「パリのアナーキー」METAL urbain | 奇妙なクソブログ 第二部 -その誇り高き血統-

奇妙なクソブログ 第二部 -その誇り高き血統-

バカバカしさに辟易(○゚ε゚○)

前回の記事『ドクター・ストップ』でおなじみ、P-MODEL平沢進さんが、最も影響を受けた海外アーティストが・・・

999(NINE NINE NINE)メタル・アーバン(METAL urbain)セックス・ピストルズなのだそうです。

 

加藤賢崇「でもまあ あのー 正直 ゆって そういう海外のバンド に 影響を受けた 参考にしたっていう部分 あったんですか」

平沢進「(食い気味で)あ それはもちろんありますよ うん あの…エレ…ああいう形態とってる{失笑}以上はそれはもう…ありますよ」「いや別にゆってもいいですあのー ただしー あのーみんなが思ってるのとは多分違うと思いますね たとえばみん…あのー…XTCだったりー…クラフトワークだったり とか だ…という推測はつくだろうけれども でも 我々は コレじゃなくて…あのー たとえば えっとー NINE NINE NINEとか…っからメタル・アーバンとか…っていう ものなんですよ(笑)…あとセックス・ピストルズ」「うーどっちかっつーとちょっと…あのー パンクっぽい タッチのものー…の影響…の方が強いですね」「あのー ああいう装置を使ってー…あの パンクのようにおっきな声で歌うっていうのが(笑)…ええ」

 

※2001年11月28日(水)、NHK BS2で放送された『80's NEW WAVE P-MODEL スペシャル』番組内のトークの文字起こし※

 

 

 

 

というわけで…初期P-MODELのロールモデル(だと勝手に思い込む)、メタル・アーバンの足跡をちょっとだけ振り返ってみる。

 

 

メタル・アーバンは、最初のフレンチパンクバンドのうちのひとつ。

アメリカのプロトパンクバンド、ザ・ストゥージズ(The Stooges)、スーサイド(Suicide)に影響を受けた人と、ルー・リードの『Metal Machine Music』に影響を受けた人が「暴力的シンセ音楽を作ろうぜ!」という目的で、1976年に結成された。

 

 

1976年12月10日、Le Golf-Drouotにおいて、対バンライブでデビューを飾る。

 

ギタリストのリッキー・ダーリンの本籍は「アスファルト・ジャングル」というパンクバンドで、アスファルト・ジャングルのワンフー(パンク野郎)がLe Golf-Drouotに押し寄せていた。

アスファルト・ジャングルのライブでは「客がトゥルテルの瓶をステージに投げつける」というしきたりがある。当然の如く、アスファルト・ジャングルのワンフーは、トゥルテル瓶の投擲を開始(笑)。

この行為に、Le Golf-Drouotの常連さんが激怒。アスファルト・ジャングルのワンフー対Le Golf-Drouot常連客の大乱闘が勃発{爆}。ライブは中止。

メタル・アーバン初のライブは、3曲目の途中で終了した。

 

 

1977年9月、メタル・アーバンにとって初めてのレコードとなる、シングル『Panik!』がリリースされた。

 

シングル『Panik!』制作の経緯

この曲はMETAL Urbainによって書かれた最初の曲のひとつです。

METAL Urbainのメンバーは、セックス・ピストルズとプレイする事を求めており、ピストルズのマネージャー、マルコム・マクラーレンにイングランドで直接アプローチします。

しかし、マクラーレンは、シングル曲を持っていないと、METAL Urbainを非難しました。

その後、彼らは「スナッフ・ムービー」や「レディ・コカ・コーラ」のデモを演奏しました。

その後、METAL Urbainは、ボーカリストClode Panikの芸名からとったタイトル『Panik』を録音する事に決めました。

 

『Panik!』 Lyrics

Explose, électrique!

Mutant, mécanique!
Tu agresses la ville
Tu violes, tu détruis!
Panik (Métal)
Panik (Métal)
Panik (Métal)
Panik, ANARCHIE!


Tu vides tes poches
Balances ta vie
Tu vis tu vas vivre
Meurs le pouvoir
Panik (Pouvoir)
Panik (Pouvoir)
Panik (Pouvoir)
Panik, ANARCHIE!


Tu braques le président
Explose sa gueule
Rouge rouge rouge et noir
Poupée dégonflée
Panik (Meurtre)
Panik (Meurtre)
Panik (Meurtre)
Panik, ANARCHIE!


