残響はプレートリバーブでしょう
か。リバーブの返しの量が細かく変化
していますが、“小さな泡も恋のよう
に……”あたりは、プレートの大きさ
がわかるほどワンワンに効かせていま
す。曲終わり、一旦フェードアウトし
きったパーカッションの音が、数秒間
戻ってきています。そのようなとても
とても細かな手作業の1つひとつに、
作者が伝えたい何かがきっとあるんだ
ろうなと思うと、あの頃聴いたアナロ
グ時代の懐かしい楽曲を端から聴き直
してみたい衝動に駆られませんか。そ
れを愛車の中で、流れる景色の中で、
ひょっとしたら根岸公園に向かう坂道
を登りながら楽しめるような、そんな
空気感を備えさせたいと考えてスピー
カーシステムを作っています。




2)「Rainy proof」 HACHI

1曲目の「海を見ていた午後」から50
年経って創られた作品です。ボーカル
を録るためのマイク以外は、おそらく
すべてラインでデジタル録音されてい
ます。つまりボーカル以外は、空気と
いう媒体を震わせることなく、楽器か
ら直接電気信号としてデジタル録音機
に書き込まれた音源です。理論上は人
間の耳に聞こえるレベルのノイズは存
在せず、つまり圧倒的な透明感の中で
小さな音量の繊細な音もしっかりと聞
き取ることができます。導入の雨音に
重なるように鳴り始めるシンセサイ
ザーの音に感じる脈動が、アナログ時
代のトレモロやレスリースピーカーに
よる効果とすごく違います。重なって
くる歌声と背景の音たちとの間に、明
確な空間を感じることができます。こ
の、重なり合うけど、混ざり合わない
感じが、今どきの録音の大きな特徴で
す。透明な立体空間の中にそれぞれの
座標を持って浮かび上がる音粒たちが
重なり合って1つの音楽を形づくって
ゆく、その空間の中に聴き手としての
自分の座標を実感してもらえたら、
ロードスターで3Dを実現したことに
大きな意味があったのだなと安堵しま
す。




3)「そして僕は途方にくれる」
           大沢誉志幸

1984年(昭和59年)、バブルに向かっ
て上り調子の日本の街中に響いたこの
曲は、8分刻みのキーボード、クリ
シェ、シモンズの電子ドラム……70年
代AORで一斉を風靡した音楽技法や奏
法や楽器がほとんど網羅されている、
流行るべくして流行った楽曲だと思い
ます。とても少ない音数なのに、何度
聴いてもちっとも飽きないのは、曲の
進行のキモになっている要所ごとにそ
の要素が目立つような音流れを効果的
にいれることで、曲がテンポよく流れ
てゆくからじゃないかなと分析してま
す。今なら、アマチュアの宅録(自宅
録音)でも同等以上のことが簡単にで
きるほどのシンプルな構成の音楽が、
ロードスターの車内でどんな風に跳ね
るかを是非体感してください。シンプ
ルだけど、やっぱりプロの音作りだな
と感心できると思います。




4)「緑の日々」 小田和正

この曲も1984年(昭和59年)に発表さ
れました。いやぁ、いい時代だった
なぁと懐かしい気持ちになるのは、わ
たしが高校生から大学生にかけてのキ
ラキラな歳を謳歌していた頃だからと
いうだけではないような気がします。
試聴用に選択したのは、オフコースと
して発表した同曲の小田和正によるセ
ルフカバー版で、1993年に録音されて
います。この曲では、まずストリング
スシンセサイザーの上で動く複数の声
の動きに浸ってほしいと思います。
けっこうメリメリと力強いレベルで録
音されているように感じますが、それ
でも決して耳障りだったり、音圧感が
辛かったり、耳をつんつん刺激したり
することがないようにセッティングし
ています。今回試聴してもらうシステ
ムはDSPという機材を使ってサウンド
データのセットアップをしています
が、一般的なパワーアンプにポン付け
状態で鳴らしたときも、そのような無
粋がないようにネットワーク回路を標
準で取り付けています。その部分だけ
感じてもらえれば十分な視聴曲です
が、バイオリン奏法でフィードバック
気味に入るオーバードライブされたギ
ター、ハイハットの上を転がるような
タッチで叩くスティックのチップの
ニュアンスや、タンバリンやシンセサ
イザー(きっとプロフェット5だと思
います)などのプレゼンスに特徴のあ
る音が次々と重なってくるときに、う
るさい! ってならないま止まり感
や、あくまで歌が主役なのですよとい
うさりげなく、かつ力強い主張がうま
く表現できていることを感じてもらえ
れば嬉しいです。わたしがスピーカー
システムの音作りをするときに、気を
つけていることです。



5)「bad guy」 Billie Eilish 

2019年に発表されたビリー・アイリッ
シュの1stアルバムに収録された曲で
す。唖然とするほどの高い芸術性につ
いて改めて触れる必要はないと思いま
すが、この曲を試聴用に選択したの
は、独特なステレオ感と特徴的な位相
コントロールによる空間感を体験して
もらうためです。実際、ロードスター
3Dシステムの開発時に何百回も再生
して、システム構成について研究した
曲です。同じ音程の(ハモっていな
い)ボーカルパートを複数回重ねて録
音することをダブリングといって、音
の厚みを出すために使われる古参のテ
クニックです。音の厚みを出すための
テクニックなので、なるべく1つの
パートに聞こえるように、けれども完
全に同じ音を同じタイミングで聴かせ
ない(1つの音になってしまい重ねた
意味がなくなる)ように工夫して処理
を行うことが一般的です。ところがこ
の曲では、ダブリングにしてはディレ
イタイムが大きいように感じます。つ
まり同じメロディを歌っている同じ声
の人が複数人存在する感じを強く演出
していて、しかも左右に思いっきり広
げて配置してます。さらにここがこの
楽曲のいちばん特徴的なところなので
すが、そのようにして聴者の前にが
ばっと広げた同じメロディーのたくさ
んの声の束の位相、つまり音の波のゆ
らぎのタイミングを任意にコントロー
ルして、あたかもそれぞれの声の主が
歪んだ空間の中を浮遊しているように
聴かせています。この不思議な感じが
再現ができてはじめて、この曲の新し
さやビリー・アイリッシュの世界観を
共有できるような気がします。自分の
周りにある程度以上の広さの空間が広
がっていて、そこにビリーが浮遊する
感じなんです。ヘッドフォンでは、そ
れはできません。3Dシステムを搭載
することで、ロードスターでもその体
験ができるようになりました。試聴し
て、驚いてください。




試聴曲の解説、とりあえずここまで。

残り6曲の解説は、続編として書きます。





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なので、スピーカーシステムの話、ク
ルマの話、はるかにたくさんの発信を
しています。簡単な動画ですが、スピ
ーカーシステムの音を車内で録音した
ファイルも、Facebook内にはたくさ
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