ブーミーなサブウーファーを落ち着かせる方法。 | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

前々回のブログで、NePlayer
に無料で付いているグラフィックイコ
ライザーの使い方のコツについて書き
ました。

前回のブログでは、その続編としてス
プラインイコライザーなるものについ
て書こうと思っていたのですが、うっ
かりタイムアライメントの話になって
しまいました。

明け方にネムネムで書いていたので、
思わぬ脱線を放置してそのままアップ
してしまいました。許してやってくだ
さい。


というわけで、今回はスプラインイコ
ライザーの使い方について話してみよ
うと思います。

スプラインイコライザーという呼び方
は初めて聞くので、ひょっとしたら
NePlayer独自の呼び方かもし
れません。

正確には、パラメトリックイコライザ
ーの簡易版のようなもので、ONKYO
HF Playerのイコライザーもこ
のタイプです。

本来のパラメトリックイコライザーと
いうのは、3つの調整キーが一組にな
っているイコライザーの集合体で、こ
れが6組あれば6バンド パラメトリッ
クイコライザー、と呼びます。

組み合わされる3つの調整キーは、
調整の中心になる周波数を決めるFQ、
調整する音域の幅を決めるQ、
そして、増減の量を決めるLEVEL、
です。

グラフィックイコライザーでは、FQ
はあらかじめプリセットされています。
400Hzとか2kHzというような
表示がそれです。パラメトリックイコ
ライザーは、この周波数を任意に設定
することができます。調整の自由度が
グンと高まるのですが、聞こえている
音楽の中で調整したい音の周波数が何
Hzあたりなのか、というイメージが
できていないと、調整がとても難しい
です。勢いでいじっていると、むちゃ
くちゃになってしまうと思います。

グラフィックイコライザーでは、Qは
隣り合う調整キーの周波数同士がなだ
らかにつながるようなカーブにプリセ
ットされています。おおよそ、FQで
設定されている周波数を中心に、富士
山の稜線のような高域低域側が対称に
なったカーブです。パラメトリックイ
コライザーでは、このカーブの角度を
任意に設定できます。鉛筆のような幅
細で尖った角度にもできますし、もち
ろん富士山のような角度にもできます。

レベルについては、どちらも同じです。


スプラインイコライザーは、パラメト
リックイコライザーの3つの調整キー
から、Qを取り除いたものです。Qを
取り除いてしまうと、調整周波数を任
意に設定できるグラフィックイコライ
ザーになるような気がするのですが、
ちょっと違います。隣り合う設定周波
数が極端に近づくと、とても急なカー
ブでその2点をつないでくれます。つ
まり、一定範囲で可変する自動調整Q
機能付きパラメトリックイコライザー
のような働きをしてくれます。

鉛筆のような細い、すなわち調整の中
心となる周波数の上側や下側の音域に
ほとんど影響を与えずに、狙った周波
数あたりだけをピンポイントで増減さ
せることができるわけです。グラフィ
ックイコライザーでは、決して描けな
い調整カーブを作ることができます。

この特徴を生かしてこそ、スプライン
イコライザーを使って調整をする甲斐
があるというものです。



さて、いよいよお題です。

サブウーファーの音づくりは、実はと
ても難しいです。特に、重低音を大き
な音で響かせるのが好きだという人に
とっては、難易度が一気に高まります。

あらゆる物体は固有の共振周波数を持
っています。木魚を叩くとポクポクと、
コップを叩くとチンチン鳴る、あれで
す。もちろんクルマのボディにもそれ
はあります。これはサブウーファーの
特性ではなく、ボディ自体の特性です
から、ハンマーで叩いても同じ共振周
波数でボディは鳴ります。

大音量で鳴るサブウーファーは、否応
なくクルマのボディを振動させます。
音楽を聴いている耳や体には、この振
動も混ざった状態を音楽として聴いた
り感じたりすることになるわけです。
そしてこの振動は、スピーカーの発生
のように音楽に合わせて音程を変えて
はくれません。木魚をそっと叩いても
強く叩いても、同じ高さで鳴るポクポ
クという音の音量が変わるだけなのと
同じです。

オーディオの音量を上げれば上げるほ
ど、音楽とは関係のないこの共振の音
量は大きくなります。

デッドニングは、共振周波数が極端に
低い素材を貼ることで、振動そのもの
を音楽の邪魔にならない低域に追いや
ってしまう方法ですが、今回はその方
法に頼らずになんとかする方法を考え
てみたいと思います。

