チーターが楽しんでいる | 山田小説 (オリジナル超短編小説) 公開の場

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 獲物を追って草原を走っている一匹のチーターを遠くから見ながら二匹の象の子供達が話し合っていた。

 「あんなに速く走れたら楽しいだろうね」

 「そうだろうね。きっと楽しいだろうね。あのチーターは走りながら楽しんでいるはずだよ」

 「僕もあのチーターが走りながら楽しんでいると確信できるよ」

 「どうしてチーターの気持ちがわかっているような気がするのだろう?僕達はチーターではないのにね」

 「僕達は今は象の身体の中から世界を見ているから自分が象だと思っているし、象として生きてきた記憶しか頭の中にはないけれど、ひょっとするとチーターの身体の中からも世界を見ているのかもしれない。だから、僕達はチーターが楽しんでいるとわかるのかもしれない」

 「僕は君の身体の中から世界を見ていた経験もあるのかな?」

 「僕は時々君の気持ちがわかるような気がするよ」

 「僕も時々君の気持ちがわかるような気がするよ」


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