草原で鹿を捕獲したライオンを遠くから見ながら二匹の象の子供達が話し合っていた。
「ライオンが鹿の首を噛んでいるね」
「ライオンはいつも獲物の首を狙うようだね。あそこが鹿の急所なのだね」
「鹿が段々と動かなくなってきたね。もう諦めているのかな?でも、まだ意識があるのかな?鹿の目は空と地面に向いているね。今はどちらを見ているのだろうね。周りの景色なんか気にする余裕はないのかな?」
「もう何も見えていないのかもしれないね。恐怖も感じていないのかもしれない。さっきまでと違って今は安らかな様子だね。まるで眠ろうとしているみたいだ」
「ライオンにしても鹿に暴れられると自分達が怪我をする危険があるから大人しく殺そうとしているのだろうね。僕達も余計な苦しみを経ずに死にたいならライオンに首を噛んでもらうべきだろうね」
「僕達はかなり身体が大きい動物だからライオンは怖がって襲ってこないよ。だから、きっと楽には死ねないよ」
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