Allume la télé
Fabrique les images
Action acteur c’est toi
Média subversion
Panik (Télé)
Panik (Télé)
Panik (Télé)
Panik, ANARCHIE!


Etat nation
République fasciste
Crève salope
Panique aujourd’hui
Panik!

 

 

 

1977年10月3日、RTL TELE LUXEMBOURGの番組「AUJOURD'HUI magazine」に出演

メタル・アーバンのアンセム『Panik!』。

この曲は『Anarchy in the U.K.』『I Fought the Law』に比肩するメロディックパンクの傑作だと思ふよ(笑)。

大統領襲撃!ファシスト共和国滅亡!等、歌詞は過激だが、ノイズサウンドは控え目な本作。「Panik, ANARCHIE!」と全員で拳を突き上げる(笑)キャッチーなポップパンク。

 

この番組ではマイム演奏だが、ボーカルのクロード・パニックは生歌。声もパフォーマンスも理想的なパンク歌手だわ。

さすが、無視を続けるRock & Folk誌に、公開質問状を叩きつけただけの事はある(笑)。

 

この曲が、頭っからケツまでずっと食ってるのは、おそらく、フランク・ザッパ一門の影響だと思う。

この曲がリリースされた4年後に『THELA HUN GINJEET』が世に出るが、『Panik!』と『THELA HUN GINJEET』は、リズムパターン、ベースラインが類似している。だからなのか・・・この曲スキ。

 

当時の評価は「discordant」調子っ外れ、「bruit sinistre」キモい騒音、「subversifs」国家転覆的な歌詞とイメージ・・・まさかの三拍子が揃ってしまい、メタル・アーバンは「エレクトロ・トラッシュ」という素敵なジャンル名を賜った。

 

フレンチポップを聴き馴れたフランス人・・・というか、フランスのメディアは、アメリカ発の下品な音楽ジャンルの、国家転覆的な歌詞を叫ぶメタル・アーバンに「トラッシュ」の烙印を押したかったんでしょうな。

 

 

ところが・・・イギリスのオルタナティブシーンに熱狂的に迎えられ、『Panik!』は、ニュー・ミュージカル・エクスプレスのシングル・オブ・ザ・ウィークに選ばれた。

 

ラフ・トレード・レコード設立第1作目のシングルレコード『Paris Maquis』をリリースし、ラフ・トレード・レコードの創業に寄与したものの、1980年に「メンバーがひとりもいなくなる」という珍事が発生した{{爆}}

 

 

メタル・アーバンのパブリックイメージはドイチェスライヒ。

アルバム『LES HOMMES MORTS SONT DANGEREUX/死んだ男は危険だ』

1980年にリリースされた、コンピレーション・アルバム。

セルロイド・レコードの設立第1作目の45回転盤。

 

結局・・・メタル・アーバンは「自前の、オリジナルの」スタジオ・アルバムをリリースする事なく、活動を終了した。

 

↓↓アーリー・メタル・アーバンが、オリジナル・アルバムをリリースできなかった理由と、崩壊した理由↓↓

METAL Urbainは、活動が軽蔑されていたアンダーグラウンドムーブメント「パンク」の最初のファンを獲得するのに苦労しました。

そして、フランスの一般メディア、ロックメディアからの無関心にうんざりしていました。

 

 

しかし、メタル・アーバンは、ポストパンク、ノイズポップ、シューゲイジング・サウンドの嚆矢となり、図らずもマネされる立場となる。

 

メタル・アーバンの音楽的遺産のすべては、ジーザス&メリー・チェイン、スティーブ・アルビニへと受け継がれ、彼らは商業的成功を収めていく。めでたしめでたし。

 

メタル・アーバンは、2003年に再結成したが、2022年の現在まで、ただの一度も、メジャー・シーンに現れていない。

2004年にリリースされたコンピレーションアルバム『Anarchy in Paris!』のタイトル通り、いまだに『パリのアナーキー』の地位を不動のものにしている(笑)。

 

 

メタル・アーバンのスピンオフバンドに、MEAL BOYS(メタル・ボーイズ)、DOCTOR.MIX AND THE REMIX(ドクター・ミックス・アンド・ザ・リミックス)、DESPERADOS(デスペラドス)というのがある。

日本では、メタル・アーバンとスピンオフバンドの存在自体がレッドリスト(⊡ω⊡)

国内流通は一切なし!!

 

 

 

 

『Panik!』Re-Recorded (2008年)

 

 

 

2015年のライブ