個人的な考えですが、デッドニングは
使用する材料によってはやたらとクル
マが重くなりますし、事実上除去する
ことが不可能なベタベタの糊がクルマ
に残ってしまいます。最後の最後の、
そのまた最後、どうしても打つ手がな
くなったときに、はじめてデッドニン
グという手を検討しましょうというの
が、わたしの考え方です。


スプラインイコライザーで設定した2
つの写真を紹介します。どちらもスピ
ーカーシステムと魁(KAI)サブウ
ーファーを装着したNDロードスター
です。デッドニングはしていません。

上は、NR−A(セグメントオーディ
オ)で、スピーカーシステムは、デイ
トンオーディオ製ツィーター仕様です。

下は、BOSEサウンドシステムが装
着されたRSで、スピーカーシステム
はVifa製ツィーター仕様です。







今回は、中高音のカーブは置いておい
て、低音側のカーブに注目してくださ
い。

どちらも、40〜50Hzあたりを少
し持ち上げています。このあたりの周
波数は、重低音を振動として感じたい
ときにとても有効です。ズンという重
低音をしっかりと体で感じたいのなら、
ここを盛ってください。

ただし、このあたりを持ち上げると、
ボディの共振がどんどん大きくなって
きます。そこでサブウーファーから、
その共振と重なる周波数帯を削り落と
します。

前述したように、サブウーファーから
出てくる音からボディの共振周波数と
同じ帯域を削ったところで、ボディの
共振はほとんど減っていません。40
〜50Hzあたりを持ち上げたサブウ
ーファーが、ボディを激しく叩いてい
る限り、ボディは相応の振動をしてし
まうんです。つまりここで行った調整
は、サブウーファーとボディのダブル
で鳴っている帯域から、サブウーファ
ーの方を抜いてやることで不自然な盛
り上がりが気になる状況を回避しまし
ょう、という作戦です。

ほとんどの場合、80〜90Hzあた
りに削り落とすべきポイントがありま
す。100Hzあたりに出てくること
もあります。その辺は、実際に音を聞
きながら探ってゆくことになります。

そして削り落とした周辺の、削り落と
す必要のない部分を、必要なレベルま
で復活させるところまでが、この調整
の1セットだと憶えておいてください。
特に特にすぐ上の125Hzあたりが
弱くなると、音楽の厚みや豊かさが薄
っぺらくなってしまうので、十分に気
をつける必要があります。


2枚の写真のうち下の方が、幌を開け
た状態のNDロードスターでの典型的
なカーブです。後から気づいたのです
が、上の方は80Hzあたりをほとん
ど削っていません。どうしてだろうと
考えてみたのですが、このNR−Aの魁
(KAI)サブウーファーを鳴らして
いるパワーアンプのカットオフ周波数
を65Hzあたりにセットしたことを
思い出しました。つまり、パワーアン
プですでに削っていたので、イコライ
ザーで削る必要がなかったわけです。

40〜50Hzをグンと持ち上げて、
すぐ上の80Hzあたりをグンと削る
ような、急な角度のイコライザー設定
ができるのが、スプラインイコライザ
ー(パラメトリックイコライザー)の
最大の特徴です。このようなセッティ
ングは、グラフィックイコライザーで
はできないんです。


前々回のブログを読んで、グラフィッ
クイコライザーを使った音づくりに挑
戦した方がいらっしゃると思います。
スプラインイコライザーに比べると、
とてもゆるやかでざっくりしたカーブ
ですが、そのカーブこそがあなたが心
地よいと感じた基本カーブです。ぜひ
スクリーンショットで撮り置くなどし
ておいてください。

そして、スプラインイコライザーでの
音づくりに挑戦するときは、まずその
カーブをスプラインイコライザー上に
再現するところから始めてみてくださ
い。それができたら次に、サブウーフ
ァーの鳴らし方に挑戦してみてくださ
い。その過程で、メインスピーカーや
ツィーターの領域での設定もわずかに
手を加えたく感じられるようになった
ら、それはとてもとても素晴らしいこ
とです。あなたも立派に音が見えるよ
うになりましたね、という証拠です。

音楽の再生は、あくまでバランスです。
低音だけズンズン感じるわけでも、高
音だけキンキン聴くわけでも、ボーカ
ルの声だけ電話のような音で聴くわけ
でもありません。低音の雰囲気をいじ
ると、必ず別の帯域の聞こえ方に変化
が出るはずなんです。


こちらの世界に、ようこそいらっしゃ
いませ。お望みならば、もっと深みに
はまる方法をお教えしますよ!


【NDロードスター
      スピーカーシステム】


【NDロードスター
    魁(KAI)サブウーファー】





山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
webTV「モーター日本」
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