W124スピーカーシステム、順番に揃えるなら……。 | くるまの達人

くるまの達人

とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

おはようございます。朝4時半頃から
徐々に風雨が強まってきました。今日
は午後に取材の予定を入れています。
台風一過の時間帯で組んだつもりなの
ですが、少し速度が落ちているようで
す。たいした被害を残さず、とっとと
通り過ぎてくれないかなぁと思いなが
ら、明るくなってきた窓を眺めていま
す。


さて、W124愛好家の皆さんによる
Facebookグループが機会を作ってくだ
さった先日の試聴会を受けて、何件か
問い合わせが入り始めています。相変
わらずの詰め込みすぎで、返事を書く
のが遅れ気味ですが、順次きちんと返
答いたします。減速しながらこちらへ
向かっている台風がうらやましくなる
ほど全開で走っていますが、これ以上
は速度が上げられません。一人の力な
んてたかがしれていますね。悔しいけ
ど、この程度が最高速です。


いただいた問い合わせの中に、フルシ
ステムを一気に導入するのは予算的に
厳しそうなのだけど、順番に導入する
ことはできるのか、というものがあり
ました。

もちろん、できます。





2011年にスピーカーシステムを始
めたときから、クルマをクルマとして
安全に快適に走って曲がって止まれる
ようにするための維持費を圧迫しない
こと、という考えは変わっていません。

ただ、単にフロントにスピーカーシス
テムを装着するという単純なものから、
システム全体で車内の音楽環境を構築
するための構成へと移り変わってきて
はいます。

最終モデルでも四半世紀以上の時を越
えての今があるW124です。ここま
で生き長らえて、皆さんにとっての我
が愛車として手元にあるわけです。縁
起でもないような不慮の事態に見舞わ
れない限り、積極的理由で手放すこと
も考えにくいと思っています。

ですから、日常の整備の内容にしても、
より自分好みにするためのアップデー
トにしても、各自の選択眼を凝らして
吟味した満足度の高い選択をひとつず
つ積み上げてゆく時期に、とうに入っ
ていると思っています。

スピーカーシステムを基にした車内の
音楽環境も、間違いなくそうです。音
楽は不要だというのであれば、秋葉原
のジャンク部品屋さんを数軒回れば、
そのまま取り付けられるサイズのスピ
ーカーユニットを500円くらいで手
に入れるのがベストな選択です。それ
をカー用品店で売られている3万円く
らいのものにしても、音が耳に突き刺
さるような高音が聞こえてくるくらい
しか変わりません。500円で済ませ
て、デフオイルの交換をした方がいい
です。デフオイル、いちばん最近いつ
交換しました? あの頃系メルセデス
の隠された弱点は、デフギアですよ。
分解整備を伴うバックラッシュの調整
は、熟練のメカニックにとっても難し
く(組み上げて走らせて、イマイチだ
な……となったら、また降ろして分解
して調整して組み付けてをしなくては
ならないのですが、車体から外れてい
る状態では走行中に相当する負荷が掛
けられないので状況を見極めることが
できず、もっとも1発でキメたい作業
であるにも係わらず、1発でキメるこ
とがとても難しいのです)、オイル管
理とリアタイヤのグリップを極端に高
めるチューニングを避けることは、ユ
ーザーができるデフ保全の王道です。

それはともかく、圧倒的な感動を生む
ものであること、それ以外で代わりが
利かない特別感にあふれるものである
こと、という満足指数をさらに上へさ
らに上へと10年間追い求め続けた結
果のスピーカーシステムの今姿です。
そうでなければ、こんな製作者本人の
夜更かし頼りみたいな家内制工業製品
が、10年も生き残れるわけないじゃ
ないかと思います。

けれども結果として、高額なものにな
ってしまったことはやむを得ないこと
とはいえ、道を誤っていないかと頻繁
に心配になるようなことだったりもし
ています。売れなきゃ止めて、書き物
に専念すればいいんだけどね、と割り
切るのも、10年もやっているとなか
なか思い切りにくくなるわけで。


先日の試聴会でお披露目したDSPフ
ルシステムとまったく同じものを、完
全ノーマル状態のゼロから作りあげる
ためには、ざっくり50万円+工賃の費
用が掛かります。誤解を恐れずに言っ
てしまうと、たった50万円であんな環
境が手に入るのか、とも思いますけど
……。NDロードスターで同じことを
やると、2シーターでリアスピーカー
が存在しないにも係わらず、70万円を
超えてしまいます。より大きなパワー
アンプが必要になりますし、スピーカ
ーシステムも大きく凝った構造でなけ
れば成り立たないという車両の特性に
よる難易度が、W124よりはるかに
高いという事情によります。それでも
何台かのオーダーがいただけたのは、
ロードスター(アバルト124)オー
ナーに、前述した圧倒的な……という
もの作りを伝えることができたのかな
と振り返る次第です。


