働くということ・38 MARKOさん | くるまの達人

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とか、タイトルで謳いながら、実はただの日記だったりするけど、いいですか?

歌手
MARKOさん


紅白に出たいって話したのは、本気で
すよ。100%本気です。夢なんですね。
それを目指してるんです。

ワケは単純です。お父さんやお母さん
に、歌で頑張ってきて紅白出られたよ
って報告したいし、やった! って感
じ分かりやすいじゃないですか…、紅
白って。

今、M・Tokyoというお店で歌ってます。
いろいろなお客さんが来て、この人は
仕事帰りのサラリーマンでちょっと疲
れてるんだなとか、今日はデートなの
ねとか、ステージからけっこう見える
もんなんですよ。

じゃあ私が歌ってあげましょう、疲れ
が癒える歌、素敵な雰囲気になれる歌
って、そんな風に思うんです。

うれしいんです、聞いてくれてる人の
気持ちが動くのが伝わってくるのが。

ときどき涙が見えたりして。嬉しいこ
とがあったのか、悲しくなってきたの
かなんて私には分からないけど、でも
気持ちが動いたことは分かるでしょ。

私の歌が、誰かの心を揺らしてる瞬間
に触れられたら、もう歌うことやめら
れないって思うんです。好きなんです
ね、そういう歌が、すごく。

ただ仕事として考えると、キツイこと
もあります。

仕事って、結局お金を稼ぐこと抜きに
考えられないじゃないですか。

もう親のすねをかじっていられる歳で
もないし、自立していく時って誰にで
も訪れるんだと思うけど、音楽でそれ
を実現するのってすごく難しいことだ
というのは、よく知ってるつもりです。

ミュージシャンって、成功して十分以
上の生活と音楽を両立できる一部の人
と、音楽から離れたくないという一心
で貧乏生活もいとわないっていう状況
になってるほとんどの人に、はっきり
分かれちゃうんです。

私もすごく貧乏してた時がありました。
今でも決して裕福だとは言えないけど、
それでもなんとか東京でひとり生きて
いくことができるようになってきたっ
て感じです。

そういう環境にあることには、すごく
感謝しています。けど、もっと上を目
指したいんです。

成功っていう言葉、難しいですよね。
基準がないと思うんです。なにをもっ
て成功なのかなって思うんですけど、
成功って自分で決めるもので、人それ
ぞれじゃないのかなっていうのが、私
の考えです。よく考えて、行動して、
働いてる人って、いつか自分のイメー
ジしていた自分に近づけるじゃないで
すか。

そういう自分になってきた感触をつか
めるようになれたら、その人は成功に
少し接近できた気持ちになれるのかな
って。

もちろん、運が必要なこともあります
よね。運って落ちてはいないんで、一
生懸命探して見つけて自分で拾わない
とダメなんですよね。

それには、自分がコレこれって思った
ことに対して、どれだけやったのかが
いちばん大切なことで、良くも悪くも
すべて自分に返ってくるんだと思いま
す。

私、紅白に出ることが夢なんですけど、
大好きな歌を歌って、誰かが心を震わ
せてくれるような時間を生み続けてい
きたいって気持ちのほうが、もっとず
っと大きいようにも思います。

豊かな時代に恵まれて、何をしても生
きていけるような今の日本だからこそ、
自分は何をしたいのか、自分のために
何をするべきなのかを、よく考えるこ
とが本当に大切なんですね。

だから私は、歌い続けたいんです。

Interview, Writing: 山口宗久


「かもめ」2007年5月号掲載
※内容は、すべて取材時のものです

※記事掲載への思いについて。


山口宗久(YAMAGUCHI-MUNEHISA.COM)
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