一 百濟
百濟の語原はクンダラ(Kundala、कुण्डदला、കുണ്ടള)であらう。
कुण्डदलाとは「環状の盤」「環」「螺旋」「卷毛」と云ふ義なり。
古支那漢字吳字に於て「環」は「わ」と音じ、कुण्डदला(കുണ്ടള)の一義たる「卷毛」の語は「總角」「角髮(美豆良)」の義なること明らかなり。
仍てクンダラには百濟・わ・美豆良の三義ありと知るべし。
二 新羅
新羅は元來斯蘆と稱す。斯蘆・新羅は何れもसिल्ला、Silla(ɕiɖ)と發音したり。
漢字「羅」は古印度天城體「ढ्/ल्/र/र्(ɖ)」を語原とす。羅は阿彌(網・天網)と同語なり。
斯蘆の「蘆」は末盧國の「盧」と字が似たり。蘆・盧の撥音は何れも「ɖ」なれば、蘆・盧及び羅は天城體ल्लाの假字なり。據て蘆・盧及び羅は同物異字と解すべし。
新羅・斯蘆・末盧の語原を求むるに、百濟の語原が梵語クンダラなれば亦新羅の語原も古印度ロマと考へらるゝ。吾輩ロマはローマの濫觴と察し得る。ロマ、ローマ倶に「roma(羅馬)」と書し、其の義は異ならむと考ふる。一說に新羅は「新羅馬」の義と云ひ、吾輩も此說に贊する。
結語
百濟と新羅は本邦にして亦本邦の飛地なること毫も怪しまざるべし。然るに近古に至つて高麗權知事崔氏政權樹立以降本邦と乖離せしめ民族變轉し、今日の韓國其原形を忘卻したるものなり。
百濟は秦漢同樣猶太敎上帝䨩拜す古墳土葬文化なることを知り得べし。
新羅は唐傳來の古印度佛敎火葬文化なりしは明らかなり。