ようやく今回の本題です。


スピーカーシステムは、最初にW12
6用、W124用フロントスピーカー
を設定したときから、その上に順に積
み上げてゆくような手法でバージョン
アップを図っています。つまり、わた
しがしてきたその通りの順序で積み上
げてゆけば、やがて先日の試聴会でお
披露目したのと基本的に同じ構成に辿
り着きます。過去に手に入れたものを
捨てて、また新しいものに入れ替えて、
さらに数年後にはまた……というよう
なことはありません。

これは、一人の人間が、ひとつの大き
な完成形のイメージを持って、その実
現のために必要なピースを、重要だと
思われる順に加えていった、というプ
ロセスによるものだと思います。もち
ろん2011年の段階で、DSPを駆
使して新しい切り口でリアスピーカー
を使いこなす方法や、BassPLUS+を使
った音楽空間のイメージがあったわけ
ではありません。けれども、1つを完
成させると、次が見えてくる……見上
げていた山の頂に立つと、今まで見え
なかった渓谷が視界に入るようになり、
それを埋めることがその向こうに見つ
けた頂へ辿り着くための条件だと知る
ことになり、もっとも効率よくそれを
実現する方法を探り実行する。ずっと
その繰り返しなんです。そして、その
1つ1つを渓谷を付け焼き刃のような
安直な方法で埋めることをせず、理に
適った方法で丁寧に埋め続けてきたこ
とが、積み上げによるバージョンアッ
プを可能にしたのだと思います。ほん
とうに、これは完全に振り返って初め
て気づいたことなのですが、その点に
ついては間違っていなかったのだと思
います。



まず、フロントスピーカーにスピーカ
ーシステムをセットしてください。こ
れで実現できるのは、音楽の骨格とな
る中高音域の圧倒的な質感向上です。




そして、サブウーファーを加えてくだ
さい。これによりスピーカーシステム
に受け持ちを放棄させた重低音〜中低
音域までが補完され、音楽を再現する
上で必要な土台が整ったことになりま
す。

ヘッドユニットを交換します。上質な
音源の確保は、上質な音楽空間を実現
するための必須項目です。カセットテ
ープやラジオは、音源としてあまりに
不十分です。カセットデッキにカセッ
トテープ型アダプターを介して、音楽
プレイヤーのヘッドフォン端子から送
り込まれた音源というのも、あまりに
貧弱です。そもそもカセットテープの
再生を基準に設計されているヘッドユ
ニットは、どんなに当時の高級機であ
ったとしても、プリアンプ回路設計そ
のものがカセットテープクオリティで
す。また、そのような機材は一般に外
部出力用RCA端子を備えていません
から、内蔵パワーアンプを使用するこ
とになりますが、これも同様です。将
来的に現代の技術で設計されたDSP
パワーアンプに変更するのであれば、
このときに購入するヘッドユニットは、
1万円程度で購入できる安いもので十
分です。1万円のヘッドユニットを2
万円にしても、費用対効果が猛烈に悪
いです。ほとんど何も変わりません。



次に、リアスピーカーキットを導入し
てください。リアスピーカーにどのよ
うな役割を持たせるかには、いろいろ
な考え方があると思いますが、わたし
は、フロントスピーカーの再生音に立
体感を与えるために使います。つまり、
左右ひと組のスピーカーが相互に関係
することでステレオという横方向の音
像感を実現しているのと同じことを、
前後の関係でも作るということです。

これには、左右の関係で生まれるステ
レオ感にはない難しさがあります。空
間の4隅に配した4つのスピーカーか
ら、まったく同じ音を出してしまうと、
音像の核は4つのスピーカーの中心に
集まってしまいます。へそのようなそ
の一点を中心に、音が音源の情報に合
わせて左へ動いたり右へ動いたりする
だけです。最初は、車内全体が音楽で
満たされたような感動を覚えると思い
ますが、ボーカルもギターもベースも
ドラムも団子のような音像になって車
内の真ん中に浮かんで左へ右へと動く
感触は、音場というにはあまりに不自
然で、音量によってはとても疲れるこ
とにすぐに気づくことになります。そ
こで前後フェーダーを前側に傾けると
いう調整を試みるわけですが、それで
もボーカルやドラムやなにもかもの前
後関係は団子状態です。

ステレオ音源というのは、音情報が2
つしかないのです。左分と右分です。
ここまで書けば、多くの人が気づかれ
たと思いますが、ステレオ音源の音楽
を聴いている限り、フロントスピーカ
ーとリアスピーカーの間には、モノラ
ルの関係しか作れないんです。音の大
きい側に音像は動きますが、音楽が進
むにつれてその関係が変化することは
ありません。前後は同じ音源なんです、
モノラルなんです。



そこでDSPを使って、前後の再生音
に異なる特性を与えようという発想が
出てきます。どのようなセッティング
をするかは、クリエイターがどのよう
な実現したいイメージを持っているか
によって異なると思います。けれども、
左前と左後ろ、右前と右後ろは、同じ
音源ですから、できることは限られて
います。具体的には、クロスオーバー
ネットワークの設定とイコライザーを
使った音のクセの調整と、タイムアラ
イメントを使った距離感の調整の2つ
です。

わたしは、まずフロントウインドウ方
向に左右に拡がる音像を徹底的に作り
込みます。左右の関係性は、ステレオ
として録音された2つの異なる音源で
作りあげることができます。W124
ではトランクの中にあるサブウーファ
ーが再生している重低音も、目の前に
拡がる音場の中に存在が感じられるよ
うに、シンプルなステレオとしての音
像を徹底的に作りあげます。実はこれ
をきちんとやろうと思うと、タイムア
ライメント機能だけではまるでダメで、
クロスオーバーネットワークやイコラ
イザーなどのフィルターを合わせ技と
して使いこなす必要があります。発音
のタイミングだけで、2メートルも後
方から鳴っている音が、ピタッと前か
ら聞こえるようには……ならないです。

十分に納得がいく、前方での拡がり感
申し分ないステレオ音像が現れたら、
その音像の中から、わたしの方へ一歩
近づいて歌っていただけませんか、演
奏していただけませんか、と願うパー
トだけを、横一線上に拡がって演奏し
ている奏者たちの中から選び、抜き出
して手前に引き寄せる作業をします。
リアスピーカー、わたしは極論すると
そのためだけに使っています。ドラム
やベースのリズム隊までボーカルとい
っしょに前へ出てきてくれなくて結構
です。DSPにつないだパソコンに向
かっていくつかの手順を踏みながら、
スポットライトに浮かぶのはマイケ
ル・ジャクソンただ一人という光景を、
あいみょんがせり舞台の先端でギター
をかき鳴らし熱唱して……泣いている
のかもしれないという光景を作るわけ
です。それを可能にするためには、D
SPパワーアンプが必要です。




BassPLUS+を使うのは、この後です。

これまでの段階は、しっかりとセッテ
ィングしたサラウンド装置があれば、
自宅のオーディオでも実現が可能だと
思います。もちろん体で感じるほどの
低音をサブウーファーに再生させるた
めには、相当大きな音量である必要が
ありますから、防音性にすぐれたリス
ニングルームは必要だと思いますし、
音楽が楽しめる時間帯は週末の昼間だ
けという人も少なくないと思います。


イグニッションキーを持って、愛車の
シートに体を滑り込ませましょう。エ
ンジンを掛け、住宅街を抜け出せば、
住環境による音楽を楽しむことへのす
べての制約から、開放されます。

その時に愉しむ音楽は、自宅では望み
得なかった快感、感激指数を備えてい
ていいのではないか? だって、もう
自由なんですから。なんの拘束も受け
ていないのですから!

BassPLUS+は、低音を鳴らす機材では
ありません。すでにサブウーファーが
車内を十分満たしている低音の存在を
走行ノイズの中から浮かび上がらせく
れます、音源に含まれる低音の種類に
よっては実際に地鳴りのような、映画
館のスクリーンで大爆発のシーンが劇
常住をオレンジに染めた瞬間のような、
そのような種類の興奮を感じさせてく
れます。そして、歌姫が静かに歌い上
げる背景で伴奏のギターの胴がゴッと
鳴り、ピアニストがペダルを踏んでダ
ンパーが弦をドッと鳴る様子に気づく
ことが、バラードの切なさを演じきる
奏者たちの真ん中に自分が居る感激を
沸騰させてくれます。

そして、そのような体験を、前後のど
の席に乗っている人とも共有できます。

2011年にスピーカーシステムの製
作を始めたとき、聴き疲れしないこと、
という絶対目標を掲げました。この目
標が、BassPLUS+によって後席でも実
現できるようになったということです。
相当に大きな音量で、前席でも後席で
もしっかりと低音を感じ、クルマの進
む目の前の方向に音像を感じながら、
振り返って会話ができる。

BassPLUS+は、この2つの世界観を実
現するためにどうしても必要、です。





スピーカーシステムを順次導入したい
のだけど、という質問の答えになって
いますでしょうか。


もう1つだけ付け加えておくと、一気
にフルシステムで組んだ方が最終的に
安上がりです。同じところを何度もバ
ラしたり組んだりする工賃ほどバカバ
カしいものはありません。

そして、ここまででいいかな、と思っ
ていても、まず間違いなく次のステッ
プに進みたくなります。前述したよう
に、それぞれの段階で駒を進めるため
に開発した1つ1つ、すべてのアイテ
ムは、付け焼き刃ではなく、相当に念
入りに熟考して実験をして時間を掛け
て作り込んでます。つまり、新しく狙
ったイメージを射貫くと確信するまで
皆さんの前には登場させずに開発して
きたものばかりです。ひとつ頂を極め
ると、次に超えるべき渓谷が眼下に広
がるという体験は、進んでみたいとい
う気持ちとほぼイコールだと、わたし
の経験が物語っていますから。

JBL製サブウーファーの正規輸入品
(1年間の製品保証が効きます、とい
うだけの話ですが)の未開封新品がガ
レージに7セットあります。このうち
2セットの行き先はもう決まっている
ので、用意できるのは5セットですが、
フルセットを導入してくださる方のシ
ステムで使用したいと思います。並行
輸入品であれば、ネットで購入できる
ようです。




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